神奈川県の川崎市民ミュージアムにて、2月16日より3月30日まで「少女マンガパワー! -つよく・やさしく・うつくしく-」が開催されている。開館時間は9時30分から17時(入場は16時30分まで)で、毎週月曜および3月21日休館。入場料は一般が700円。

今回の展示会では、少女マンガの藜明期から現在までを、マンガ家23人の作品をとおして知ることができる。原画など100点以上のほか、作家の愛用品やグッズも展示された。これまでにワシントン、シカゴなど北米9カ所を巡回し、今回日本での凱旋展示会となった。

3月1日には、トキワ荘唯一の女性出身者である、マンガ家・水野英子のトークショーが行われた。手塚治虫、石ノ森章太郎らとのトキワ荘でのエピソードも披露されたなか、そのなかで生まれた作品の特徴としてドラマの成立を挙げた。「この1コマを描きたいけど、その前後の経過を描かないとドラマにはならない。その部分をより具体的に描き始めたのが、私たちの世代だと思います」と振り返った。そのほか『星のたてごと』『白いトロイカ』など各作品についての話題や、少女マンガ家として早くから男女の恋愛を描くことに取り組んだことなど、多岐に渡ってトークが行われた。

水野英子のトークショーには、多くのファンが詰め掛けた。女性ばかりでなく、男性ファンの姿も

描いた作品の舞台が多岐に渡ることについて「手塚先生がSF、メルヘン、ミステリーなどを描きこなしていたので、自分もそうなりたいと思っていました。描きこなせたかどうかはわかりませんが(笑)」

トークショー終了後には、サイン会が行われた。持参した大好きな作品にサインをもらったファンの皆さんは、感激しきりといった様子

水野英子の作品からは『星のたてごと』(上)、『銀の花びら』(下)など、多くのタイトルが並んだ

会場では1950年代から現在までの作品を、マンガ家別に展示。竹宮惠子、CLAMPなどのほか、手塚治虫や松本零士らからの出展もあり、幅広い作品が集まった。また映像出展としてアメリカでの展示会の模様なども見ることができるほか、ファンレターを書くスペースなども設けられている。今回の展示会は全国で行われる予定で、7月19日から8月31日にかけては京都国際マンガミュージアムで開催される予定。海外でも認められた少女マンガパワーを、ぜひこの機会に感じてほしい。

池田理代子の『ベルサイユのばら』。宝塚歌劇団による舞台化なども行われ、熱狂的なファンを生み出した作品

竹宮惠子の作品からは、本格SFの『地球へ…』(左)や、少年を主人公とした『風と木の詩』(右)などが展示。作風の幅広さを知ることができる

美内すずえの『ガラスの仮面』。演劇を題材として描かれ、1976年から現在まで30年以上続く人気作

『ガラスの仮面』の劇中劇「紅天女」にちなんで作られた日本酒という、一風変わったものまで展示

手塚治虫の『リボンの騎士』からは月刊誌「少女クラブ」掲載の原稿を展示。アニメやミュージカルにもなった人気作だけあり、4月からはリメイク作の連載が始まる予定

展示された「週刊少女フレンド」の表紙を飾っているのは外国の少女。当時の海外への憧れを感じさせてくれる。連載された『島っ子』は、ちばてつやの作品

よしながふみの同人誌『そっとしておいて』。ドラマ化されアニメ放映も決定した『西洋骨董洋菓子店』の続編を描いた貴重な作品

現代の少女マンガを語る上では欠かせないジャンルとなりつつある、ボーイズラブに関する展示や説明も行われた

1950年代にブームとなり、駄菓子屋などでも売られた赤本を展示。少女向け作品の存在は、あまり知られていない

会場中央には「少女マンガ図書館」として、単行本やイラスト集などを自由に読めるスペースを設置。多くの人が作品の世界に浸っていた

出展マンガ家一覧(順不同)
手塚治虫、わたなべまさこ、松本零士、石ノ森章太郎、ちばてつや、水野英子、牧美也子、里中満智子、一条ゆかり、池田理代子、美内すずえ、竹宮惠子、山岸凉子、萩尾望都、陸奥A子、くらもちふさこ、岩館真理子、佐藤史生、吉田秋生、岡野玲子、CLAMP、今市子、よしながふみ

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