東京・テアトル新宿にて5月31日、「『FREEDOM SEVEN』DVD発売記念スペシャルオールナイト」が行われた。日清カップヌードルのTV-CFとの連動で話題を呼んだOVA『FREEDOM』をまとめて劇場で鑑賞できる貴重な機会とあって観客も大勢詰めかけ、立ち見が出るほどの盛況となった。上映に先立って行われたトークショーには森田修平監督らメインスタッフが駆けつけたので、記事ではその模様をお届けしておきたい。

森田修平監督「すごくしんどかったので、終わってようやくFREEDOM(自由)になれたかなと。自由を描きながら自分が自由を欲しいんだなと感じました。本当にスタッフがすごくがんばってくれて、面白い作品ができたのでうれしく思っています」

佐藤大氏(シリーズ構成・脚本)「いろんな作品に関わっていくなかでも特殊なCMありきの企画だったんですが、森田さんと出会えて面白いフィルムを作ることができて、リアルタイムでも人気を体験できたのがすごいうれしいです」

大塚ギチ氏(脚本協力)「森田監督の人間性に僕はすごく魅かれるところがあって、監督がタケルで、大さんがビスみたいな状態なので『俺はカズマを演じなきゃいけないのか?』とそんな感じでお付き合いさせていただいたんです。監督を含めてスタッフの元気さというのがやっぱり最大の魅力でした」

トークショーに立った脚本関連のメインスタッフ。左より森田修平監督、佐藤大氏(シリーズ構成・脚本)、大塚ギチ氏(脚本協力)

あいさつに続いてのフリートークでは、若干29歳の森田監督がリードする若手中心の現場が印象深かったようで、

森田監督「本当のスタートのときは僕ひとりだったんですよ。『なんじゃこりゃ』ってスタッフをイチから若手の元気な奴らばっかり集めて。実際ウチのスタッフは若くて、一番若い奴は最初19歳でしたからね。それも含めて平均で25歳ぐらいの人間が作ってるので、そういう意味でも元気が出たかなと」

佐藤氏「スタジオも完全に部室になってたからね。喫煙室にサッカーボールがあったり、ギターがあったり、アンプまであったり。壁には落書きがあってね、いきなりサッカー始めたり、『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』(※ロックバンド、ニルヴァーナの代表曲)がいきなりかかったりする謎のアニメスタジオでした」

森田監督「打ち合わせ中にもそれが聴こえてくるんですよね。でも僕らも逆に『打ち合わせの声がうるさい』って怒られたぐらいで(笑)。僕はスタッフが元気じゃないと元気な作品はできないんじゃないかなと思ったので盛り上げ役というか」

大塚氏「でもバカを監督が率先してやってくれると、やっぱり絶対現場は違うと思いましたね。いろんなことがあったけど、監督の面白さがいまだに尽きない。俺とか大さんが脚本で困らなかったのは『タケルってどういう人間だろう?』と思わなかったんですよね。なぜかって言ったらここにいるから。そういうのはなかなかほかの作品にはないですからね」

と口々に現場での思い出が語られた。トークも後半に差し掛かったところで、特別ゲストとしてSFマンガ『プラネテス』の幸村誠氏と、同作品の小説版を手がけた常盤陽氏が壇上に登場。それぞれの作品への思いが披露された。

森田監督「『プラネテス』は『FREEDOM』を作ってたときはなるべく見ないようにしてたんですけど、たまにちらっと見ながら(笑)、『(見ちゃ)ダメだダメだ……』と思いながらやってました」

幸村誠氏「僕は『FREEDOM』のなにが好きってタケルですよね。たくさんの小説やマンガでいろんな『宇宙へ行こう』っていう動機が描かれてきましたけど、タケルってのは『隣の星のかわいい女の子がいるから行こう!』ですよ。最高じゃないですか」

佐藤氏「それはでもタバコ1本吸うために大気圏突入する作品(=『プラネテス』)もあるわけですから、そういう意味で言うと似たりよったりですよ(笑)」

宇宙つながりで飛び入りゲストが登場! SFマンガ『プラネテス』の幸村誠氏(中央左)と同作品の小説版を手がけた常盤陽氏(中央右)

ほぼ同年代の森田監督と幸村氏は壇上でも意気投合。「(『プラネテス』主人公の)ハチマキとタケルを出会わせなければという僕の目論見です」と佐藤氏

『FREEDOM』も『プラネテス』も宇宙を舞台としたSF作品なので、ライバル意識もあるのでは? と思いきや、両者ともすぐに打ち解けて軽やかにトークは進行。幸村氏も「本当にいつもこんな感じなんですか?」と驚くほど普段着のノリで作品の裏話などが語られた。最後に森田監督が「作ってる人間もこういう劇場で見たことないんで僕自身も楽しみです。今日は本当に楽しんでください」と述べて上映がスタート。全7話の上映後には客席から森田監督らに盛大な拍手も贈られた。

プレゼント抽選会も開催。ゲストの幸村氏が「僕も欲しい!」と声を上げるほど貴重なサイン入りポスターを抽選中

ファンから花束も手渡され、このあと大スクリーンと5.1ch音声で全7話の上映が行われた

森田監督を筆頭に、若手スタッフの元気が詰め込まれた「元気が出る」アニメ作品『FREEDOM』。会場に足を運べなかった人も、シリーズ完結を期にまとめて鑑賞してみてはいかがだろうか。

上映後のロビーでも監督はじめスタッフが観客を見送りに立ち、ファンとの堅い握手が交わされた

会場にはファンからのお祝いの花も。ディフォルメされたタケル(右)、ビス(立札下)、カズマ(中央)の3人も入った愛情あふれるもの

<『FREEDOM SEVEN』あらすじ>
「地球は生きている!」――月面都市EDENで隠され続けている真実を伝えるため、そして親友カズマとの再会の約束を果たすため、タケルはアオとともに再び月へ。しかし、2人は待ち受けていたEDEN運営局によって拘束される。隔離施設に収容された2人の前に現れたのは、運営局の制服に身を包んだカズマだった! タケルとビスがEDENを離れてから、いったい何があったのか? そしてFREEDOMの伝説とは?

シリーズの結末が描かれる特別編『FREEDOM SEVEN』。バンダイビジュアルより3,990円で発売中

(c)2006 FREEDOM COMMITTEE