この半導体ニュースのまとめ
・SK hynixが米国でのメモリ生産に向け、Intelなどと協議していると海外メディアが報道
・米国政府が現地生産を求める一方、先端技術の海外移転には韓国政府の審査が必要となる可能性
・日本での工場建設も選択肢に浮上しているが、具体的な投資先や協業先は未決定
SK hynixが米国での半導体メモリ生産に向け、Intelと協議していると複数の海外メディアが報じている。工事が遅れているIntelのオハイオ州工場の一部を賃借する案や、Intelおよび米国の大手クラウドサービスプロバイダと合弁会社を設立する案が浮上しているという。
SK hynixは、メモリ事業の競争力強化に向け、追加生産拠点の構築を含む多様な案を検討していると説明する一方、報道されたシナリオや特定企業との協力、米国内生産について決定した事実はないとした。Intelも個別の憶測へのコメントを避けつつ、オハイオ工場への投資を継続していると説明している。
前工程の現地生産を求める米国政府の圧力
Intelは2022年、オハイオ州に最大1000億ドルを投じ、最大8棟のファブを建設できる半導体拠点を整備する計画を発表した。しかし、当初2025年としていた生産開始時期は遅れ、第1期の2棟の完成予定は2030年と2031年に延期されている。同計画は米CHIPS法による支援対象に含まれており、工場の活用策が注目されている。
米国政府は経済安全保障の観点から国内での半導体生産拡大を進め、Samsung ElectronicsやSK hynixにもメモリ前工程への投資を求めてきた。SK hynixはインディアナ州に約40億ドルを投じ、HBMなどを対象とする後工程拠点を建設中で、2029年下半期の量産開始を予定する。しかし、米国側は後工程に加えて前工程の整備も求めているとされる。
米国内に前工程拠点を持てば、輸入関税などの政策リスクを抑えられるほか、AI向けメモリを大量に購入するクラウドサービス事業者の近くで生産できる利点もある。顧客との共同開発を進めやすくなり、急激な需要変動にも迅速に対応できる可能性がある。米国内での供給網を強化し、製品の納期を短縮する効果も期待できる。
SKグループの崔泰源会長も、AI向けメモリ需要の拡大に韓国内の増産だけでは対応しきれないとして、米国を含む海外での生産拠点追加に前向きな姿勢を示している。
韓国政府は先端技術の海外移転を審査
SK hynixが先端DRAMやHBMを米国で生産する場合、韓国政府による国家核心技術の審査が必要となる可能性がある。
韓国産業通商資源部は、海外進出は企業の判断としながらも、国家核心技術に関連する場合は産業技術保護法に基づく検討対象になると説明している。前工程工場の海外展開には、需要対応や関税回避だけでなく、先端メモリ技術の流出防止という課題も伴う。
日本での工場建設も選択肢か
崔会長は9月、日本のメディアとのインタビューで、SK hynixが出資する特別目的会社がキオクシアホールディングスの筆頭株主であることを踏まえ、同社との共同生産や日本での工場建設も選択肢になり得るとの考えを示した。
一方、キオクシアの太田裕雄CEOは、独占禁止法上の課題や既存のSandiskとの合弁契約を理由に、SK hynixとの製造面での提携強化に否定的な見解を示している。
経団連の筒井義信会長は9月16日、SK hynixが宮城県に半導体メモリ工場を建設すれば、東北地方の新たな成長の契機になるとして期待感を示した。宮城県も半導体企業の誘致を進めていることを明らかにしている。
崔会長は、AIブームによる半導体不足を背景に、土地、電力、人材、産業基盤を確保できる地域を世界各地で検討していると説明している。米国と日本はいずれも候補として取り沙汰されているが、SK hynixは具体的な投資先や協業先を決定しておらず、今後の判断が注目される。