三谷幸喜が脚本・監督を務める映画『ザ・マジックアワー』の製作発表会見が15日、都内の東宝スタジオで行われ、佐藤浩市、妻夫木聡、深津絵里、綾瀬はるからが出席した。また、作品の舞台となる町として建てられた日本最大級の巨大スタジオセットも初披露された。

『ラジオの時間』(1997年)で監督デビューし、『みんなのいえ』(2001年)、『THE有頂天ホテル』(2006年)と話題作を生み出し続けてきた三谷幸喜がおくる最新作『ザ・マジックアワー』。今回は、クラブの支配人によって"伝説の殺し屋"に仕立て上げられた売れない俳優が、本物のギャングの抗争に巻き込まれていくという破天荒なストーリーを、三谷流の緻密な演出で笑わせていくコメディーだ。

「かなりハイテンポな作品に仕上がっています」と三谷監督

三谷作品は、これまでもウィットやユーモアに富んだストーリーが多く、ジャンルとしてコメディーは三谷も得意とするところ。「台本は、コメディーとしてはこれまでで一番質の高いものだと思っています。3分間に10回は笑わせたい(笑)」と自信を見せる。そんな質の高いという台本を料理していく俳優陣も豪華だ。

殺し屋に仕立て上げられる売れない俳優・村田大樹役の佐藤浩市。「台本がとても良くできているので、反面極度のプレッシャーになっています。胃に穴があくくらい集中して撮影に臨んでいます」

口から出るのはでまかせばかりで村田を騙すクラブ「赤い靴」支配人・備後登役の妻夫木聡。「三谷作品に出演できるのが嬉しくて、この場にいるのが夢みたいです。今回の役は新しい自分に出会った感じなので、いい芝居をしたい」

村田、備後、天塩を翻弄する魔性の女・高千穂マリ役の深津絵里。「魔性の女を演じるので、自分の事ばかり考えていればいいのが楽しい(笑)。三谷さんが考える魔性の女が、きっと見られると思います」

備後のことを密かに慕う「赤い靴」従業員・鹿間夏子役の綾瀬はるか。「丁寧な演出と監督の細かい指示がとてもわかりやすいので、一生懸命演じたいです」

街を牛耳るボス・天塩幸之助役の西田敏行。「アイデアを色々と膨らませて撮影に臨みましたが、監督から『あまり面白くしないで』と言われてとても残念(笑)。これほど、無口な男を演じるのは初めてです」

天塩の第一の手下・黒川裕美役の寺島進。「最初、監督は目を合わせてくれなかったんですが、最近ではメンチ切るくらいの関係です(笑)。だんだんと三谷さんの世界観もわかってきました(笑)」

村田大樹のマネージャー・長谷川謙十郎役の小日向文世。「以前、放送局に行った時、『マネージャーさんですか?』と言われたことがありました(笑)。役作りはその時のことを思い出してやっています」

物語の舞台・守加護(すかご)にある港ホテルの女主人・マダム蘭子役の戸田恵子。「今回は厚化粧の女を演じます。化粧も衣装もかつらも七変化の勢いで変わります。そこを中心に見ていただければ(笑)」

「マジックアワー」とは、映画専門用語で"夕暮れのほんの一瞬"を指す。一日のうちで、世界がもっとも美しくなる瞬間と言われており、「人生のマジックアワーにもかけているんです」と三谷監督。同作でも、登場人物それぞれが人生の最高の瞬間(マジックアワー)を体験するという。

そして、今回の目玉の一つとなる巨大セットが初公開された。物語の舞台となる港町・守加護は、三谷監督の頭の中にイメージされた架空の町。そのイメージを忠実に再現されたセットで、日本最大級の規模となる。「美術さんの愛情がこもった素晴らしいセット」(佐藤)、「子供がいたら連れてきたいくらい」(妻夫木)と、キャスト陣が口を揃えて絶賛しており、守加護の街も見どころの一つとなっている。

港ホテルのセット前で撮影会が行われた

備後(妻夫木)が支配人を務めるクラブ「赤い靴」や、守加護のメインストリート。観客がスクリーンで見てもわからないであろう細かい部分にもこだわりが詰まっている

守加護の世界観を築き上げるのは美術監督の種田陽平氏。これまでに『キル・ビルVol.1』や『THE有頂天ホテル』などの美術を手がけてきた

同作は2008年に全国東宝系でロードショー。