英語の通信教育などを手がけるアルクはこのほど、通信講座「もう一度英語 ビジネス Chance」の販売を開始した。同教材は、ビジネスパーソンに対象を絞った通信講座となっており、英語を学びながらビジネスマナーを学ぶこともできるのが特徴。そこで今回は、英語教材編集部の大塚智美副編集長に同講座の特徴や、効果的な勉強方法などについて伺った。

英語教材編集部の大塚智美副編集長

――アルクが英語の通信教育を始めた経緯について教えてください

アルクは1971年、月刊誌『イングリッシュジャーナル』を創刊しました。その後、創刊10周年を迎えた 1981年には、イングリッシュジャーナルの年間購読の申込者を会員とすることで、初めて会員組織を立ち上げました。その会員の方からさらに学びたいという希望もあり、1982年にはイングリッシュジャーナルを教材として体系的にまとめ、中学・高校6年間の英語の授業時間に匹敵する約1,000時間を聞こうという趣旨で、通信講座「1000時間ヒアリングマラソン」を作成しました。それが通信教育を始めたきっかけです。

2008年2月末現在には、現会員8万人で、ヒアリングマラソンの延べ受講者数は100万人を突破しています。中国語・韓国語・英語・日本語(日本語教師向け)の計 35講座を用意。初級者向けからTOEIC900点というほぼ満点を狙うような講座までレベルも多岐にわたっています。また、現在は職業に特化した講座も人気で、日本語教師の養成講座や通訳になるための手法を学ぶようなものもありますし、2007年には留学カウンセラーの資格が取れる講座も登場しました。

――ビジネスパーソン向けの通信講座「もう一度英語 ビジネス Basic」を作るきっかけは何でしたか?

アルクの関連会社で、企業研修や通信教育教材の提供など行うアルク教育社から「ビジネスパーソンに特化した教材がほしい」という要望があったことがきっかけです。アルクとしても、より目的を絞り込んだ教材を作らなければならないという気持ちがあり、両社の考えが一致したことからビジネス系の教材を作ろうと考えました。

――「もう一度英語 ビジネス Basic」の特徴を教えてください

「もう一度英語 ビジネス Basic」は、ビジネスシーンを使って中学校英語を勉強しようという基礎講座です。ですから、英語の4技能(リスニング・スピーキング・リーディング・ライティング)をバランスよく養成しながら「My name is」から始まって最後は関係代名詞までを一通り学びます。ビジネスパーソンで英語を学びたいと考える方のなかには、学校を卒業して以来英語はご無沙汰で、そんなに使わないけど会社で最近TOEICを受けろと言われているとか、自分は海外に行かないが英語のメールも来るので読まなければならないとかいった方も大勢いらっしゃると思います。でも、「何から勉強していいのか分からない」「自分がどこまでの語学力なのかも分からないし」という悩みも聞いたりしていました。ですから、「もう一度英語 ビジネス Basic」をやることで、「ああ、自分は中学3年生の時、ここでつまづいたんだ」とか、自分の弱点が分かるようになっています。

――中学英語に着目した理由は何でしょう

中学英語というのは実は侮れないものでして、このレベルの英語力でかなりのものがしゃべれるようになります。実は中学英語は大流行しているんですよ。書店に行っても分かるとおり、「中学校英語でこれだけ話せる」といったような本がよく並んでいます。ただ、書店に並んでいる本のほとんどが日常生活のシーンを使っての中学英語。ですから、せっかくフレーズを覚えても、次の日会社に行ってすぐ使うっていう訳にはいかないですよね。英語力を伸ばすには習ったらすぐ使うのは基本ですから、それでは意味が無い。「もう一度英語 ビジネス Basic」では、会話シーンをビジネスシーンに限定したので、簡単なフレーズではありますが、会社で次の日から使えます。

――ビジネスパーソンに実際にアンケートをとったと聞きました。

たとえば3カ月で3冊のテキストを作るにあたって、どのシーンにどれくらい比重を置くと受講者のニーズに合うのか考え、アンケートで皆様の意見を伺い、現場に即したテキスト作りを目指しました。具体的には、実際にどういうフレーズを使いたいか、どういう場面で困っているんだとか、そういうことですね。アンケートの結果、ビジネスパーソンが英語を必要とするのは、たとえば会議とかプレゼンテーション、電話の応対、eメールであることが分かりました。

――もっともニーズが高いのはどれでしょう。

「職場で最もよく英語を使う場面は? 」と聞いて一番多かった答えがeメール。そして「どういう状況で英語が話せるようになりたいですか?」と聞くと会議やプレゼンテーション、電話の応対、交渉という回答になりました。eメールという答えが返ってきたのは少し驚きましたね。書くという方に回帰していると言いますか、英語をビジネスシーンで使う場合においてeメールが最も多くなっているのです。

今回提供を開始した「もう一度英語 ビジネス Chance」では、隔週でeメールライティングの講座を設けています。たとえば「○○様」とはどのように書いたらいいか、「いつもお世話になっております」は英語で必要かどうかなど、メールを英語で書く上での基礎的な知識を学びます。本格的にeメールライティングを学びたい方のためには、別の講座がございますので、こちらはその前段階と考えていただければ。