加賀電子はCGアニメ『やさいのようせい N.Y.SALAD』のDVDを2月29日に販売する。全4巻で価格は各2,940円。

『やさいのようせい』は2007年4月よりNHK教育にて放送されている1話5分間のショートアニメ。人気ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズのイラストなどで知られるアーティスト、天野喜孝氏の画集『N.Y.SALAD』を原作としており、ニューヨークの夜のキッチンを舞台に、野菜の妖精たちが無邪気に冒険を繰り広げる……という内容。昨年末にDVD-BOXが発売されたが、このほど手ごろな単品版での発売となる。

第1シリーズの単巻版DVDがリリースとなる『やさいのようせい』。「あつまれようせいたち」「みんなともだち」「たのしいあそび」「ふしぎなキッチン」の全4巻。各2,940円

『やさいのようせい』の特色は、なんと言っても天野氏の絵柄を忠実に映像化していること。CGっぽさとは対極にある、天野氏独特の繊細なタッチと淡い色使いをまったく違和感なく3DCG作品としてまとめ上げた制作スタジオ、デジタル・メディア・ラボの技術力には驚かされる。

この絵柄のままでいきいきと動くのだから本当にすごい。実際の映像が気になる人は公式サイトの予告編などをチェック

もっとも作品はそうした技術力に身構えて見る必要などはまったくないのでご安心を。芽キャベツ、ガーリック、レタスといった、小さな妖精たちの愛くるしさに思わず顔をほころばせつつ、童心に返って和みながら見るのが一番の楽しみ方だろう。植物の生命力に由来した「萌え」という言葉が、これほどふさわしいキャラクターたちもいないかもしれない。

それと同時にタイムボカンシリーズや『昆虫物語みなしごハッチ』など、かつてタツノコプロでアニメのキャラクターデザイナーとして活躍した天野氏のファンシーさやポップな一面を映像で堪能できる貴重な機会ともなっている。ゲームや小説での端整なイラストでしか天野氏を知らない人にもぜひ一見してもらいたい。

月の光に照らされて目を覚ます野菜の妖精たち。不思議な世界を案内してくれるナレーションは女優の原田知世さん

『やさいのようせい』は2007年12月に「第11回文化庁メディア芸術祭」のアニメーション部門において審査員推薦作品に選出されたほか、今年1月の「日本オタク大賞2007」では雑誌『アニメディア』編集長の個人賞に選ばれるなど、識者からも高く評価されている。NHK教育での朝の放送ということで、小さい子供たちとお母さんだけに独占させておくのはちょっともったいないほどの名編だ。

現在は毎週土曜日の8時35分と17時00分から『おかあさんといっしょ あそび だいすき!』の番組内で放送中。3月31日からは朝7時40分から新作も加えた放送を行うとのことなので、こちらの放送も楽しみにしてほしい。

「本当にCG?」と思う人も多いと思うので、作業画面をお借りしてみた。ちょっとグロテスクな感じだが、芽キャベツが緻密にモデリングされているのがわかる

(c)2007 天野喜孝 /DML・「N.Y.SALAD」パートナーズ