フォルクスワーゲンAG(ドイツ)は、ロサンゼルス オートショーで燃料電池車「space up! blue」を世界で初めて公開した。高温型燃料電池と12個のリチウムイオンバッテリーを搭載し、バッテリーのみでも65マイルの連続走行が可能だという。

space up! blue

フォルクスワーゲンは直近の2ヶ月間で3タイプの「up!」シリーズを発表している。フランクフルト国際モーターショー(IAA)での「up!」、東京モーターショーの「space up!」、そして今回の「space up! blue」が3作目となる。東京モーターショーでは動力源としてガソリン、ディーゼル、電気が用意されるとのことだったが、その電気バージョンが公開されたことになる。

今回の「space up! blue」には、世界初となる高温型燃料電池と12個のリチウムイオンバッテリーを搭載したゼロエミッションカー。5kW(61ps)の電気モーターで走行するが、コンセントから充電できるバッテリーのみで約65マイル(約105km)の連続走行が可能であり、燃料電池を使用すれば、走行距離はさらに155マイル(約249km)延長される。つまり1回の"エネルギーチャージ"で、最大220マイル(約354km)走行できることになる。加えて、ルーフに搭載するソーラーパネルからも給電され、最大150wの電力をバッテリーに供給する。

新しい高温型燃料電池(HT-FC)はドイツにあるフォルクスワーゲンのリサーチセンターで開発されたもので、システムとして非常に軽く、日常の使い勝手に優れ、低価格であるというメリットを備えている。そのため量産が実現する可能性が高いとしている。

「space up! blue」は、全長144.9インチ(約3,680mm)、全高61.8インチ(約1,570mm、space up! 比 +30mm)、全幅64.2インチ(約1,630mm)というコンパクトなサイズだが、パワートレインのレイアウトを工夫することで、広い室内空間を確保しているという。また燃料電池とバッテリーを搭載した車としては軽量な1,090kgの車重を実現した。なお電気モーターはリヤに、リチウムイオンバッテリーはリヤシートの下に、高温型燃料電池は車両のフロント部分に搭載されている。

ルーフにはソーラーパネルを装備し、電力を供給する

シンプルなインパネまわり

広い室内空間を確保。ドアは観音開き

パワートレイン図。モーターはリヤに置かれる