この半導体ニュースのまとめ
・セントラル硝子の無水フッ酸供給確保計画を経産省が認定、最大約176億円を助成
・山口県宇部市の宇部工場に無水フッ酸の製造設備を新設へ
・中国依存度の高い蛍石と無水フッ酸の供給リスクを抑え、半導体材料の供給網を強化
セントラル硝子は9月16日、経済安全保障推進法に基づく重要鉱物の安定供給確保に向け、同社が策定した「無水フッ酸の供給確保計画」が同日付で経済産業省(経産省)から認定されたと発表した。
山口県宇部市の宇部工場に無水フッ酸の製造設備を新設する計画で、最大約176億円の助成を受けることが可能となる。同認定を踏まえ、同社は今後、設備の規模や投資額、稼働時期などの設備投資に関する具体化に向けた詳細な検討を進めて行くとしている。
半導体用フッ素材料の原料となる無水フッ酸
無水フッ酸は、各種フッ素化合物の出発原料となる化学品で、半導体、エネルギー、情報通信、輸送、医療など幅広い産業で利用される。
半導体製造では、薄膜形成やエッチング、製造装置内部のクリーニングなどにフッ素系の薬液やガスが用いられる。セントラル硝子も無水フッ酸を原料として、メタル配線形成用の六フッ化タングステンや半導体製造装置用クリーニングガス、フォトレジスト向けフッ素化材料などを展開している。
半導体の微細化や構造の複雑化に伴い、材料には高い純度と品質の安定性が求められる。川上側に位置する無水フッ酸の国内生産能力を高めることで、同社の半導体材料を含むフッ素系製品の安定供給につなげる。
中国依存度の高い供給網を強化
無水フッ酸は、フッ化カルシウムを主成分とする蛍石を原料として製造される。日本は無水フッ酸と蛍石の供給を中国からの輸入に大きく依存しており、地政学的な緊張や輸出規制、物流の混乱による供給途絶が課題となっている。実際に中国はかつて蛍石の輸出規制を行ったことがあり、日本もその影響を受けた過去がある。
半導体材料は、純度や不純物、品質、容器、輸送方法などを含めて顧客による認定が必要となる場合が多い。このため、供給に問題が生じても、短期間で別の材料や供給元へ切り替えることは難しい。
経産省は、こうした重要性と供給リスクを踏まえ、フッ素を経済安全保障推進法における重要鉱物の1つに位置付け、国内生産や供給源の多様化を支援している。
宇部工場に製造設備を新設へ
認定された計画では、セントラル硝子の宇部工場に無水フッ酸の製造設備を新設することを予定している。同工場は、同社のフッ素化学技術を活用した各種化学品の生産拠点であり、既存の技術や人材、品質管理体制を活用しながら、新たな設備を整備する計画となる。
最大助成額は約176億円だが、実際の交付額は今後具体化する設備投資の内容などに応じて決まる。同社は平時の安定供給に加え、輸入の停滞や供給途絶が発生した場合にも必要量を確保できる体制を目指す。
半導体工場の国内整備を進めても、製造に必要な薬液やガス、その原料となる基礎化学品を確保できなければ、安定した生産を維持することは難しい。今回の計画は、蛍石から無水フッ酸、半導体用フッ素系材料へと続く供給網の国内基盤を強化する取り組みといえるだろう。