2022年4月の学習指導要領改訂により、小学校、中学校、高校において金融教育が義務化されました。それに伴い、Visaは金融教育への取り組みとして、高校生が楽しみながら学べる金融コンテンツの開発や、都立高校への出張授業、「第19回全国高校生金融経済クイズ選手権エコノミクス甲子園」への協賛を行い、学生の皆さんにお金の正しい使い方や管理方法などを伝えています。Visaが金融教育に力を入れる理由は何なのか? 一連の活動に関わっている、ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社の松本直久さんに伺いました。

高校生に向けてVisaが本当に学んでほしい金融教育とは

――金融教育の活動を始められた背景を教えてください。

成人年齢が引き下げになったことで、18歳からクレジットカードを作れるようになりました。しかし、だからといって、18歳になった途端にクレジットカードをむやみに使用していいということではありません。お金に関する知識を持たないまま使いすぎると、トラブルに巻き込まれるリスクもあります。その結果、「キャッシュレスは危険」という短絡的な思考を抱く人もいるはずです。そのような事態を招かないためにも、金融教育が必要だと考えました。

――若者たちに「お金の正しい知識を身につけてほしい」という思いが、発端にあるのですね。

そうです。「世界中どこでもいつでも誰からも選ばれ、受け入れられる決済手段の提供により、豊かな生活の実現を目指すこと」をパーパスに掲げるVisaとしては、金融教育に責任を持って携わっていく必要があると考えています。将来クレジットカードを使うかもしれない学生の皆さんには、お金のことをきちんと勉強したうえで便利に安全に利用いただきたいです。そのためにも、高校生のうちから利用できるVisaデビットをキャッシュレスの入口として使用することで、お金の管理の練習をしていただければと考えています。

――近年取り組んでいる、金融教育の内容を教えていただけますか?

まずは2023年11月に、マイナビ学生の窓口が実施する、大学生と企業が共創してアイディアを形にするプロジェクト「キョーソウPROJECT」に参加しました。テーマは「高校生が本当に受けたい金融教育」で、高校生が楽しみながらお金の管理やVisaデビットのことを理解できるコンテンツを、大学生の皆さんのアイディアをもとに開発しました。たとえば「お金性格診断」は、質問に答えることでお金の使い方の癖を把握できます。「パリピ型」「江戸っ子型」「コレクター型」などの8タイプがあり、人それぞれいろいろなお金の使い方があるのだなと気軽に知ることができるのです。

あなたのお金の使い方は何タイプ?
お金性格診断

――遊び感覚で学べるのは楽しいですね!

そうなんです。遊び感覚という意味では、このプロジェクトで生まれた「お金の達人一首」というカードゲームは、最高に盛り上がるアトラクションです。かるた形式で、読み札には、家計管理や金融、経済の仕組み、消費生活やキャリア、そしてVisaデビットなどに関する文言が書かれています。座学とはまったく違い、遊びながらお金にまつわる知識が定着するので、金融教育にぴったりのコンテンツに仕上がっています。

遊びながら金融知識が身に着く
お金の達人一首

――高校生向けの金融教育コンテンツに携わられて、どのような感想をお持ちですか?

こちらが提供させていただくものに対して、高校生の皆さんが本気で取り組んでくれる姿を目の当たりにする機会が多く、大変刺激を受けています。「キョーソウPROJECT」への参加後、2024年10月には東京都立翔陽高校に出張授業に伺い、今年の2月には「第19回全国高校生金融経済クイズ選手権エコノミクス甲子園」に協賛という立場で関わりました。双方で「お金の達人一首」を楽しんでもらう時間があり、高校生の真剣な表情と興奮ぶりには驚かされました。

金融教育に向けたコンテンツができるまで

84%の高校生の関心がアップ! 出張授業@都立翔陽高校

※出張授業後のアンケート結果より

――それでは、まず、都立翔陽高校の出張授業の様子を教えてください。

翔陽高校には、昨年の10月23日に伺いました。「総合的な探究」の授業として約230名の高校3年生を対象に講義させていただいたところ、皆さんが熱心に話を聞いてくれて驚きました。私自身は、体育館の壇上に立つ前は「果たして真剣に聞いてくれるだろうか」と思っていたので(笑)。授業では、キャッシュレス決済の現状やVisaデビットを使ったお金の管理方法、さらに金融トラブルを避けるために気をつけておきたいことなどについてお話しました。

――この授業で、学生さんに最も伝えたかったことはどのようなものだったのでしょう?

高校を卒業すると、保護者の方々のもとから離れて自分自身で金銭を管理する場面が増えます。そのときに知識を持ち合わせていないと、たとえば、クレジットカードを使いすぎて後日支払いに困難するといった問題が起こります。このことは、高校生の皆さんにしっかり理解してほしいと思いました。

また、金銭面で困ると、いわゆる「闇バイト」に引っかかる危険性も出てきます。そうならないためにも、お金の管理は非常に重要。自分で自分のお金の管理をする最初のキャッシュレス決済の方法として、支払いと同時に銀行口座から金額が引き落とされるデビットカードは非常に有効だという話もさせていただきました。

――生徒さんからはどんな感想が寄せられましたか?

アンケートの回答によると、この授業を受けて「金融教育に関する興味や関心が高まった」という声は計84%と、生徒さんが金融教育に対し前向きになってくれたことが嬉しかったです。また、授業の最後に行った「お金の達人一首」については、「同じグループのみんなと楽しんで取り組めてよかった。またやりたい!」などの声をいただくことができました。各グループで札を一番多く取った人には「お金の達人一首」をプレゼントさせていただいたので、皆さんでぜひ何度も楽しんでほしいです。

高校生の金融知識とやる気に感動!「エコノミクス甲子園」への協賛

――そして、「第19回全国高校生金融経済クイズ選手権エコノミクス甲子園」には協賛企業として参加なさいました。協賛されたきっかけを教えてください。

金融知力を身につけることを推進している、認定NPO法人金融知力普及協会が運営しているこの大会には非常に興味を持っていました。また、大会には全国の地方大会を勝ち抜いた45チームの高校生が集います。今後デジタル化社会に向けてますます変化が求められる中、高校生の金融に対する学習意欲を応援したいと考え、今回の協賛を決定いたしました。

――全国から集まった高校生に、カードゲーム「お金の達人一首」を楽しんでもらう時間もあったのですよね。

「エコノミクス甲子園」決勝戦の前々日に、「お金の達人一首大会」を催しました。もう大変な盛り上がりで、かるた取りに慣れてくると上の句の冒頭を聞いただけで下の句を想像して札を取る生徒さんが現れるなど、熱く真剣な姿を見せていただきました。短時間でこんなにも金融教育の内容が定着するのかと、感動的ですらありました。また、あの場で初めて会ったメンバー同士なのに、以前からのクラスメイトのように打ち解けていて、その社交性にも驚かされましたね。

――「エコノミクス甲子園」当日の様子はいかがでしたか?

ふたり1組の全45チームが、金融や経済、時事問題、お金に関する雑学など、さまざまな問題に解答し金融知力を競っていました。優勝賞品のニューヨーク研修旅行を獲得しようと、全員がこの日のために金融の勉強を重ねてきているわけですが、その知識量が半端ではなく圧倒されましたね。

――会場は緊張感に満ちていたでしょうね!

それが、そういう雰囲気がありながらも、この場を楽しもうという空気も感じられました。お互いに競争相手ではあるけれど讃え合っていて、スポーツマンシップに溢れているというか。エコノミクス「甲子園」というだけあって、実に爽やかで感動しました。何事にもやる気を持って取り組める高校生たちが結集していて、その大会の一助となれたことをとても光栄に感じています。

――高校生たちには、今後、金融に対してどのような意識を持ってほしいですか?

たとえば買い物をする際、スムーズでわかりやすい支払い手段を選んだり、必要なものを得るために無駄遣いをしないなど。お金を管理する方法をできるだけ早いうちから学んでほしいです。知らないから失敗をしたり、わからないから不安に陥るのです。学んで理解をすれば不安はだいぶなくなるので、豊かで充実した人生を送るためにも、今からお金の使い方をぜひ知っていただきたいです。

また、金融に興味のある学生さんたちは、「自分が商品やサービスを提供する側になったら……」という想定で物事を考えるのもおもしろいと思います。消費者の人に喜んでもらうためには、その商品やサービスをどういう支払い方法で提供すればいいだろうか? などの発想を持つことも、金融知力の向上につながります。

金融教育への取り組みに対するVisaとしての考え

――それでは最後に、御社が考える金融教育への展望をお聞かせください。

金融教育が義務化されたのはごく最近なので、しばらくは、誰が子どもたちに教えるのかという点が課題になると思います。学校の先生方は現時点でも長時間労働で大変な思いをなさっているのに、新規かつ専門分野の金融教育まで任されるのは困難に違いありません。

そのためにも、Visaとしては、引き続き学生の皆さんの学習意欲を応援させていただきたいです。学校で「お金の達人一首」をやっていただくだけでも、実生活に役立つ金融の知識をゲーム感覚で得られます。今後も、さまざまな年齢や目的に応じた金融教育コンテンツの開発を通して、金融についての学びや金融リテラシーの向上に貢献していきたいと考えています。

ここから始める、お金の学習

金融教育のコンテンツができるまで

[PR]提供:ビザ・ワールドワイド