米X PRIZE Foundationは、環境に優しい次世代低燃費カーの開発を競う新コンテスト「Automotive X PRIZE」(AXP)の競技規定などを示したガイドライン草案の発表を行った。現在米国で開催中のニューヨーク・モーターショー(New York International Auto Show)で正式アナウンスが行われ、5月末までオンラインでのフィードバックが受け付けられている。

US1,000万ドルの賞金を賭け、初の民間機による有人宇宙飛行実現を目指して争われた「Ansari X PRIZE」の主催で知られるX PRIZE Foundation。2009年のGrand Prize Finalレース優勝者に数百万~数千万ドルの賞金が贈られることになるAutomotive X PRIZEでは、地球環境に優しい、次世代の超低燃費を実現する自動車開発性能が競われるという。

"Mainstream"部門において、基本的に4輪車で乗車定員4名以上の自動車開発が目標に掲げられているものの、乗車定員2名以上で車輪数などの車両形状を問わない"Alternative"部門へのエントリーも受け付けられるようだ。開発車はガソリン燃料に限定されないものの、いずれの部門でも、クリアしなければならない低燃費の基準は、100マイル/ガロン(約42.5km/l)レベルを超えることが求められており、現在市場に出回っているハイブリッドカーなどの燃費を上回るレベルが設定される。また、Well-to-Wheels(燃料の採掘から消費まで)ベースのGHG排出量は200g/マイル(約124.3g/km)以下に抑えることが求められるという。

今年半ばに発表される正式な競技ガイドラインに基づいて、来年後半から審査などがスタートするとされており、2009年の燃費レースにおける好成績が優勝者には期待されるものの、Automotive X PRIZEで重要な審査基準の中には、完成車の実用性が含まれている。実際に路上で利用できる安全基準をクリアしなければならないほか、年間1万台生産時のコストは、市場の一般的な自動車製造コストに見合うものでなければならないとされている。

Peter H. Diamandis会長

X PRIZE FoundationのPeter H. Diamandis会長は「低価格で魅力的かつ低燃費の自動車の普及が強く求められている。これまでのコンテスト開催により、多くの人々の注目を集める高い知名度などが得られており、民間人の英知を結集して、環境問題を解決できる開発が実現することに期待したい」とコメントしている。