日本演劇界だけでなく、海外の演劇人とも精力的に創作を行ってきた劇作家・野田秀樹が率いる「NODA・MAP(ノダマップ)」。その最新作となるNODA・MAP第27回公演『正三角関係』(作・演出:野田秀樹)は、NODA・MAPの人気の高さに加え、松本潤、長澤まさみ、永山瑛太という豪華俳優陣が名を連ねたこともあり、チケットが入手困難となるなど話題となった。

そんな話題作がついにWOWOWにて、3月22日(土)午後8時より放送・配信。今回は舞台『正三角関係』の見どころや、放送・配信ならではの魅力などを紹介していく。

 

舞台『正三角関係』あらすじ

  • 撮影:岡本隆史

物語の舞台は第二次世界大戦末期の長崎。花火師一家「唐松族(からまつぞく)」の三兄弟の長男・富太郎(松本潤)は花火師、次男・威蕃(永山瑛太)は物理学者、そして三男・在良(長澤まさみ)は神に仕える人に。それぞれの夢を叶えた三兄弟が集められたのは、富太郎が父親殺しの罪に問われる「法廷」だった。

紛糾する審理に、富太郎ら三兄弟それぞれの回想が混じり合う中、一つの犯行動機が浮かび上がる。それは、父親と同じ女性、グルーシェニカ(長澤まさみ)を愛した三角関係のもつれ故の犯行だというのだが……。複雑に絡み合う三角関係に、次々と明かされていく事実、そして三兄弟の関係。やがて物語は予想すらしないある出来事へとつながっていく。

 

見どころポイントその1:野田秀樹作・演出の神髄を味わえる至極の最新作

  • 撮影:岡本隆史

19世紀ロシア文学を代表する文豪ドストエフスキーの最高傑作『カラマーゾフの兄弟』をモチーフに、野田が新たに創り出した「唐松族(からまつぞく)の兄弟」の物語となる今作。ではあるが、野田自身が語っているように『カラマーゾフの兄弟』の内容を事前に知らなくても楽しめるものとなっているので、身構える必要はない。

そんな古典への斬新なアプローチに、“カラマーゾフ”=“唐松族”を筆頭とした台詞の中に散りばめられ、観客の笑いを誘う「言葉遊び」と「詩情豊かなせりふ」という野田作品らしさはもちろん健在だ。さらに、舞台ならではの熱量に満ちたアンサンブルワーク、そしてテープなどを用いた、“見立て”といった野田演出の数々が目を奪う。

  • 撮影:岡本隆史

NODA・MAPの公演は幕が開くまで物語の全貌が明かされないことでも有名だ。今作でも、父と子と謎の美女による三角関係を発端とした“父親殺し”というサスペンスあふれる法廷劇にはじまり、三兄弟それぞれの想いが、周囲がもたらすさまざまな思惑と混ざり合い、壮大な物語へと広がっていく。

 

見どころポイントその2:豪華キャストによる夢の共演はまさしく演劇界の大事件!

野田が「この作品のために生まれてきた3人」と賞する座組が実現した。
今回が舞台初共演となった松本潤、長澤まさみ、永山瑛太の3人が魅せる演技は、本作の大きな見どころとなっている。

実に13年ぶりの舞台出演となった松本は、およそ20年前に野田と出会ってから数多くのワークショップに参加し、満を持してのNODA・MAP初出演。職人気質な頼れる兄貴分で花火師というワイルドな役柄で、これまでにない新鮮な姿を見せながら、クライマックスに向けての鬼気迫る演技とモノローグに陶酔を禁じ得ない。

番外公演『THE BEE』(21年)で暴力に屈していく様を儚くも美しく演じ観客を魅了した長澤。今作では、三男坊ならではの頼りなさを感じさせつつも、神に仕える人間として一生懸命な姿を見せる。さらに長澤はストーリーの鍵を握る魅惑的な美女という振り幅の大きい二役を、無垢な姿と華々しさを持って巧みに演じ分ける。

  • 撮影:岡本隆史

そして、過去のNODA・MAP作品では、『MIWA』(13年)、『逆鱗』(16年)に出演し、鮮烈なインパクトを残してきた永山は、今作で神をも恐れぬ大胆不敵な物理学者としてこれまで以上の存在感を見せつける。

  • 撮影:岡本隆史

その3人を取り巻くのが、村岡希美、池谷のぶえ、小松和重、竹中直人。そして役者としても出演する野田が加わる。日本演劇界の名バイプレーヤーにして演技巧者たる俳優陣によって今作の豪華さに拍車が掛かかり、ステージがさらに華やいでいく。もちろん、野田演出の真骨頂であるアンサンブルワークも必見。森羅万象を表現する17名の精鋭アンサンブルキャストにも注目だ。

 

見どころポイントその3:生の観劇とは異なるWOWOW収録映像ならではの迫力

今回の東京公演収録映像では、劇場で観るよりも、より役者の繊細な表情の変化や演技を楽しむことができるだろう。演者たちのしたたる汗も感じ取れるほどの臨場感が、様々なカメラアングルとステージの盛り上がりを逃さないカメラワークによって、生の観劇とは異なる魅力が満載だ。

また放送では、本邦初公開の松本×長澤×永山×野田の4人による座談会も収録。ファンにはたまらない舞台の裏側や、みどころを語っており、座談会を見てからWOWOWオンデマンドのアーカイブ配信で舞台を再度楽しむこともできる。今回のWOWOWならではの放送・配信で存分に舞台『正三角関係』の魅力を感じ取ってほしい。

 

放送・配信情報

NODA・MAP『正三角関係』作・演出 野田秀樹 松本潤×長澤まさみ×永山瑛太
2025/3/22(土)午後8:00~
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信。

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新作放送記念でNODA・MAPのスペシャルなラインナップも放送・配信!

WOWOWでは、NODA・MAP最新作となる舞台『正三角関係』の放送を記念して、「新作放送記念! NODA・MAPスペシャル」と題し、舞台『正三角関係』を含むNODA・MAPの作品3作を特別に放送・配信! 貴重なこの機会を逃さずにぜひチェックしてほしい。

NODA・MAP『Q』:A Night At The Kabuki 松たか子×上川隆也×広瀬すず×志尊淳

12世紀の日本、激しく対立する源氏と平家。その戦下の中、たった5日間――432,000秒の恋に身を焦がす若き瑯壬生と愁里愛。すれ違って死を迎えるはずの2人が、もしも生きていたら……。

NODA・MAP『Q』:A Night At The Kabuki(作・演出:野田秀樹/音楽:QUEEN)は、シェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」をベースに、「もしロミオとジュリエットが生きていたら」という後日譚が描かれる。そこに、世界的ロックバンドQUEEN (クイーン)の名盤『オペラ座の夜』の名曲たちが掛け合わされ、舞台を強く優しく包み込む。人間の愛、憎悪、友情、裏切りなど、幾つものファクターが複雑に交錯し、スリリングな展開を見せる。

<放送・配信情報>
NODA・MAP『Q』:A Night At The Kabuki 松たか子×上川隆也×広瀬すず×志尊淳

2025/3/21(金)午後5:45~
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信。

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NODA・MAP「兎、波を走る」作・演出 野田秀樹

“つぶれかかった遊園地”を舞台に、迷子になった娘・“アリス”を捜す母親の妄想が、遊園地でリハーサル中の“不思議の国のアリス”のショーと交錯する。そこに、ある“世界的な稀代の劇作家”まがいの人間も絡み、物語は展開。仮想現実やAIと人間の関係なども盛り込まれ、まるで遊園地のジェットコースターのように目まぐるしく展開する物語の真相とは――。

出演は、『フェイクスピア』(21年)でNODA・MAP初参加にして、その年度の読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した高橋一生、数々の野田作品で唯一無二の存在感で観客を魅了してきた松たか子。さらに本作がNODA・MAP初参加となった多部未華子らが熱演。

<放送・配信情報>
NODA・MAP「兎、波を走る」作・演出 野田秀樹

2025/3/21(金)午後9:00~
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信。

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NODA・MAP作品を何度でも楽しめる!「WOWOWオンデマンド」

「WOWOWオンデマンド」は、WOWOWが提供する番組配信サービス。24時間365日、いつでもどこでも好きなコンテンツを視聴することが可能だ。WOWOWのオリジナルドラマはもちろん、スポーツや音楽、海外ドラマ、今回紹介したNODA・MAP作品といった舞台作品も、いつでもどこでも楽しめる。

各コンテンツは、テレビだけでなく、パソコンやスマホ、タブレットでも視聴可能。WOWOWに加入済みの方は、無料で利用可能だ。

ぜひ、この機会にNODA・MAPシリーズ最新作の『正三角関係』と過去の名作を、配信でも心ゆくまで堪能してほしい。

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