この半導体ニュースのまとめ
・SK hynixが米国でのAIメモリ後工程工場の建設を開始
・クリーンルームは2028年に稼働し、HBM4Eの量産を2029年第3四半期より開始予定
・パデュー大学と尖端パッケージングの研究開発でMOUを締結
SK hynixは8月27日、米インディアナ州ウェストラファイエットでAIメモリ工場の起工式を行い、米国でのHBM生産拠点確保に向けた第一歩を踏み出した。
新工場は同社初の米国AIメモリ生産拠点で、約133エーカー(約47万m2)の敷地に、HBMのパッケージング/最終テストラインと先端パッケージング研究開発のテストベッドを設置する。HBMの前工程(ウェハプロセス)は韓国内で行い、米国に送って後工程を同工場で実施する計画である。
同工場は、2024年12月に米CHIPS法に基づく4億5800万ドルの補助金と最大5億ドルの米政府融資が確定した40億ドル超の投資案件で、クリーンルームは2028年後半に稼働し、HBM4Eは2029年第3四半期に量産予定である。
パデュー大学と共同研究開発覚書締結
イベントでは、インディアナ州の半導体製造工場を中心とした連携促進に向け、パデュー大学とSK hynixが先端パッケージング分野の研究開発に関する覚書(MOU)を締結した。また、退役した在韓米軍(USFK)隊員への雇用・キャリア機会の提供に向け、主要関係者による共同声明も発表された。
米国顧客への次世代メモリ安定供給が目的
SK hynixのクァク・ノジョン(郭魯正)CEOは米国に工場を建設する理由として、米国がAIイノベーションの中心地であり、主要顧客や研究機関、強固な産業エコシステムが集積している点を強調。「Made in USA」のHBMを供給することで、高まるAIメモリ需要へ迅速に対応し、米国顧客への次世代メモリの安定供給を確保する計画だという。
また、地元の大学や研究機関、半導体産業との連携と雇用創出を通じ、技術、人材、産業がともに成長する米国のAIメモリエコシステム構築を目指すとしている。
メモリ供給不足は2030年まで継続
メモリの供給不足についてSKグループは3月、崔泰源(チェ・テウォン)会長が業界全体で20%以上の供給不足が2030年まで続くと述べたほか、7月にはクァクCEOが2027年を供給面で最悪の年と語っている。
起工式後の記者会見でもクァクCEOは、メモリ不足が2030年末まで続くとの見方を示した。需要に下降の兆候は見えず、2030年以降もAI産業は成長を続け、仮に減速しても緩やかになると説明。現在の製品は汎用品ではなく、部分的または完全にカスタム化されており、顧客との連携で将来需要を見通しやすくなったことを根拠に挙げた。
SK hynixの米国でのDRAM前工程工場建設地は未定
米国でのDRAM前工程工場の建設については未定とし、電力、用水、政府の優遇措置を検討材料に、複数の地方自治体と交渉中であると語るにとどめた。
メモリ工場の新設については、「機会を与え、顧客とともに新たな事業機会を提供してくれる場所なら、どの地域・国にも開かれている」とし、米国以外への展開にも含みを持たせた。
このほか、SK hynixが間接的に投資するキオクシアの扱いには慎重な姿勢を示した。保有するキオクシアの転換社債(CB)を株式に転換すれば筆頭株主となるが、クァクCEOは「キオクシアの持分に関して確定した計画はまだない。我々は米国でAI産業に貢献するように、日本国内の半導体事業にも貢献したい」と述べた。子会社Solidigmの新規株式公開(IPO)計画も、まだ議論の段階としている。
