6月16日より8月19日まで、神奈川県・川崎市市民ミュージアムにて「安彦良和原画展」が開催されている。名アニメーターとして『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイン・アニメーションディレクターを務め、マンガ家としても高い評価を得ている安彦良和。その30年以上にも渡る画業を、320点以上にも及ぶ原画とともに振り返るこの企画展は、昨年も出雲・八王子・新潟にて開催され好評を博したもの。

川崎市市民ミュージアムでは、館内の吹き抜けの空間をイベントスペースとして活用。客席の若手マンガ家から質問も飛び出すなど、講演会はリラックスした雰囲気で行われた

今年から来年にかけては川崎を皮切りに、福井・京都・兵庫と再び全国を回る大規模な巡回スケジュールが再び組まれている。川崎市市民ミュージアムの開館時間は9時30分から17時(入館は16時30分まで)で、月曜日が休館日となっている。入場料は一般700円。

8月4日には同ミュージアムにおいて安彦良和氏による講演会が行われ、定員の250人を超えて、立ち見も出るほどの盛況となった。安彦氏は「天才」という言葉を講演会のキーワードに挙げ、「僕もかつて天才と言われていたらしいんですが、それは誤解なんです(笑)」と謙遜しながら語る場面も。さらに詩人の石川啄木、彫刻家の萩原守衛、実業家で随筆家の相馬黒光といった歴史的な才人への興味や、神戸芸術工科大学の教授として若い才能に接する近況なども述べられた。

アニメーター時代のエピソードも披露。「仕事を上げたら机にを置いて帰るんですよ。すると次の日来ますとですね、昨日の置き方と違うわけです。『誰か見たな?』という(笑)」

このほか、虫プロダクションやサンライズといったアニメ制作現場での思い出や、今年惜しくも他界した脚本家の星山博之氏について、また公的な場で取り上げられることが多くなった昨今のマンガ界やアニメ界の状況などに関するトークを展開。聞き役で参加したマンガ編集者の飯田氏の鋭い意見も交えつつ、安彦氏が抱いた2007年の雑感を縦横無尽に語るものとなった。

原画展もご覧の盛況ぶり。幅広い年齢層が足を運んでいたが、なかでもやはり20代から30代の男性が多い

川崎市市民ミュージアムでの展示は8月19日まで。首都圏では最後の開催となるので、安彦ファン、ガンダムファンならずとも、力と熱量のあるイラストレーションを堪能したい人は、足を運んでみてはいかがだろうか。

安彦良和原画展巡回スケジュール
期日 場所
6月16日~8月19日 川崎市市民ミュージアム
8月25日~9月24日 福井市美術館
11月15日~12月2日 美術館「えき」KYOTO
12月8日~2008年2月17日 兵庫県立円山川公苑美術館
2008年3月27日~4月8日 アートホール神戸・アートホール明石(同時開催)

現在に至るまで様々な場で繰り返し登場している『機動戦士ガンダム』のポスター原画ももちろん展示

『機動戦士ガンダム』キャラクターデザイン時のラフスケッチ。繊細な描線が如実に見て取れる貴重な一枚

連載中の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』から。昨年の原画展では展示されなかった、初公開の新作も多数出展されている

スケッチブックに描かれた『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のネームから。実物は使用中(!)とのことなのでコピーを展示

安彦氏が関わったアニメ作品の幅広さを示す2点。『わんぱく大昔クムクム』(左)と『さらば宇宙戦艦ヤマト』(右)

キャラクターデザインとして参加した『無敵超人ザンボット3』(左)と『勇者ライディーン』(右)

初のマンガ作品であり、安彦氏自身が劇場版アニメも監督した『アリオン』。隣には『巨神ゴーグ』『ヴイナス戦記』といった監督作がならぶ

2000年に第4回メディア芸術祭でマンガ部門の優秀賞を受賞した『王道の狗』。『ナムジ』『虹色のトロツキー』などマンガ作品は生原稿と合わせて多数ならべられている