「通信事業者として、外出が難しい入院中の子どもたちに何かできることはないだろうか?」

そんな想いからスタートした中部テレコミュニケーション(ctc)の「げんきのまど」が、2024年12月に10周年を迎えました。

  • げんきのまどイラスト

この「げんきのまど」は、地域の小児中核病院等に設置した大型モニターを外とつながる「窓」として活用し、外出が難しい入院中の子どもたちに外の世界を楽しんでもらうというもの。水族館や動物園などからライブ中継を行い、リアルタイムに双方向のコミュニケーションを取りながら、笑顔を届けています。

今回は、そんな「げんきのまど」の発足メンバーと現役メンバーによる座談会を実施。プロジェクトにかける想いや10周年を迎えた心境などを語ってもらいました。

【座談会参加者プロフィール】

 コンシューマ営業本部 コミュファ営業統括部長 福井孝征さん
光インターネットサービス「コミュファ」の販売戦略・計画の策定、進捗管理および新商品企画や広告宣伝業務にも幅広く携わる。2014年、経営戦略室在籍時にはグループマネージャーとして「げんきのまど」のプロジェクトリーダーを務め、立ち上げに尽力した。

 コンシューマ営業本部 コミュファ営業1部 グループマネージャー 渡邊健さん
光インターネットサービス「コミュファ」の新規申し込みにおける、施策検討や代理店・委託先などのパートナー様窓口業務に従事。2014年の「げんきのまど」立ち上げ時には、入社3年目ながらメンバーに選出され、企画運営に奔走した。

 建設本部 コミュファ建設部 夏目実希さん
光インターネットサービス「コミュファ」の開通工事における作業管理業務を担当。2023年、社内公募で「げんきのまど」プロジェクトに立候補し、現在メンバーに名を連ねている。

 コーポレート本部 サステナビリティ推進・広報室 吉田彩乃さん
広報およびブランディング業務に従事。げんきのまど事務局にてリーダーを務めている。

通信会社として地域に貢献したい。「げんきのまど」誕生の経緯

  • インタビューを受けてくれた4名の集合写真

――本日は、よろしくお願いいたします。まずは「げんきのまど」について教えてください。

「げんきのまど」は、病院内に設置された大型モニターを通じて、水族館や動物園など外の世界から双方向のライブ中継を行い、その場にいるかのような体験を提供するプロジェクトです。


  • 吉田さん

「げんきのまど」では、現在6つの小児中核病院等と提携し、これまで愛知県内を中心に南知多ビーチランドやのんほいパーク豊橋総合動植物公園、ANAウイングス株式会社、でんきの科学館など約20施設からライブ中継を実施。

※2024年の協力施設に限定して記載しています。

  • げんきのまどプロジェクト実施の様子

ちなみに、「子どもたちが元気になるように」との願いを込め、「げんきのまど」と名付けられました。

――そもそも、どうして「げんきのまど」を始められたのでしょうか?

インターネットや光電話、光テレビなど、ライフラインを提供する事業者として、地域の皆さまへの社会的責任を果たしたい機運が社内で高まってきました。

そこで、通信会社として地域に対して何か貢献できる取り組みはないかと考えた結果、通信回線を用いて子どもたちに笑顔を届ける「げんきのまど」を始めることになったんです。


  • 福井さん

インターネット回線を駆使する発想は、まさに通信会社の強みを活かしたものといえるでしょう。ctcは大型モニターや通信中継システムを中継先に持ち込むだけでなく、コンテンツの制作から機材の準備、撮影、当日の運営にいたるまで、すべて社員たちが“手作り”で対応しています。

  • 社員が手作りで現場を作る例

――夏目さんは昨年、社内公募で「げんきのまど」のメンバーに立候補したとお聞きしました。どういったところに惹かれたのでしょうか?

学生時代に参加したインターンシップで「げんきのまど」について知り、活動自体にすごく興味がわいたんです!入社する大きなきっかけにもなりました。

入社して間もなくしてコロナ禍でプロジェクト自体が縮小を余儀なくされたのですが、2023年からリスタートすることになったので、「絶対に参加したい!」と思って立候補しました!


  • 夏目さん

――夏目さんのような人は御社には多いのでしょうか?

公募をしてみると、コンシューマ営業本部でも希望者が多くて驚きましたね。


中継先に下見に伺って子どもたちへのお土産を購入したり、台本を細かく作り上げたり、本来の業務がありながらも熱心に取り組んでくれるメンバーばかりでこの活動に対する意欲が伝わってきて嬉しく思います。


  • 台本

\導入の歴史について知る!/

10年かけて育てた「げんきのまど」は、入院中の子どもたちが心待ちにする大人気イベントに

――今年で10周年を迎えましたが、振り返って、どんなことが大変でしたか?

立ち上げ時は、企画を考えるのに苦労しましたね。定期的にイベントを開催していたのですが、同じようなネタにならないよう中継先を新規開拓したり、コンテンツを考案したりするのが大変でした。


10年前は今ほどモバイルやワイヤレスを活用した双方向の映像通信技術が発達していなかったので、通信トラブルが少なくありませんでした。法人用の大がかりなテレビ会議システムを用意し、外部から接続するオプションメニューを利用して中継していたのですが、イベント当日に通信が途絶えて準備していたコンテンツが台無しになってしまったことも……。

そんなときは病院にいる社員たちがアドリブでジャンケン大会やクイズ大会を開催して乗り切ったりしました。当時は6人のほどのチームでしたので、本番の日はてんやわんやでしたね(笑)


  • 渡邊さん

完全にアドリブは、今はないですね(笑)最近はコロナ禍の影響でプレイルームに集まれる人数にも制限があったりするので、保護者さまのスマホにも中継をつないで各病室からも映像を見られるようにしています。

他にも、Web会議ツールのカメラを切り替えて異なる2つの場所をシームレスで映すなどしていますが、当初の話を聞くと技術の進歩を感じますね!


10年前なら撮影担当者がカメラを持ってわざわざ移動して、その間は病院にいる社員がトークでつないでいました(笑)


  • 福井さん、夏目さん、吉田さん

それでも、回を重ねるごとにだんだんとスムーズに運営できるようになっていったのだとか。立ち上げ時の苦労を乗り越えたからこそ10周年を迎えられたわけですが、現役メンバーのお二人は発足メンバーの福井さん・渡邊さんに敬意を表しました。

リスタートした際に集まった約16人のメンバーは「げんきのまど」未経験者ばかりで、何をどうすれば良いのか全くわかりませんでしたが、過去のノウハウがあるおかげで助かっています!それをもとにブラッシュアップできますので!


  • 夏目さん、吉田さん

過去の中継先に改めて打診すると、実施の記録が残っているおかげで「ぜひ協力したい」と前向きな返答をいただけるんです!例えば、先日中継させていただいたANAウイングス株式会社さまは、普段撮影できないコクピット内の様子を収めた映像を「げんきのまど」のために作ってくださいました。

こういったご協力が得られるのも、立ち上げメンバーはもちろん、10年の間に携わってきた当社社員が中継先の方々と一緒になってプロジェクトを育ててくれたからだと感謝しています!


――逆に嬉しかったことや印象に残っていることはありますか?

自分の子どもと同じくらいの年齢の子たちが入院していて、なかなか外出もできない状況を目の当たりにすると心苦しかったですが、楽しんでもらえると「げんきのまど」を始めてよかったと思いましたね。

あと、退院して中継先の1つである南知多ビーチランドに家族に遊びに行ったとの後日談をお聞きしたときは感激しました。


「楽しかった!」で終わらず、「行ってみたい!」と意欲を持てるのが外の世界とつなぐ「げんきのまど」の特徴だと自負しています。入院中の子どもたちに、目標とそれに向かう活力を与えられるように願いながら取り組んでいました。


  • 渡邊さん

今や「げんきのまど」は、入院中の子どもたちが心待ちにする大人気イベントになっています。

病院の看護師さまから「子どもたちは『げんきのまど』を楽しみにしていて、朝から点滴をがんばりました」といったお話を伺ったりすると、やりがいを感じます!


つい最近も、こんなメールを病院の方からいただきました。そこには、「げんきのまど」に参加していた男の子が実は最近まで体調不良とともに気持ちが落ち込んでおり、家族にも笑顔を見せなかったらしいのですが、当日は楽しそうな表情をしていて、本人だけではなくお母さま、病院の皆さまも嬉しかったと記載がありました。

子どもたちだけでなく、保護者の方々のお気持ちも少しでも和らげることができるイベントになっているのであれば嬉しく思います。


\皆さまの声をご紹介!/

これからも、入院中の子どもたちに笑顔を届け続ける。ctcの想いは変わらない

――「げんきのまど」の今後について教えてください。

「げんきのまど」に関わっていただいている中継先の方々からも喜びの声を頂戴していますので、どんどん発展させながら活動の輪を地域に広げていきたいですね!


入院生活をおくる子どもたちがいる限り、この活動は終わりません。これまで多くの社員が携わってきた10年間を大切にし、これからも10年、そしてその先もこの「げんきのまど」の活動を続けていけるよう努めていきます!


  • 夏目さん、吉田さん

――最後、福井さんと渡邊さんから現役メンバーのお二人に期待を込めてエールをお願いいたします。

素晴らしい活動だと思いますので、会社や地域を巻き込んでもっと認知を広めていってほしいですね!また、このプロジェクトは、我々が実施したいという思いだけでは継続できません。10年間続けられたのは、ご協力いただける中継先や病院があるからこそなので、感謝の想いを大切にこれからも頑張ってください!


  • 渡邊さん

コロナ禍で中断・縮小し、もしかしたらこのまま「げんきのまど」が終わってしまうのかもしれないと思っていましたので、昨年リスタートしてすごく嬉しかったです!当初は粛々と草の根的に取り組んでいましたが、10年経って社内外から良い評価をいただいていますので、たくさんの人に知ってもらえればと思います!


  • 皆さん

今年10周年を迎えた「げんきのまど」。10年前と比べて通信技術が発達し、できることは増えましたが、プロジェクトに真摯に向き合うctc社員の誠実な想いは立ち上げ時も今も何ら変わっていませんでした。

「通信会社の強みを活かし、入院中の子どもたちに笑顔を届ける」。今回の座談会では、この活動の意義や続けていこうとする姿勢が伝わってきました。

\げんきのまどについて詳しく!/

Photo:田中 大介