この日のチェックで、三木監督がもうひとつ重視していたのがタイミング。「ここはもう1回繰り返しましょう」「ここはもうちょっとゆっくり」と細かく指示出しを行っていた。三木監督の笑いの演出で、やはり「間」は欠かせないポイントとのこと。「短いながらもメリハリをつけるのは、やはりCMで培った部分かもしれません。でもCMと違って15秒、30秒という尺を気にせずやれるのはいいですね」と『ぷちえう゛ぁ』の作業を語る。

「ミサト先生の眉毛にもうちょっと角度つけましょう」と三木監督。サラッと描いてますが、絵もめちゃめちゃうまいです
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PC上で手直ししたほうが早いものに関しては、画面を見ながらアニメーターさんに指示出し
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迷ったときにはファイリングされたマンガ版を見て、参考になるコマを探すことも
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今回最大の衝撃のカット。こんなシンジ、一体どこに登場するのか? アニメーターさんの仕上げてきた表情のインパクトに、打ち合わせの席でも思わず爆笑が
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さらにこちらがその基となった極秘画像。「シンジがっかり表情原案:石井克人(ナイスレインボー)」。なんと『鮫肌男と桃尻女』『PARTY7』の石井監督描き下ろし。豪華すぎです
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3本分のチェックを終えたところでこの日の作業は終了。三木監督にあらためてお話をうかがった。

「『エヴァ』は当時知り合いにすすめられて見まして、劇場(1997年版)にも見に行きました。ものすごいマニアというほどでもないんですけど、『ぷちえう゛ぁ』なのでそのくらいがいいのかなと思ってます。最初は、やっぱり元ネタが『エヴァ』なので『どこまでやっていいんでしょうか……?』とおっかなびっくりだったんですけど、先ほど別チームの映像も見せていただいて、『意外にやっちゃっていいんだな』とだんだん砕けてきたところですね。それぞれまったく違うものになりそうので、『ぷちえう゛ぁ』自体が結構おもしろいものになると思います」

そう、三木監督の上の発言にもあるが、じつは『ぷちえう゛ぁ』のもうひとつの見どころは、ズバリ競作! 現在三木監督&カナバングラフィックスとは別チームの手で、同じキャラクターを使ったまったく違う『ぷちえう゛ぁ』が制作されている。チームを率いるのは、シュールなギャグ作品から少女マンガものまで幅広く手がける、とあるアニメ監督。こちらも続報をお届けする予定なので、心待ちにしてほしい。『ぷちえう゛ぁ』、そして『新劇場版』と、2008年もやっぱりまだまだ『エヴァ』から目が離せない!

ライバル偵察中? 作業終了後はもう1チームのテストラフアニメーションを鑑賞。「おもしろそうですね」「シュールだなあ」と笑いも飛び出す
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