第139回芥川賞・直木賞の選考委員会が15日、東京・築地の新喜楽で開かれた。芥川賞には中国籍の作家として史上初の受賞者となる楊逸さんの『時が滲む朝』(文學界6月号)が選ばれた。贈呈式は8月22日、東京會舘にて行われる。賞金は100万円(追って別記事で詳報を掲載いたします)。

楊逸
1964年生まれ。87年来日、日本語学校を経て、お茶の水女子大学にて地理学を専攻。卒業後、日本にある中国語新聞社で記者として勤め、のちに中国語講師。2007年、「ワンちゃん」で第105回文學界新人賞受賞、第138回芥川賞候補。08年、『ワンちゃん』(文藝春秋刊)。同年、『時が滲む朝』(文藝春秋刊)

受賞作『時が滲む朝』(文學界6月号)の内容
高校時代の親友、梁浩遠(りょうこうえん)と謝志強(しゃしきょう)は同じ大学に入り民主化運動に参加するが、運動を侮辱した男と喧嘩して退学した。学生を指導した甘(かん)先生は海外へ亡命。学生リーダーの女性白英露(はくえいろ)は行方不明となる。結婚して日本へ移り、中国の民主化運動を続けていた浩遠は、10年あまりの時を経て3人と日本で再会する。