この日、東京は4月並みの陽気に恵まれ、都内のサクラは一斉に花を開いた。英国大使館周辺から千鳥が淵と、バスの車窓には次々と桜並木が現れて参加者の目を楽しませる。さながら、お花見ツアーのようでもある。一行は皇居前広場の豊かな自然の中で昼食休憩後、午後のツアーへと再び出発した。

皇居前広場の豊かな緑の中でお弁当タイム

皇居前広場を出発したバスは、迎賓館前の並木や、絵画館前の銀杏並木、表参道の欅並木など、都内でも有数の街路樹を見ながら進む。ちなみに、都内の街路樹数ランキングは、第1位が銀杏、2位ハナミズキ、3位プラタナス類だそうだ。東京都の木でもある銀杏は、きれいな形に整えられるため、景観を演出しやすい。ハナミズキは管理が容易なことから近年人気が高く、育ちやすいプラタナス類は下町に多いという。

迎賓館前、絵画館前、表参道などの見事な街路樹も巡る

表参道のケヤキ並木は大正10年に植えられた。今でも当時の木が何本か残る

中野区立武蔵台小学校

途中、都心に豊かな緑が広がる代々木公園を通って、バスツアーは最後の目的地である中野区立武蔵台小学校へ向かった。ここは、「緑の東京10年プロジェクト」の中でも大きな目標のひとつである「校庭の芝生化」を実施した小学校。今後10年間で都内の公立学校はもちろん私立学校も加えて全体で300haの校庭を芝生で覆って緑化しようというもの。緑化目標1,000ha中の30%を校庭が担う。すでに都内にある53校の公立小中学校で芝生化が実現した。

中野区の住宅街に建つ武蔵台小学校に到着すると、櫻井茂校長と開校50周年記念キャラクター「ムーくん」に出迎えられた。ムーくんは、この小学校の校庭に立つ6本のシンボルツリーである銀杏を父母の方がデザインしたもの。その銀杏は、開校当時に地域に方が植えたものだそうで、半世紀を経て見事な大木に成長し子どもたちを見守っている。武蔵台小学校では、昨年5月から3カ月をかけて、グラウンドの2,496平方メートルを芝生化した。全敷地の約35%にあたる。秋口に冬用の芝の種を蒔いたので、冬の間も校庭は青々とした緑に覆われている。

青々とした芝生の校庭が広がる中野区立武蔵台小学校。後方にシンボルの銀杏が見える