お盆休み、皆さんはいかがお過ごしだっただろうか。実家へ帰省したり、海外でバカンスを楽しんだ人もいれば、「忙しくてどこも出かけられなかった」「ずっと北京五輪を観ていた」「ガソリン代の高騰で、出かける気分には……」という人も少なからずいたに違いない。東京にいながらにして「旅行に出かけるのは億劫だけど、ちょっとだけ旅した気分に浸りたい」「前に旅したあの町の名物が急に食べたくなった」という、ちょっとした願いを叶えてくれるのがアンテナショップ。今回は、数ある各都道府県のアンテナショップの中から、GOOランキングのトップ5を紹介しよう。

上位から「北海道どさんこプラザ」「銀座わしたショップ(沖縄)」「新宿みやざき館KONNE」「新宿館ネスパス」「京都館」と定番が並ぶ。いろいろ人気商品が頭に浮かぶかもしれないが、意外と知らないことも多い。アンテナショップめぐりは、意外に奥が深いのである。

第1位 北海道どさんこプラザ

人気アンテナショップ上位の常連で、1日の来客数は平日でも5、6,000人、休日には7、8,000人に及ぶ。

交通会館の1階という気軽に立ち寄れる立地のよさも人気を後押ししている

最近の人気商品といえば「生キャラメル」が話題。例の花畑牧場の商品は扱っていないものの、いくつかの生キャラメルが並び、飛ぶように売れている。その一方で、「十勝バターキャラメル」なども昔を思い出す懐かしい味ということで、特に中高年層には好評だ。

新商品の「函館マリオ・ドール」は、冷蔵庫で1、2時間溶かすと食べごろのやわらかさになるアイス。「松尾ジンギスカン」、函館の「いかそうめん」「いかごはん」なども根強い人気を誇っているが、先日マスコミでも取り上げられた「ラワンぶき」というふきの水煮も、注目度をアップさせている。

お店のおすすめは「おぼろづき」という道央美唄産のお米。2kg1,200円と決して安くはないものの、独特の甘さとねばりがあり、じわじわとファンを獲得中。1度食べたら、やめられないという。また、温めるだけで食べられる「炭焼さんま」も、手軽にさんまを味わえる商品として販売数を伸ばしている。

足寄の螺湾(ラワン)地域に生息する「ラワンぶき」は、草丈が2m以上にもなる。肉質はやわらかく、食物繊維も普通のフキより豊富に含まれる

おぼろづきは、2006年の第8回全国米・食味分析鑑定コンクールで、道産米として初めて金賞を受賞。収穫量の少なさから「幻の米」とも称されている

こちらのさんまは塩味だが、たれと山椒が付いた「炭焼さんま丼」も定番人気商品となっている

定番もののひとつとして不動の人気を誇る「夕張メロンゼリー」。贈答用の商品もよく知られている

北海道の素材にこだわったコロッケやメンチカツも、目にするとやはり味わいたくなる。ソフトクリームは言うまでもない人気ぶり。店のまわりでたくさんの人がソフトクリームを食べているのを見て、吸い込まれるように入店していく人は後を絶たない。

これがお目当てという人も少なくない。さすが北海道と思わせる濃厚な味わいに、リピーターはますます増加中だ

店舗名 北海道どさんこプラザ
住所 千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館1階
アクセス JR有楽町駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町駅より徒歩3分
営業時間 10時~19時30分
休業日 無休
URL http://www.dosanko-plaza.jp/

第2位 銀座わしたショップ(沖縄)

「わした」とは沖縄の言葉で「わたしたち」の意味。北海道どさんこプラザと肩を並べる人気ぶりで、1日の来客数は平均5,000人を数える。

買物ついでにぶらりと入ってみても楽しい。お土産品や珍しい食べ物、飲み物など、沖縄の南国情緒に浸れる

スタッフの井口さん。この春上京してきたが、東京の暑さにうんざりとのこと。「お店でぜひ沖縄の魅力に触れてください」

定番人気は沖縄そばの生麺。一般的な麺のほか平らな麺などもあり、品揃えは充実している。もちろん、インスタントなども購入可能だ。

毎日空輸されてくる沖縄野菜を目当てにしている常連も多い。一番人気はやはりゴーヤーだが、普段目にするもの以外に白ゴーヤー、アバシゴーヤーなども並ぶ。アバシゴーヤーは肉厚で苦味が少なく、ゴーヤーは苦手という人にもおすすめとのこと。

フルーツは、話題の宮古島産をはじめとしたマンゴーや、ドラゴンフルーツなど、これぞ沖縄と言いたくなるトロピカルなものが迎えてくれる。

つい最近店頭に並んだばかりの新商品にも興味深いものがあった。「グッスリン」というサプリメントだ。沖縄野菜のクヮンソウを主原料に、もろみ酢の濃縮粉末をブレンドした健康補助食品で、名前の通り、睡眠を促す成果が期待できるという。クヮンソウは、沖縄では昔から豚肉などと煮込んで食されてきた野菜。睡眠に効果があることも知られていた。このサプリはこれから注目を集めていきそうだ。

果肉がピンク色をしているピンクドラゴンフルーツ。沖縄でもなかなか見ることができない貴重なフルーツだ

新商品のグッスリン。1日10粒摂取が目安とされる。写真のビンタイプ(300粒入り)のほか、袋タイプ(100粒入り)もある

地下に降りると、泡盛がびっしり並ぶ棚が目に飛び込んでくる。都内ではあまり目にしない銘柄や古酒の甕(かめ)も多く、ファンにはたまらない。琉球ガラスや陶器、三線(さんしん)、かりゆしウェアのほか、関連ガイド本や民謡など音楽のCDが多いのも、沖縄ならではだ。

泡盛は目移りしてしまうほどの品揃え。数、種類が多いだけではなく、珍しい掘り出し物のような1本に出合えることも

本格的な三線のほか、入門者向けのセットもあるので、これをきっかけに始めてみては?

店舗名 銀座わしたショップ
住所 中央区銀座1-3-9 実業之日本社銀座ビル1F
アクセス 東京メトロ銀座一丁目駅よりすぐ
営業時間 10時30分~20時
休業日 年末年始
URL http://www.washita.co.jp/

第3位 新宿みやざき館KONNE

知事効果はまだまだ衰える兆しなし。新宿サザンテラスという好立地もあって、毎日大勢の客で混み合っている。

行き交う人が絶えないサザンテラスの「顔」と言ってもいい存在となっている

筆者が選んだ定番商品は「冷や汁」と「鶏炭火焼」。当然と言えば当然すぎる選択だが、その種類の多さには改めて驚く。「冷や汁」は生タイプのものからフリーズドライまで、約10種類。「鶏炭火焼」も同じくらいのバラエティがある。

2階には焼酎を中心に、工芸品や観光資料などが並んでいる。毎月1回、幻の焼酎とも呼ばれる「百年の孤独」の抽選販売が行われる。倍率はだいたい4、50倍。応募はひとり毎月1回限定で、月末に締め切り、翌月当選者に案内が届く。

月1限定販売の焼酎。中には6本だけの商品も。パネルに書かれた「目にしたときが買い時」という言葉に説得力がある

暑い夏には冷や汁がお勧め。定番の人気商品のひとつだ。さまざまなタイプがあるので、食べ比べてみるのもいい

要冷蔵のものや常温で保存可能なものなど様々な鶏炭火焼

2階には工芸品なども置かれている。かわいらしいネコがいっぱいいたが、これは箸置き

その月限定販売の焼酎コーナーもあり、東京ではなかなかお目にかかれない貴重な焼酎を購入することができる。ただし、数は限られているので要注意だ。

宮崎ならではの20度の焼酎は、都内ではここでしか販売していない。一般的な焼酎は25度だが、戦後の密造酒対策として現れたのが税額の低く安い20度の焼酎だった。すっきりとした味わいが特徴で、ほかの焼酎とは口当たりもまた違う。

宮崎県物産振興センター東京支部副支部長の日高さん。「まるごとの宮崎を知るための第一歩として、ぜひ当店へお越しください」

1階の軽食コーナーでは「冷や汁定食」「チキン南蛮定食」などが味わえる。新メニューとして「釜揚げしらす丼定食」も登場した。日向灘のしらすを使い、大葉とみょうがを散らしたさっぱりとした丼は、この夏のおすすめだ。

店舗名 新宿みやざき館KONNE
住所 渋谷区代々木2-2-1 新宿サザンテラス内
アクセス JR新宿駅サザンテラス口すぐ
営業時間(店舗) 10時30分~21時
休業日 12月31日~1月2日、3月3日、9月1日
URL http://www.konne.jp/

第4位 新潟館ネスパス

表参道ヒルズのすぐ裏手にあり、食事処も人気が高い。県産商品の種類は実に多彩であれこれ目移りしてしまう。定番なのは、新潟産こしひかりを使ったお弁当やおにぎり。こしひかりは新潟県内でもさまざまな産地があって、魚沼産のほかに佐渡産、岩船産、新潟産などが並んでいる。

表参道からほんの数メートル入ったところに建物はある。レストランも併設されているので食事時は混み合う

日本酒が200種類以上そろっているのはさすがに新潟。一升瓶からカップ酒まで、酒好きにはたまらないラインナップだ。今は夏のにごり酒が販売されていて、売り切れ次第終了となる。急げばまだ間に合うかも。

もうひとつ今が旬なのは「黒崎茶豆」。9月上旬まで味わえる夏の味覚で、噛めばほんのりとした甘味も口に広がる。地ビールとして日本で第1号に認定された「越後ビール」とともに楽しむのが、何よりの贅沢だ。

数ある酒のつまみの中から、副店長の名古屋さんは「やなぎカレイのせんべい」をピックアップした。塩のみを使い天日干ししたやなぎカレイは、手のひらサイズの大きさ。せんべいというだけあり香ばしく、控えめなのにしっかりとした風味がクセになる。ビールにも辛口の日本酒にも合うのは間違いない。

お店1番のおすすめ、「越後ビール」と「黒崎茶豆」の強力タッグ。夏を満喫するにはもってこいの組み合わせだ

やなぎカレイも「黒崎茶豆」と並び、お店イチオシのおつまみ。食べ始めたら止まらなくなってしまうかも

おにぎりは種類も数も充実しているが、どんどんと売れていってしまう。お米のおいしさがじっくりと味わえると評判だ

まだまだ厳しい残暑の中、夏にごり酒をゆっくりと楽しみたいもの。ロックにしてもおいしい

「ほかにもナスの漬物など、新潟ならではの味がたくさんあります。ぜひ皆さんお立ち寄りください」と副店長の名古屋さん

焼いて食べるという「栃尾の油揚」、「小千谷のへぎそば」とおすすめ商品は次から次へと出てくるが、入口に陳列された「八海山ゼリー」や「こしひかりモナカ」なども暑さのせいでとても気になる。表参道ショッピングのコースにぜひここも追加してみては。

店舗名 新潟館ネスパス
住所 渋谷区神宮前4-11-7
アクセス 東京メトロ表参道駅より徒歩1分
営業時間(店舗) 10時30分~19時30分
休業日 無休
URL http://www.nico.or.jp/nespace/

第5位 京都館

店内には華やかな工芸品が数々並び、京都のエッセンスを感じさせる。京扇子は季節柄人気の商品だが、お店のおすすめは「酔香(えいか)」という匂袋。12センチほどのスティック状の袋で、男性用ポケットに入れてほのかな香りを立たせるという洒落た一品だ。女性陣からの注目度も高いはず。

東京メトロ京橋駅や日本橋駅からも歩いて5分程度の距離。建物の前には八重洲地下街への入口がある

見事な工芸品などが並ぶ店内は、せっかくならゆっくりと時間をかけて巡りたい。外国人の姿も目立つ

東京ではここでしか売っていない「おする」も大好評だ。干しするめを味付けした「のしするめ」で食べやすいサイズになっている。白砂糖味の「京おする」のほか、やや辛口の「ホットおする」、「うにおする」があり、おやつにもいいし、酒のつまみにもぴったりだ。

京都館では、さまざまなイベントも開かれている。毎週月曜日から木曜日まで週4日、12時30分から16時30分の間に行われている「お抹茶体験」は、誰でも気軽に参加できるもののひとつ。体験料はひとり500円で、季節の京菓子と抹茶を味わえる。自分で茶を点(た)てることも可能で、先生が作法などをわかりやすく説明してくれる。

改めて日本文化に触れながら、ちょっと一服できる「抹茶体験」。八重洲の穴場的なスポットとも言える

「おする」のメーカーである桐山食品は、創業大正12年。全国的にも珍しい「のしするめ」の専門店だ

スティック状の「酔香」。10種類以上の香りがブレンドされている。山田松香木店の商品

「お抹茶体験」の講師のひとり秦(はた)先生。話をうかがうだけでも、いろいろと学ぶことが多い

9月には「お月見フェア」(4日~10日)や、京友禅伝統工芸士の作品展示販売・実演(11日~16日)などの催し物がある。そのほかのイベント、内容の詳細等についてはお問い合わせを。

店舗名 京都館
住所 中央区八重洲2-1-1 ヤンマー東京ビル1F
アクセス JR東京駅八重洲中央口から徒歩1分
営業時間 10時30分~19時30分
休業日 3月、9月の最終水曜日、年末年始
URL http://www.kyotokan.jp/