小型船舶免許の合格基準

このように、小型船舶操縦免許証の試験は学科と実技からなり、学科は4択のマークシート方式だ。合格基準は以下のとおり。

学科試験の配点と合格基準
※各科目50%以上、かつ一般/上級ごとの合計で65%以上正答で合格
科目 小型船舶操縦者の心得及び遵守事項 交通の方法 運航 上級運航1 上級運航2
科目別の配点 120点 140点 240点 80点 60点
配点合計 一般科目 500点 上級科目 140点
合格基準 12問中6問以上 14問中7問以上 24問中12問以上 8問中4問以上 6問中3問以上
一般科目 50問中33問以上 上級科目 14問中10問以上
実技試験の配点と合格基準
科目 小型船舶の取り扱い 基本操縦 応用操縦 合計
科目別の配点 60点 120点 120点 300点
合格基準 60%以上 70%以上

学科は先述のとおり、市販の書籍などを活用すれば、ひととおりの出題内容を学習できる。一方実技はというと、ボートというマシンを海上という特殊な環境下で点検したり操縦しなければならず、試験項目は3科目で14項目におよぶ。中には、海上に落としたブイを要救助者に見立てて接近・収容する「人命救助」や、ボートを桟橋などに平行に寄せた上で停止する「着岸」など、風向きや潮流に合わせた厳密な操縦を要するものも出てくる。ボートに乗り慣れている人でもない限り、ぶっつけ本番で試験に臨むのはかなりの冒険といえるだろう。

人命救助

エンジンの点検

ロープワーク

航海計器の取り扱い

ナマケモノで車の運転が下手な私は迷わず教室に申込んだが、その選択は間違っていなかったと思う。さらには、受験申請や合格後の免許交付申請などの手続き一切を代行してもらえるので、締め切りに合わせて細かい手続きを取るストレスがなかったのもうれしかった。

実際、どのくらい勉強したかというと…

学科は、常識で考えればまず間違えないような問題もある。エンジンや推進器などボートの機関構造系の問題も、車やバイクの構造をある程度理解している人なら勘が働くはずだ。丸暗記が必要なのは、「海上衝突予防法」で定められた「左舷が紅で右舷が緑」といった航海灯の色など、海上交通に関する専門知識や、エンジンや磁気コンパスなど航海道具の使い方、ロープワーク(ボートの係留などで使うロープの結び方)など。勉強していて苦労したかというとそういうわけでもなく、専門的なだけに「ボートのキャプテンみたい! 」と楽しい部分でもあった。

海図に指示された航路を書き込み、目的地までの所要時間や取るべき針路を算出/計測する

また上級運航には、「海図」という"海の地図"2枚に三角定規やコンパス / デバイダを使って指示された航路を書き込み、時間や距離・速度の計算もしながら数字を導き出す問題がある。コツさえ教わればそれほど複雑ではないが、日常生活ではまず触れることのない道具ばかりなので、慣れが必要。これも、学科講習2日目の大半の時間を使ってみっちり練習したおかげで、そのまま試験に臨んでも大丈夫だった。

ヤマハの学科講習では、過去5年間の出題傾向から、試験に出やすい部分を教えてもらえる。講習後に一度復習した後、出題作法に慣れるためにもテキストではなく問題集を使って学習していった。知識の幅と量からいってさすがに一夜漬けは厳しい。しかし、1週間毎日2~3時間集中して覚えこみができれば、合格は間違いない(!?)のではないかと思う。

受講生は圧倒的に男性が多かった。年齢は幅広い

何はともあれ、思い立ってから2カ月弱で1級小型船舶操縦者免許を取得することができた。 これで、ボートフィッシング&鮮魚料理の船上パーティを開催できるし(釣れれば、だけど)、サンセットクルーズをしながら桟橋にあるレストランに行くこともできる。春は、桜吹雪の川に浮かんでお花見もいい。もちろん、魚探付きのボートを借りて、週末ごとに大物狙いの釣りをすることだって可能だ。遊びの幅がぐ~んと広がる船舶免許。釣り好きのみなさん、取得を考えてみては!?