夫婦のパートナーシップは溝を埋めるものではなく、夫婦が子育てという課題に対してそれぞれが”違う目線”で取り組むもの。第6回にわたってお届けする連載「#令和的夫婦のパートナーシップ 」では、夫婦の“違う目線”に着目して、「想いを持ってやっている……のに、うまく伝わらない」「良かれと思って伝えたのに、怒られた」といった夫婦間の会話についてアンケートをとりました。その結果を基に、私・あいが自身の経験を踏まえてパパママそれぞれの目線から問題を紐解いていきたいと思います。
あいさん
2018年5月に長女(ゆいどん)を出産。会社員を経て、現在はフリーランスのデザイナーとして働くワーママ。家族愛強めな夫(どんパパ)と共に子育てに奮闘中です。ドタバタな日常や育児のお役立ち情報を、ブログやInstagramに投稿しています。著書に「いけいけどんどん!ワーママ奮闘記」(マイナビ出版)。産後少しして外出の用事ができたママは、昼寝をしている赤ちゃんのお世話をパパに頼んで出かけて行きます。
しかし、帰ってくるといろんな点が気になってママは不機嫌モード…… 一方パパはというと、なぜママが怒っているのか分かっていません。
「見ておいて」
この言葉、ママはどういう意味を込めて伝えたのでしょうか。そしてパパはどう受け取ったのでしょうか。ママとパパたちの意見を見てみましょう。
- 赤ちゃんの様子を見て、必要なお世話をしたり、遊んであげたりしてほしい。
- 子どもと関わる時間を増やして、もっとお世話ができるようになってほしい。
- 結果、本当に見ているだけだった。パパのやる気が足りないのではないか。
- 赤ちゃんに問題がないか観察するよう、任されたと思った。
- 問題がないことが確認できているので、あとは自分の好きなように過ごしていいと思った。
- 頼まれたことはちゃんとやっているのに……ママの真意が分からない。
どうやらママが言う「見ておいて」は赤ちゃんの様子を見ながら、身の回りのお世話をするまでを指しているよう。しかし、「見る」という意味をそのまま捉えているパパは、最低限の観察をしながら自分の時間を過ごしていました。
パパはやる気がないわけでも、面倒くさいと思っているわけでもなく、「見ておく」ことがどういうことか、分からないだけなのかもしれません。
ママはこんな時にはどうやって伝えれば良かったのか?解決策を考えてみましょう。
■ やってほしいことを具体的に伝える
パパが育児に慣れていない場合は、いつ・何をしてほしいのか、なぜしてほしいのかを詳しく伝えておいたほうが安心です。特に場合によって赤ちゃんに思わぬ危険が及ぶ可能性があることを、忘れずに伝えましょう。
■ 普段から赤ちゃんの情報共有をする
普段ママのほうが赤ちゃんと接する時間が長い場合は、ママのほうが気を付けるポイントをたくさん知っているはず。いま赤ちゃんはこんな状況で、日々こういったことが起きているかということを、どんどんパパに共有しておきましょう。
こちらのケースで先ほどの場面に当てはめてみましょう。
「〇〇しておいて」と省略せずに、丁寧なコミュニケーションを心がけると、すれ違いはぐっと減るはず。赤ちゃんに関する背景の情報が多いほど、お世話の一つの動作が『作業』にならず、意味のあるものとして捉えられるようになります。トラブルが起きた時に回避方法を考えて動くことができるかもしれませんし、「こんな遊びが好きなんだよ」と伝えておけば進んで遊び、赤ちゃんとの触れ合いに喜びを感じるはずです。
多くのパパは「ママと一緒に育児をしたい」「子どものために頑張りたい」という気持ちを持っていると思いますが、いろんな事情があり、1人で赤ちゃんを見る機会が少ないパパが多いのが現状です。そんなパパは経験不足から不安を感じていることも多いでしょう。
ただそんなパパも、わからないからといってママにお任せ状態になりすぎず、育児で起こる全てのことは自分に関わることだという意識を持って行動してみてください。
まずはママと赤ちゃん、3人でいる時に率先してお世話をし、ママからテクニックをたくさん教えてもらってください。積み重ねていくうちに、赤ちゃんをうまく見る自信に繋がるはずです。
ママはパパがうまくできないシーンを目にすると「やる気が足りない」と不満を感じることもあるでしょう。普段自分のやりたいことを我慢し、神経をすり減らしながらお世話をしている時間が長いため、そう感じてしまう人は多いと思います。
まさに筆者も当時はそう感じてしまっていたひとり。しかしそんな時に、ママはイラッとして「使えない人!」と決めつけたり、否定や傷つける言葉をかけたりすることはグッと堪えてみてください。きつく伝えると、パパが萎縮してしまったり、嫌気がさしてしまったりして、本来幸せであるべき育児が楽しくなくなってしまいます。パパがうまくできない時は理由を聞いて、改善に繋がる話し合いをしてもらいたいと思います。何度失敗があったとしても改善を繰り返していけば、共に育児をするきっかけに繋がる、通過点となります。
育児をしていると真剣になりすぎるあまり、互いに行動の一つひとつが気になってしまうことがあるかもしれません。しかし、人には得意不得意があります。それはもちろん育児にも。でも、重要なのは「パパとママが同じ方法で完璧に育児ができること」ではなく、互いの力を合わせて「赤ちゃんを健やかに育てられていること」ということに立ち返るのもいいかもしれません。
実際に筆者の私はというと細かい作業が得意なのに対して、夫は大雑把で力仕事が得意。物事の決定スピードが早い私に対して、しっかりと調べて物事を決定したい夫。それぞれの得意・不得意は違えど、それぞれの得意なことを認識し、やりやすい方法は人それぞれだと思うと気にせずに済みます。
育児は大変なものですが、本当に幸せなものでもあります。 夫婦一緒に育児をつづけていく未来を明るいものだと思えるよう、思いやりと助け合いの気持ちを持って、楽しんでいってもらいたいと思います。
全6回にわたるシリーズも、今回で最後になります。1~5回を読んだことのない方は、ぜひそちらもご覧ください。この記事が夫婦の子育てで問題が起きた時の、解決策のヒントになると嬉しいです!
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