「ダークパターン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「消費者が気づかないうちに不利な判断に誘導するWebデザイン」のことで、各国で規制する法整備が進められているくらい問題視されています。
「そんなものに出会ったことはない」「自分には関係がない」と思っているそこのあなた! 実はそんな人こそ知らないうちにダークパターンの被害に遭っているかも……。
ダークパターンの被害を防ぐには、どんなものがあるのかを知っておくことが大事。今回は身近に潜むダークパターンについて紹介します。
ダークパターンから消費者を守る!
一般社団法人ダークパターン対策協会について詳しくはコチラ
あのお知らせ画面も実はダークパターンだった!?
「セール終了まであと◯分!」急いで購入ボタンを押したら……
ほしい商品を探していて、たまたまたどり着いたECサイト。アクセスしてみたら、画面に「今だけ◯%OFF!」「セール終了まであと◯分!」の文字が。しかも、セールの残り時間はリアルタイムでどんどん減っているように見えます。早く購入しないと値段が上がってしまう! と焦り、商品をカゴに入れて決済してしまった経験はないでしょうか。
ネットショッピングや旅行の予約サイトで、「早く買わないとセールが終わって損をしてしまう」と思わせる手法はよく見かけます。もし、本当にセールを行っていて、そのセールが表示どおりの時間で終了するのであれば問題はないでしょう。それは、正しい情報を消費者に伝えているからです。
しかし、実際にはセールを行っていなかったり、緊急性を強調して冷静な判断を鈍らせることを目的としているのであれば、これは悪意を持って消費者を誘導するダークパターンと言えます。
焦って購入するのではなく、本当にその商品やサービスが必要なのか、一度冷静になって考えてみるようにしましょう。
一度きりの購入だと思っていたら、定期購入だった
ネットショッピングをしていて、商品が安く購入できるサイトを発見! 一度きりの購入のつもりで決済したら、しばらくして同じ商品がまた届いた⁉ 購入サイトをよーく見ると、商品ページに小さく「定期購入」の欄があり、最初からチェックが入った状態に。せっかく安く買い物できたと思ったのに……なんてことも。
安く購入できるのは定期購入だからということがわかりやすく書かれていたり、決済前にきちんと「定期購入である」ことが消費者に伝わるようになっていればいいのですが、わざとわかりにくくして知らない間に契約させようとするのはダークパターンです。
また、商品ページでは安い価格を見せておいて、決済時に「サービス料」や「特別チャージ料」などのよくわからない料金がこっそり上乗せされているなんてダークパターンも……。
ECサイトではこうしたトラブルが起きやすいので、自分が知らないサービスが含まれていないか、決済前によく確認するようにしましょう。
どうやっても解約できない……
サブスクサービスなどを利用していて、解約しようと思ったのにサイトのどこを探しても解約ページが見つからない! というダークパターンもよく問題になります。
サービスを提供する側としては解約されたくないため、なるべく解約ページは見つかりにくいようにして踏みとどまらせたいのでしょう。気持ちはよくわかります。でも、ユーザーにとって不利な誘導を行うのは悪意のあるダークパターン!
さらに、契約はネットから簡単にできるのに、解約となるとコールセンターに電話をかけないとできないというケースもあります。電話自体が面倒な上に、ナビダイヤルでなかなかつながらずに通話料金がかかってしまう。また、執拗に引き止められるので、気の弱い方はそのまま契約を続けてしまうことも。これも解約しにくいというダークパターンのひとつです。
契約前にあらかじめ解約方法を調べたり、SNS等でそのサービスの解約に関する評判を検索したりしておくといいでしょう。
その他にも、サイトにアクセスしたら「当サイトはクッキーを利用しています」といったCookieバナーが表示され、同意をしないとサイトが利用できないというダークパターンもあります。Cookieの取得について同意を求めること自体は誠実な行為といえますが、一方で「Cookieの同意をしなければサイトを閲覧できない」のは同意の強制のダークパターンです。
消費者のために活動するダークパターン対策協会とは
ダークパターンは今回紹介したもの以外にもさまざまあり、見抜きにくい場合も少なくありません。こうしたダークパターンについての情報を世の中に広めることで、Web同意の透明性向上やユーザー保護を目指すのが、一般社団法人ダークパターン対策協会です。
同協会では、「そのWebサイトがダークパターンを使用しておらず、誠実であるか」を消費者が判断できるように「非ダークパターン認定(Non-Deceptive Design Accreditation)/通称:NDD認定」を構築しています。NDD認定を受けた企業はロゴを使用できるので、消費者が誠実なWebサイトを判断する目安になるというわけです。
また、制度に関するガイドブックを作成してダークパターン対策の情報を伝えたり、企業のWeb担当者向けのガイドラインを作成したりと、ダークパターンの被害が起きないようさまざまな活動を行っています。
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今回紹介したダークパターン、皆さんも一度は経験したことがあったのでは? 日本ではまだまだダークパターンの法規制が進んでいないため、私たち消費者の対策も重要になります。
安心してWebサイトを閲覧できるよう活動を続ける一般社団法人ダークパターン対策協会の活動にも注目したいですね。