BMW Motorrad(ドイツ ミュンヘン)は、二輪メーカー「ハスクバーナ・モーターサイクル(Husqvarna Motorcycles)」の買収を発表した。契約締結は2007年7月19日。EUカルテルの承認が得られ次第、履行される。買収金額は公表されていない。

ハスクバーナ SM610

「ハスクバーナ」は300年以上続くスウェーデンの機械製造メーカー。二輪車の生産を始めたのは1903年のこと。1986年にはイタリアのカジバ社がハスクバーナの二輪部門を買収。以後、MVアグスタ(カジバ傘下)の一部としてイタリア北部で生産されている。

ハスクバーナ・モーターサイクルは、スポーティーなオフロード車で世界的に有名で、ワールド・チャンピオンシップのタイトルを含む、数多くの国際レースで勝利を収めている。BMW Motorradが注目したのもこの点だと考えられる。たとえば欧州のオフロードバイク市場ではオーストリアの「KTM」などの人気が高いが、これはパリダカールなどを含め、KTMがレースで優秀な成績を収めてきたため。現在BMWはオフロードモデルとして「G650 Xシリーズ」などを投入しているが、ハスクバーナを傘下に置くことで、さらに強力にオフロード市場に参入することが可能になる。

BMW Motorradのゼネラル・ディレクター、Dr.ヘルベルト・ディエス氏のコメントは以下のとおり。「スポーティーな分野をターゲットとしたハスクバーナモデルによって、我々のコアブランドだけで勝負するよりも、より早く、より効果的にオフロードやスーパーモト、さらには若い世代の顧客層にBMW Motorradの製品範囲を拡大することができます。さらに、この買収により我々はオフロード部門の世界的な販売ネットワークに直接参入することが可能となります。」

今後、BMW Motorradとハスクバーナ・モーターサイクルは、別会社として営業活動を行ない、ハスクバーナの開発、生産、従業員も、現在の拠点である北イタリアのヴァレーズ地方に留まる予定という。ハスクバーナは2006年、約12,000台のモーターサイクルを生産した。従業員数は約240人。またBMW Motorradは2006年に10万台以上を生産・販売。500cc以上のセグメントでは欧州最大のモーターサイクルメーカーでもある。