コニカミノルタプラザギャラリー(東京・新宿)で開催中の「eco&art展 Pen×KONICA MINOLTA PLAZA」は、脳みその"ひらめきスイッチ"を刺激するモノたちに出会える空間だ。展覧会の主旨は、雑誌『Pen』が環境問題を取り上げた特集に掲載した、生活雑貨やオブジェなどを展示するというもの。一度は人の手で使われた廃品を素材としてとらえ、世界にひとつしかないモノへと生まれ変わらせたアーティストたちのセンスを肌で感じに出かけてみよう。開催日程は3月21日までの毎日10:30~19:00(21日は15:00まで)。入場無料。
『Pen』3月1日号「『紙』のぬくもり」に登場したペーパーアートを紹介するGalleryBには、切り絵作家・辻恵子氏の作品コーナーが設けられている。辻作品の人物の色がついた部分(髪や洋服)は、雑誌の表紙や百貨店のショッピングバッグなどに印刷された文字などの一部。辻氏の手で切られることにより、文字などと白紙の部分の境界線が、人物の顔と髪、顔と帽子、足と靴下などの境界線となる。切り抜かれた紙と切り出された人物の両方をよくよく見て、境界線がどのように変身したかを発見すると、だまし絵のトリックを発見したときのようなひらめきが訪れる。
トラックの幌がかばんに! 廃品を利用したエコプロダクツ
GalleryCには、意外な素材をリサイクル/リユースしたエコプロダクツが並ぶ。スイス人デザイナー、フライターグ兄弟がデザインする「フライターグ」のかばんや財布は、トラックの幌を布地に、シートベルトを持ち手にリユースしたもの。表面には、トラックや荷物、運転手とともに旅をしてきた歴史がキズとなって刻まれており、トラックが走っていた西ヨーロッパの見知らぬ街に思いを馳せることもできる。丈夫さは疑う余地がなさそうな上に持ち上げてみると意外にも軽く、色やサイズも豊富。実用面でも魅力的な商品だ。
「kurkku store(クルック ストア)」とオンラインショップは、快適かつ環境コンシャスな消費のあり方を、食やモノの分野で提案するプロジェクト「kurkku(クルック)」の店舗。寿命を迎えた日本銀行券をリサイクルした時計「time is money」などが展示されていた。ここにも、何万人とも知れぬ人々の手を渡り歩いてきたお札の歴史や、人の手のぬくもりが感じられる。新品のお札やトラックの幌が使い古されることにより、世界でたったひとつのものとなる。
リサイクルデザイナーが創りだすアーティスティックなグッズ「リソースリバイバル」の栓抜きやフォトフレーム、アクセサリーは、自転車のホイールやチェーンが姿を変えたもの。素材の持つ曲線や質感がそのまま生かされており、実用的な生活雑貨に"転職"した、自転車のパーツを見つけ出すのも楽しい。このほか、フィンランドのリサイクル・デザインブランド「セッコ」の商品も。パソコンのキーボードから「L」「O」「V」「E」「Y」の5文字を取り出したマグネットや、携帯電話のゴム製ボタン部品を数珠つなぎにした携帯ストラップなど、部品の魅力に気付かされるプロダクトが展示されており、一部は物販コーナーにて購入も可能となっている。
展示されたアートやオブジェからは、「モノは使う人間のセンスで甦る」というメッセージが受け取れた。「エコ」や「アート」は堅苦しく難しい一部の人のものではなく、誰もが持つ「もったいない」という心や、ほんの少しのアイデアやひらめきなのではないだろうか。そして、そこから生みだされた新しいプロダクトは、大量生産された新品よりもクリエイティブで心地よい。4月には京都議定書の第一約束期間がスタートする。生活者ひとりひとりが地球温暖化と向き合うために必要なのは、そんな身近な「エコ」と「アート」なのかも知れない。