アニメやゲームなどの歌で大活躍中の彩音が、8月6日にセカンドアルバム「Elephant Notes(エレファントノーツ)」をリリースする。1年3カ月ぶりのリリースとなるセカンドアルバムは、全14曲すべてがタイアップ曲となっており、さらに彩音自身が作詞を手掛けた作品が5曲収録されている。今回はセカンドアルバムに初収録となった楽曲を中心に、タイトルやジャケットなどについて彩音本人にじっくりと語ってもらった。

彩音が語る「Elephant Notes」

彩音(あやね)
ライブ活動を精力的に行うかたわら作詞を手がけ、数々の作品にコーラスで参加するなど多方面で活躍。その後、2004年10月にTVアニメ『W~ウィッシュ~』の主題歌「KIZUNA~絆」でCDデビュー。PS2『ひぐらしのなく頃に祭』の主題歌「嘆きノ森」、TVアニメ『ケンコー全裸系水泳部ウミショー』の主題歌「DOLPHIN☆JET」、TVアニメ『AYAKASHI』の主題歌「cloudiar sky」など、さまざまな作品のテーマソングを担当

――アルバムのタイトルが「Elephant Notes」ということですが

「直訳すると、"Elephant"は『象さん』で、"Notes"はそのまま『ノート』とか音楽的な表現での『音符』という意味があって、大きな大きなノートに、世界を描いていきたいなっていう思いが込められたタイトルになっています」

――はじめてタイトルを聞いたときの感想はいかがでしたか?

「これは志倉(千代丸)さんにつけていただいたタイトルなのですが、今回のアルバムは14曲収録されていて、それぞれの楽曲にそれぞれのカラーがあって非常に盛りだくさんの内容になっているので、『象さん』のように大きい、幅の広いものという感じでピッタリだと思いました。前回のアルバムは『ARCHIVE LOVERS(アーカイブ ラバーズ)』というタイトルだったのですが、『ARCHIVE』には書庫に保管するっていう意味があって、それに私の『想い出』だったり、『愛』だったりを詰め込んでいこうっていう名前だったので、そのアルバムがあって、今回が『Elephant Notes』ということで、書庫に集まったものをプラスアルファして、大きな大きなノートに世界を描いていこうっていう気持ちが込められています。『象』は、幸せを運んだりする『神使いの動物』とかっていわれているみたいなので、そういう意味でも素敵なタイトルだと思いました」

――今回のセカンドアルバムを通して聴いてみた感想はいかがですか?

「収録されている14曲の曲順は、みなさんに気に入ってもらえたらいいなという思いも込めて私が決めさせていただきました。一応、私が聴きたい順番になっているんですが、『メモリーズオフ』に関する作品が非常に多かったので、偏らないようにしています。それぞれアニメの主題歌だったり、ゲームのオープニングやエンディング曲だったりするんですけど、本来の世界観からも独立して楽しんでもらえたらいいなって思ってます」

――今回のCDが初収録となる楽曲についてお話いただけますでしょうか?

「まず1曲目の『キミが居た証拠に』は、『Memories Off #5 encore』のオープニングテーマになっている楽曲なんですが、『メモオフ』の世界観が、歌詞にも曲にもうまく表現されていて、なおかつ『爽やかさ』というものが感じられる曲になっています。アルバムの1曲目にぴったりだと思いました。4曲目の『Ever Lasting Sky』もけっこう前に歌った曲で、プレイステーション 2向けの『Que~エンシェントリーフの妖精~』というゲームのエンディング曲です。こちらは『妖精』がテーマになっているので、森の中で歌っているような爽やかな感じの曲になっています」

――6曲目の「太陽と海のメロディ」も初収録ですね

「この曲は、プレイステーション 2向けの『この青空に約束を~melody of the sun and sea~』のテーマソングなんですけど、ライブなど、皆さんの前ではまだ1回しか歌ったことのない楽曲です。もともとPCのゲームではインスト曲として使用されている曲で、それに歌詞をつけていただいた楽曲となっています。はじめて聴いたときの印象は、すごくキーの高いレンジの広い楽曲だなって。インスト曲としての、メロディーはすでにみなさんが聴いてくださっているので、詞をつけて歌ったときにギャップを感じないように気をつけながら歌わせてもらいました(笑)。一度ライブで歌ったときに、『やっぱり歌もいいね』っていってくださったファンの方がいらっしゃったので、本当にうれしかったですね」

――8曲目、12曲目、14曲目の「メモリーズオフ」関連の楽曲もすべて初収録ですね

「8曲目の『永遠のメモリーズ』という曲は、『メモリーズオフ』がプレイステーション・ポータブル向けに移植されたときに作られた楽曲で、私が詞を書かせていただいてます。1番が『Memories Off』、2番が『Memories Off 2nd』のオープニングテーマになっているのですが、今回は一曲を通して聴いてもらうことができますね」

――作詞を行う際に、「メモリーズオフ」という作品についてかなり調べたそうですね

「やっぱり『メモオフ』は歴史がある作品ですからね。作詞をする前から『Memories Off After Rain』と『Memories Off #5』のオープニングを歌わせていただいていたんですが、それよりも前の作品に戻るということで、より深く以前の作品を勉強して書いてみたいという思いがあり、「世界観」などを中心に、ストーリーだとか、プレイヤーの方がどういった気持ちでプレイしていたのかだったりとか調べたりしました。そのうえで、自分の気持ちだったり、実体験だったりを歌詞の中に織り交ぜています」

――12曲目の「君の描片~キミノカケラ~」も彩音さんが作詞なさっていますが、「永遠のメモリーズ」も含めて、何か気に入っているフレーズなどはありますか?

「基本的には『メモオフ』という作品の世界を少しでも楽曲の中で感じてもらえるような単語やフレーズを盛り込んでいるので、そういった部分にも注目してもらえるとうれしいですね。その中でも、8曲目の『永遠のメモリーズ』には、『忘れてしまった事 思い出せずに消えた』というフレーズがあるんですけど、これは自分の"思い出"さえも忘れてしまうくらいに時が過ぎてしまった、だとか、時が過ぎてしまったことも忘れてしまった自分にあらためて気付いた、っていうときの感情を書いてます。12曲目の『君の描片~キミノカケラ~』では、『君はどこにいるの? 答えを探して』っていうところなんですけど、この"君"というのは、"自分"でもあったり、"仲間"であったり、"第三者"であったり、いろいろな意味が"君"に込められてまして、単純に"アナタ"としての"君"だけではなく、自分が自分に問いかける意味での"君"も含まれています」

――「メモリーズオフ」シリーズの最新作となる『Memories Off 6~T-wave~』のエンディングテーマとなる14曲目の「プリミディア」ももちろん初収録になると思いますが、ご自分でシリーズ作品を振り返ったあとの最新作はいかがでしたか?

「この『プリミディア』という曲は、歴代のシリーズ作品を手掛けている志倉さんが作詞、作曲をなさっているのですが、表現などもやっぱり勉強になりましたね。歌い終わってから感じたのは、今までは『切ないな』って気持ちがすごく強かったんですけど、切ない後に何か『柔らかさ』というか『暖かさ』みたいなものが、全体を通して、私の中で感じられました。『切ない』という部分はもちろん変わらないのですが、切なさの後に『柔らかさ』だったり『優しさ』だったりを感じました」

――「プリミディア」で気に入っている詞やフレーズはありますか?

「『Hello my friend』などのワードが繰り返されるところが、『Memories Off #5 とぎれたフィルム』のエンディング曲になっている『ロマンシングストーリー』に続く感じだなっていう印象がすごくありました。あとは、そのBメロの最後に、『今思えば キミはもっと 傷付いていたのかも?」っていう部分です。自分はそういう気持ちで言っていなくても、相手にとってみたらその言葉で傷付いてしまったことって、学生時代とかってあるじゃないですか。大人になってくると、"あの人にこういうこと言ったら傷付いてしまうからやめよう"って思うことも多いんですけど、若いころとかはそういうのがわからず、"何とかだよ"って言っちゃって、傷付けちゃったりだとか……。そして、そういうのを振り返ったときに、『あ、あのときもしかしたらこういう言葉で傷付けちゃってたのかなあって思うよ、ごめんね』みたいな。まあ"ごめんね"っていうのは後付けになっちゃうんですけど、そういうのに気付かされるようなフレーズです」

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