あなたは「ダークパターン」という言葉を知っていますか? 言葉は知らなくても、実は遭遇したことがあるかもしれません。

ダークパターンとは、「消費者が気づかないうちに不利な判断に誘導するWebデザイン」のこと。昔から存在していた手口ですが、ダークパターンと呼ばれるようになってから少しずつそのリスクや被害が認識され始め、最近では大きな問題のひとつとして話題に挙がるようになりました。

そこで、マイナビニュース読者307人にダークパターンについてのアンケートを実施。その結果をもとに、2名の一般消費者にダークパターンの体験談をお聞きしました。さらに、ダークパターンの専門家である龍谷大学法学部教授・カライスコス アントニオスさんに、ダークパターンについて詳しく教えていただきました。

今回の記事では、ダークパターンとは何か、消費者としてどのように対策するべきかをご紹介します。

ダークパターンから消費者を守る!
一般社団法人ダークパターン対策協会について詳しくはコチラ

ダークパターンの認知度はまだまだ低い!?

まずはアンケート結果からみていきましょう。

そもそも、「ダークパターンを知っているか」を質問したところ、「知らない」という回答が93.1%と圧倒的でした。

ただ、この回答は、ダークパターンを体験したことがあるかどうかではなく、「ダークパターンという言葉を知っているか」を質問したもの。次に、「ネット上で経験した、または見たことがあるもの」について聞くと次のような結果に。

「サービスの解約ボタンが見つけづらい/手順が複雑」をトップに、「画面に大きくバナーが表示され、cookieの同意をしないとコンテンツ閲覧ができない」、「『いいえ(拒否)』の選択肢ボタンが目立たず、押しにくい」など、選択肢の多くが経験または見られていることがわかりました。
……実はこの選択肢はすべて、ダークパターンと呼ばれるもの。
つまり、ダークパターンという言葉は知らなくても、その被害にあっている人が大勢いるということです。

さらに、具体的なエピソードを聞くと……どんどん出てきました!

  • サービス解約の手続きが電話のみで、電話がなかなかつながらない
  • よくわからないところにチェック項目があり、不要なメルマガ登録をした
  • 無料と書いていたので契約すると数ヵ月後には毎月のサブスクになっていて料金を支払っていた
  • 広告動画が終わっても✕印が見当たらない。やっと見つけても1ミリほどの大きさで、ピンポイントで押さないと反応しなかったり、その広告のHPに誘導されたりしてしまって不安になった

いかがでしょうか。きっと皆さんもこうしたダークパターンに一度は出会ったことがあるのでは?
実はダークパターンは、これだけではないんです。ダークパターンにはさまざまなバリエーションがあり、中にはあなた自身も気づかず触れているものもあるかもしれません。

そこで、今回はダークパターンを知らないという2名の一般消費者の方にお越しいただき、これまでの経験について聞いてみました!

知らないうちに被害にあっていたかも? ダークパターン体験談!

――おふたりはそもそも「ダークパターン」という言葉を知っていましたか?

まったく知りませんでした。


同じく、ぜんぜん知らなかったです。


――ダークパターンと聞いてどんなイメージを連想しましたか?

なんとなくですが、あまり良くないイメージですかね。


そうですね。「ダーク」という言葉が悪そうな感じがするので。


――“悪いもの”という理解で合っています! ダークパターンは簡単にいえば、「消費者が気づかないうちに不利な判断に誘導するWebデザイン」のこと。アンケートでもたくさんのダークパターンの例が挙がっていました(アンケートを見せて説明)。……おふたりはダークパターンに出会ったことは?

ダークパターンってこういうことなんですね! それなら、体験したことがあります! たとえばECサイトで、化粧水がものすごく安かったので購入したのですが、実は定期購入が条件で、安いのはその1回目の値段だったんです。たしかによく読むと6ヵ月契約って書いてあるんですけど、注意書きが小さくて不親切だなと……。


私は旅行の予約サイトです。航空券の値段を調べていたのですが、期間を空けてもう一度同じサイトを見たら値上がりしていて、また期間を空けたらさらに高くなっていて。おかしいなと思って、友だちに協力してもらい、何台かのスマホで同時に値段をチェックしてみたら、全員に違う値段が表示されていて! つまり、アクセスした回数を記録しておいて、アクセスするたびに値段を上げていたみたいなんです。ちなみに、キャッシュをクリアしたら値段が最初に検索したときのものに戻っていました。


――早く買わないとどんどん値上がりする、という演出だったわけですね。

他にもアンケートで挙がっていましたが、スマホゲームの途中で出てくる広告に✕ボタンがなくて、いちいち再起動していたこともあります。あれも今思うとダークパターンだったんですね。


身近に潜むダークパターンについて紹介した記事はコチラ

専門家が語る! 生活のさまざまな場面に潜むダークパターンとは

――このようなダークパターンは大きな問題となっています。私たち消費者としては被害にあわないためにどのような対策をすればいいのでしょうか。また、ダークパターンを避けている誠実な企業やWebサイトを増やすために、国として、何か対抗策は実施しているのでしょうか。ダークパターンの専門家である龍谷大学法学部教授・カライスコス アントニオスさんにお話を聞いてみましょう。

よろしくお願いします。


――アンケートでもさまざまな例が挙がりましたが、あらためてダークパターンについて詳しく教えていただけますか。

ダークパターンについては、日本ではまだ適切な法規制ができていないのが現状です。そのため、定義も正式にされているわけではありません。ただ、OECD(経済協力開発機構)の定義をもとに私なりに説明すると、「消費者を困らせたり騙したりして、そうでなければ(その手口に出会わなければ)行わなかったことをさせる技術や技法」がダークパターンといえます。


なるほど! たしかに、化粧水が1度だけの購入でも安く買えると思わなければ買わなかったし、さっき僕らが話していた内容も、「そうでなければ行わなかったこと」かも。


そうですね。航空券だって、「早く買わなければどんどん値上がりする」と思わせることで購入を促しているわけですし。


はい。ただ、ひとつ注意したいのは、本当の情報を表示していたり、ユーザーを困らせたりしていないなら、それはダークパターンではないということです。たとえば、航空券の価格が時間と共に値上がりし、それをユーザーに示している。本当にそうであるなら、問題はありません。ダークパターンとなるのは、そうした情報が実際には嘘であったり、本当だったとしてもしつこく表示してユーザーを困らせたりする場合です。Iさんのケースはユーザーの行動履歴に基づいて異なる情報を出して、焦らせることで誘導していたわけですから、明確にダークパターンといえるでしょう。


焦らせるといえば、新しい物件を探しているときにすごくおトクなところを見つけて、早く押さえないと誰かに取られてしまう! と焦って不動産に連絡をしたらその物件はもう取り扱っていないといわれたことがあります。


それもダークパターンといえますね。本当はそんな物件はないのに、おトクに見える物件をサイトに表示して、消費者に連絡をさせるのは「虚偽の情報で、そうでなければ(その手口に出会わなければ)しない行動をさせている」ので。


――ここまでに出てきた以外には、どのようなダークパターンがよくあるのでしょうか。

たとえば、ECサイトでアカウントを作成しないと買い物ができないのもダークパターンです。個人情報がほしいのだと思いますが、本来はアカウントがなくても買い物自体はできるべきですから。

それから、サービス内で位置情報の許可を何度も求めてくるケース。1回なら問題ありませんが、位置情報の利用を拒否しても、数秒後にまた許可を求めてくるなど、繰り返すのはダークパターンです。

サイトを閲覧するとCookieの同意を求めてくると思いますが、これに同意しないとサイトの閲覧自体ができなくなったり、画面がスクロールできなくなったりと、ユーザーを困らせるのもダークパターンと呼べますね。

ECサイト等で手数料を最後にこっそり追加する手口もあります。商品をカートに入れて、ずっと1万円ちょうどだと思っていたのに、最後の決済画面で手数料が入って1万800円になっているとか。近いケースで、ずっと税抜価格で表示していて、最後だけ税込価格表示にするダークパターンもよく目にします。


手数料の話、すごくわかります! 航空券や、ライブのチケットを購入するときも最後にいろいろな諸経費が乗って、思っていたより高い金額が決済画面に表示されることがよくあります。


多くのECサイトで商品ページの価格をできるだけ安く見せようとするのは、価格比較サイトで優位に立ちたいという気持ちもあるのだと思います。ただ、だからといってダークパターンで消費者に不利な行動を強いるのは問題があります。


そんなやり方をしているサイトは、どんどん使われなくなっていってしまいますよね。


信頼できるサイトを見分けるための「NDD認定制度」が発足!

――ダークパターンを規制すべきかどうかアンケートをとったところ、「積極的に規制すべき」という方が約6割、それ以外にも、ほとんどの方が何らかの対策を行うべきと考えていました。日本ではまだ適切に法規制されていないとのことですが、解決に向けて動きはあるのでしょうか。

適切な法規制については、なかなか難しいのが現状です。ダークパターンは多岐にわたっており、どの法律でどのように規制するのか慎重に議論されているからです。とはいえ、消費者が安心できるような取り組みは進めなければなりません。そこで、現在、ダークパターン対策協会が取り組んでいるのが、「信頼できるWebサイト」であることを示す「NDD認定制度」です。

具体的には、「ダークパターンの不使用」、「トラブル発生時の誠実な対応」、「法令遵守」、この3つの条件を満たしたWebサイトを信頼できるものとして認定し、NDD認定マークをWebサイトに貼ることで消費者に安心してもらうという取り組みです。つまり、このNDD認定マークはWebサイトにおける「信頼の証」といえるでしょう。食品などでも、自然保護とかフェアトレードとか、さまざまな認定制度があって、マークをつけていたりしますよね。それと似た施策です。


それは安心できますね! マークがついていたら一目でわかるし、少なくとも僕らを騙すような仕掛けはしていないんだなと思えそうです。


でも、認定のときだけ対応して、後からダークパターンを使用したり、NDD認定マークをコピーしてこっそり貼り付けたりするサイトが出てきませんか?


そういった不正についても対策できるよう進めています。NDD認定マークが本物かどうか、簡単に見分けられる仕組みを取り入れたり、AIによる監視を取り入れたりする予定です。また、連絡窓口を設けて、消費者からの情報提供にも対応します。
Webサイトを作っている企業の担当者もダークパターンを知らずに、意図せずにそのような作りになってしまっている場合もあるため、不正が発見された際には速やかに誠実な対応をすることを求め、あまりにも悪質な場合には認定の取り消しなども行います。


NDD認定マークが普及するまでの間、僕たち消費者はダークパターンにどう備えればいいですか?


まずは、ダークパターンに遭遇したとき、「これは自分だけが嫌だと思っているのかな」とか「自分が失敗したせいでこうなったのかな」という自責の念を捨てることです。ダークパターンは、それを使う相手が明確に悪いわけですから。その上で、「このダークパターンがなかったら、自分はどうしていたか」を考えてください。最後に手数料が追加されて、思ったより高くなった。だったら買わないのか。または、それでも買うのか。一度立ち止まってよく考えるようにしていただきたいです。


ダークパターンのことがとてもよくわかりました! 規制されてほしいですが、消費者としても被害にあわないよう気をつけたいと思います!


ダークパターンがなくても、その行動をとるかどうか、一度立ち止まってしっかり考えるようにします!


NDD認定マークとダークパターン・ホットラインについて
詳しくはコチラ!

***

深刻化するダークパターンの被害。海外では法規制が進んでおり、日本でもダークパターン対策協会による対策が行われています。一方で、ダークパターンが完全になくなるのは、まだまだ先の話でしょう。今回、カライスコスさんに教えていただいた内容をもとに、私たち消費者もダークパターンを知り、被害にあわないよう対策することが大切です。

ダークパターン対策協会では、「ダークパターンの不使用」、「トラブル発生時の誠実な対応」、「法令遵守」の3つを満たすサイトを信頼できるWebサイトとして認定する「NDD認定制度」を進めています。ダークパターン対策協会の今後の動きにも注目してみてください!

ダークパターンから消費者を守る!
一般社団法人ダークパターン対策協会について詳しくはコチラ

「ダークパターンについてのアンケート」
調査時期:2025年5月31日~6月1日
調査対象: 10~60代の男女
調査数: 307人
調査方法:インターネットログイン式アンケート

[PR]提供:一般社団法人 ダークパターン対策協会