この半導体ニュースのまとめ

・韓国メディアがSK hynixが日本でのメモリ工場建設検討を報道
・当事者であるSK hynixと宮城県は否定
・米国政府からメモリの米国内生産の圧力もあり、SK hynixの今後の動向が注目される

韓国のハンギョレ新聞が8月21日付けで「SK hynix、日本に半導体工場建設へ」と題する記事を掲載した。記事によると、SK hynixが宮城県に数十兆ウォン(数兆円)を投じて半導体メモリ工場の建設を検討しており、SKグループを統括する崔泰源会長もすでに建設予定地を訪問済みだという。事実なら、韓国半導体企業による日本での初の生産拠点向け大規模投資事例になる。

SK hynixも宮城県も否定

韓国株式取引所(KRX)は同日、SK hynixに事実確認の報告を求め、SK hynixは競争力強化に向けた生産拠点構築などは検討しているが、現時点で確定事項はないと回答したという。SK hynixは7月に米ナスダック市場に上場したため米国当局に対しても同様の内容を文書で提出したという。SK hynixは1カ月以内にさらなる開示をするとしている。

実は今年2月にも、一部メディアがSK hynixが日本でメモリ工場建設検討を伝えたが、その際は「計画を検討したことはない」と完全否定していたが、今回の当局への報告は検討そのものは認める内容へと変化している。

日本のメディアからは、何も聞いておらず、決まっていることもないため、コメントができないとする宮城県の村井知事のコメントが出ているほか、崔泰源会長が宮城県を訪問したことも確認が取れていないとしている。

日本政府の補助金と装置材料エコシステムに注目か

ハンギョレ新聞は続報で、SK hynix内で宮城県への投資を進める再確認がなされたと伝えている。日本政府の経済的支援(補助金)を確保し、日本の製造装置・材料・部品エコシステムと連携してAI半導体サプライチェーンを強化する戦略だという。

これに先立つ形で崔会長は6月10日、日本の新聞でのインタビューで、日本は製造のためのエコシステムが揃っているとし「韓国外での投資を考えた場合の候補地」と述べている。日本の割安の労働力も魅力だろう。

日本政府は海外企業の日本への投資を歓迎か

日本の赤澤亮正 経済産業大臣は、マイクロンメモリジャパン広島工場新棟起工式に出席した際、「(Micron以外の)海外メモリメーカーを日本に誘致する考えはあるか」との質問に対し、「日本政府が掲げる成長戦略で半導体は大きな柱であり、海外企業の日本への投資に門戸を開いている。もし日本に進出したい海外メーカーがあれば、積極的に話を聞いてできる限りのことをしたいと思っている。しかし現時点(7月4日)で具体的な話が来ているわけではない」と答えていた。

米国でのファブ建設が最優先のSK hynix

米商務省のラトニック長官は7月9日、Micron Technologyの米国での式典に出席した際、「Samsung ElectronicsとSK hynixに米国でメモリ生産をさせる方向で、両社と協議中である」と述べており、Micronの競合とはいえ米国の半導体サプライチェーンを強化することが重要との見方を示している。

同氏は同年1月、米国に投資していないメモリメーカーは、米国内での生産拡大を約束しない限り、最大100%の関税がかかる可能性があると発言している。この発言を踏まえればSK hynixが韓国外でメモリの製造投資を行うなら米国が最優先候補地になるだろう。同社は、かつて米国オレゴン州ユージーンにDRAM前工程工場を有していたが、メモリ不況の2008年に閉鎖。そこで活躍した主要なスタッフもすでに退職してしまっているようである。

崔会長は、各種インフラ条件が満たされれば、工場投資を前向きに検討すると米商務長官に伝えたといわれているが、立地選定が難航している模様である。