実例を基に、現場でのリアルなマーケティング事情を深掘りする本企画。vol.3では、第38回 全日本DM大賞で応募総数703点のなかからグランプリも受賞した、プラナクリエイティブの広告施策に迫ります。本施策の制作ディレクター渡辺さんと、広告主である北海道産地直送センターの坂牧さんのお二人に対談形式でお話を伺いました。

全日本DM大賞とは
  • ABテストやサイト上の行動把握などの仕掛けを施した「反応率1.8倍&購入単価2倍!ほたて型リピート促進(ほたてDM)」(写真左)と楽しみながら商品の追加購入を促す仕掛けを施した「過去最高の受注率32.2%!購入履歴反映ビンゴDM」(写真右)

日本郵便株式会社が主催する優れたダイレクトメール(DM)を顕彰する「全日本DM大賞」。第38回では、応募総数703点のなかから北海道産地直送センターが出品した2つのDM「過去最高の受注率32.2%!購入履歴反映ビンゴDM」と「反応率1.8倍&購入単価2倍!ほたて型リピート促進(ほたてDM)」でダブル受賞。いずれも高い評価を得た。

購入者の行動と嗜好を徹底して見える化!
データ分析を使ったリピート販促施策とは

この方にお伺いしました

株式会社プラナクリエイティブ マーケティング部 部長 渡辺武さん

通販クライアントを中心に、既存顧客のフォロープラン等のクリエイティブ制作を担当。企画から実制作の管理、施策実施後のフィードバックまでトータルでディレクションしている。

北海道産地直送センター 通販事業部 営業部 坂牧一静さん

北海道の生産者から仕入れた食材を全国の消費者に届ける『北海道産地直送センター』のECサイトでの販売管理を行っている。生産者とやりとりして商材を集めるところから、商品選定、サイトの管理運営まで幅広く担当。

―まずは、第38回 全日本DM大賞「グランプリ」の受賞、おめでとうございます!
早速ですが、今回の事例の商材やターゲットなど詳細を教えてください。

商材や課題は下記の通りです。

クライアント:北海道産地直送センター
商材:北海道産の食材(カニ、ホタテ、アスパラガス、ジャガイモなど幅広く)
ターゲット:全国の既存顧客
目的:売上の向上
課題:過去に購入してくださったことのあるお客様へのリピート販促としては、ほぼ電話のみで営業を行っていた

ーどのような経緯でプラナクリエイティブとの取り組みをすることになったのでしょうか?
プラナクリエイティブと富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社様との協業で、『行動・嗜好分析』を使ったクリエイティブ制作のプロジェクトを行うことになり、お取引きのある企業様にお声がけをしたことがきっかけでした。

  • 北海道産地直送センター 通販事業部 営業部 坂牧一静さん

既存顧客に向けたリピート販促のDMを制作するご提案を受けました。実は北海道産地直送センターがプラナクリエイティブのグループ企業ということもあり、私が行動・嗜好分析についての勉強会に参加する機会もあったんです。提案を受けたタイミングがちょうど電話営業のみでなく新たな接点を作り、リピーター様からの売上を上げたいと考えていた時期でもあったので、ぜひ一緒にやってみたいと思いました。社内でもクリエイティブ制作ができますが、より専門的に、マーケティングの視点も含めてクオリティの高い制作物を作りたいという思いがあったのも、施策実施のきっかけです。

ー行動・嗜好分析を使ったクリエイティブ制作とは具体的にどのような施策なのでしょうか?

まず、既存顧客に向けてアンケート調査を行い、行動・価値観や色などの嗜好を分析し、顧客の特徴を可視化します。さらに購入回数や金額によって、顧客を3~4つの属性に分類し、各層に合わせて作り分けたクリエイティブを届けるという施策です。下記のような流れになります。

今回は特別に、取材班だけに実際のセグメンテーションブリーフやシナリオの資料を見せていただきました。何十項目という設問のアンケート結果を使って、非常に細かい分析がされており、膨大な量の資料に一同驚愕。色については、好まれる色や配色のランキングを基にカラーチャートにまで落とし込まれていました。

ー調査による分析はマーケティングの基本ではありますが、分析結果を使ってここまで細かく方針を決めているとは驚きました!
そうですよね、ここまでやっているところは他にはないんじゃないでしょうか(笑)。 広告クリエイティブを制作するときは、通常はクライアントの考え方や制作者の感覚に頼りがちになります。もちろんそれが成功の要因になる場合もありますが、どうしても考え方が偏ったり、担当者が変わると再現できなくなったりする問題も出てきますよね。ですからこのプロジェクトでは、デジタルの力を使ってより機械的・体系的に、効果の高い成果物を作れるようにしていきたいという思いで取り組みました。

  • DM大賞でグランプリを受賞した「ほたて型リピート促進(ほたてDM)」

私たちとしても、効果的なクリエイティブの作り方を体系的に確立できれば、今後の広告施策でもずっと活かしていくことができると思い、期待していました。

ー実際のDMを見せていただくことはできますか?

はい、例えばこちらです。

  • 新鮮さや特別感が感じられるA(写真左)と格調の高さや産直おすすめ感を感じさせるクリエイティブB(写真右)

直近1年間で1回のみの購入、かつ購入価格が低かった顧客にはA、年間2回以上購入された顧客にはBを送付しました。Aは新鮮さや特別感が感じられるクリエイティブに、Bは格調の高さや産直おすすめ感を感じさせるクリエイティブを制作しています。カラーリングやコピーも、セグメント別に作り分けています。

ーなるほど!同じ商品でも、クリエイティブによって印象が全く変わりますね。

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まさかの色使いに困惑!?
数字から導くクリエイティブ制作

ーDMが形になるまでに最も大変だったことはどんなことですか?

一言で言うと、データに振り回されてしまったことですね。例えば、カニを売り出すためのDMを制作する際、データによる分析では青色のクリエイティブで効果が出るだろうという結果になりました。ですが、カニと言えば赤ですし、そもそも食品のクリエイティブには暖色を使って美味しそうに見せるのがデザインのセオリーでもあります。

ー赤いカニを青いクリエイティブで……!普通では考えられないカラーリングですね。最終的にどうされたのでしょうか?

数字を基に分析した、根拠のあるカラーでしたので、信じてやってみようということになりました。気持ちの悪い色使いになってしまうところを、デザイナーがなんとか調整してまとめ上げ、青いクリエイティブが完成しました。そしてバカ正直に作ったDMを送付したところ……衝撃的な結果が出たんです。

行動・嗜好分析の末、斬新なカラーリングに仕上がったDMは、どのような効果をもたらしたのでしょうか? この施策の効果はvol.4でお届けします。

Vol.4(後編)はこちら

information

プラナグループは、マーケティングを主軸とした広告事業を原点に、現在では自社通販事業や店舗運営、コールセンターや物流拠点といったフルフィル対応、海外進出のサポートまで幅広い事業を展開しています。今回お話を伺った渡辺さんが所属するのは株式会社プラナクリエイティブで、広告クリエイティブの企画・制作事業を行なっています。

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なぜ渡辺武さん はプラナクリエイティブに?

Interviewee

渡辺さんは、もともと企画を考えたりデザインしたりすることが好きで、クリエイティブ職に就きたいという思いから入社されたとのこと。デザイナーからキャリアを積み重ねて今はディレクターとしてご活躍中です。

プラナグループは少数精鋭で、ベンチャースピリットに溢れているところが特徴だと思います。若くても、やりたいことがあれば手を挙げて挑戦していける環境です。メディアや企画制作など様々な部署がありますので、個性に合った働き方をしていけるはず。好奇心旺盛な人に向いている職場だと思います。

マーケティングやクリエイティブ制作の現場で、新しいことに挑戦していきたいという方は、ぜひ採用情報もチェックしてみてください。

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