電気通信工事業などを手がけるコネクトはこのほど、環境にも"お財布"にも優しい屋上緑化システム「ミドリウム」を発売した。同システムには、中国四川省の泥炭を原料にした「ミドリウムの土」を使用。従来工法のように大がかりな排水システムの施工をする必要がなく、大幅なコストダウンが可能となった。また同社によると、「製造と廃棄に二酸化炭素を排出するプラスチック製品をほとんど使用していないなど、環境にも配慮した商品となっている」とのことだ。そこで、今回はコネクトの都市緑化事業部取締役CEOの小田島龍一氏にシステムの内容や立ち上げの経緯について語ってもらった。

コネクトの都市緑化事業部取締役CEOの小田島龍一氏

――「ミドリウム」を始めようと思ったきっかけを教えてください

「電気通信工事業を営んできた私たちの会社は、屋上で作業をすることが多いのですが、その時屋上から見た眺望は非常に素晴らしく、多くの方にこの景色を見てほしいと感じておりました。しかし現在、セキュリティーなどの問題から屋上の扉は固く閉ざされたまま。これだけ素晴らしい屋上を放置しておくのはもったいない、と思った時に出会ったのが『ミドリウムの土』でした」

――ミドリウムの土の性能について教えてください

「ミドリウムの土は、中国・四川省の標高3,500mの場所で自然生成された腐植泥炭を使用しています。腐植泥炭は約1万年前、湿地に生えていたヨシ(イネ科の植物)やスゲ(カヤツリグザ科の植物)等がゆっくりと分解されて生成される"半熟の石炭"のようなもの。通常の土は有機物を投入し、鍬などで畑を耕す必要性があるのですが、腐植泥炭を使ったミドリウムの土にはたっぷりと養分が含まれているほか、排水性・通気性・保水性が保たれているので、肥料を入れたり水を遣る回数を大幅に減らすことができます。また、通常は必要な土の総入れ替えも不要。1~2年に1度、土を足せばそれで大丈夫です」

東京神田にある「ちよだプラットフォームスクエア」の屋上に完成したミドリウムガーデン

芝生広場やウッドデッキ、畑スペースなどがあり、仕事をしたり畑仕事にいそしんだりすることができるという

――ミドリウムのシステムは?

「土の性能が高いので、客土流出フィルターや保水・排水用の人工骨材といった人工資材をほとんど使わずに屋上緑化することが可能です。従来の施工方法なら、土の厚さは最低でも15cm必要だったのですが、ミドリウムなら芝生は7㎝以上、野菜は10cm以上の薄さで野菜や花を育てることができます。ですから、強度の低い既存の建築物の屋上でも設計、施工、運用が可能です」

――"お財布"にも優しいミドリウムと聞いたのですが

「弊社の試算によると、従来工法が1平方メートル当たり18,125円なのに対し、ミドリウムは約34%減の11,950円で済みます。屋上緑化をすると、建物屋上部分の温度を一定に保つ効果があり、これにより建物の空調効率を上げることができます。たとえば100平方メートルの芝生緑化をした場合、空調・電気代は約半分の節約が可能となります」

――環境への配慮には特に力を入れたそうですね

「ソーシャル・クリエイティブチーム『サステナ』から協力を得て、環境問題への配慮については細心の注意を払いました。たとえば、腐植泥炭は採取地で年間約40万トンずつ自然生成されており、採取量はその約1%以下なので原料枯渇の心配はありません。さらに、泥炭を移送する際に発生する二酸化炭素は、100平方メートルの屋上緑化によって15日間ですべて吸収できるので、環境への影響も問題ありません。」

サイズはベランダからビルの屋上まで対応可能

写真は「はじめてのMIDORIUM」キット。家庭菜園用の土1袋(20リットル)や種などがセットになっている。価格は13,400円

――ミドリウムのシステムはどのような場所に設置できるのでしょうか

「すぐに始められる『はじめてのMIDORIUMキット』(13,400円)から、ガーデニングのプロが、"世界でたったひとつのあなただけの庭"を造る『ガーデンコンシェルジュ』までタイプはさまざま。サイズはベランダからビルの屋上まで対応可能です」

――今後の抱負について教えてください

「ミドリウムで作った完全無農薬・完熟の野菜を24時間以内に家庭の食卓に運びたいというのが、私どもの目標です。わざわざ電車や車を使って菜園に行くことなく家やマンションの一角で野菜作りやガーデニングが楽しめるので、第二の人生を都心部で過ごしたいと思っている人にもおすすめです。また、小学校の屋上を緑化すれば食育体験の場に、病院では患者に植物を植えてもらったり、育ててもらうことでリハビリの場としても活用できるのではないでしょうか。私どもは、ミドリウムを通して様々な体験の場を提案していくお手伝いができればと考えております」

――ありがとうございました。