就職先を探すとき、その企業が意見を上から降ろす「トップダウン型」か、下から意見を拾い上げる「ボトムアップ型」かに注目する人は多いでしょう。とくにキャリアアップや裁量権の大きさを重視している人は、現場の意見に耳を傾けてくれるボトムアップ型の企業に魅力を感じているかもしれません。

そんなボトムアップ型として、さまざまなプロダクトを世に送り出してきた企業のひとつがリクルート。そんなリクルートでは、実際どのような声が新たな事業を生み出してきたのでしょうか。プロダクト統括本部 新規事業開発室の岩田さんと飲食・ビューティー領域プロダクトデザイン部の柴田さんにお話を伺ってきました。

- Profile -
プロダクト統括本部 新規事業開発室knowbe事業推進部 部長
岩田圭市 さん
2016年の社内新規事業提案制度「Ring」でグランプリを受賞し、障がい福祉施設向け業務支援サービス『knowbe』を立ち上げた。

- Profile -
飲食・ビューティー領域プロダクトデザイン部 飲食クライアントソリューション1グループ グループマネージャー
柴田直幸 さん
飲食店の来店管理アプリ『レストランボード』の「セルフチェックイン」機能の開発に携わった。

「経営陣の感覚は現場と同じとは限らない」
リクルートがボトムアップの考えを重視する理由

――おふたりの普段の業務内容を教えてください。

柴田さん プロダクトデザイン室という、一般消費者(カスタマー)や企業(クライアント) を相手にしたプロダクトやサービスの改善・計画を行う組織に所属し、現在は主に飲食店向けのサービスを提供しています。『ホットペッパーグルメ』『レストランボード』などのクライアント向けプロダクトをより使っていただくための企画や、開発担当者とのやりとりが主な業務です。

岩田さん 障がい者福祉施設の業務支援サービス『knowbe』 の責任者として、事業のさらなる成長に向けた戦略策定やマネジメント全般を行っています。

――リクルートにおけるボトムアップの考え方を教えてください。

岩田さん 前提として、リクルートでは、“カスタマーやクライアントと直に接する最前線のメンバーこそが現状を一番知っている” という考えがあります。そのため、対峙するお客様や業界の状況に対して「どうしたらよりよくなるか」 とそれぞれが主体的に考えているんです。その意見を口に出して、マネージャーや意思決定者に伝えていくことがボトムアップの考えに繋がっている気がします。

柴田さん リクルート創業期から、ボトムアップ型で始まり、成長してきた事業が沢山あります。また、「Ring」という新規事業提案制度からも、現在のリクルートの主要な事業が数多く生まれています。なので、「経営陣の感覚は必ずしも現場と一致しているわけではない」ということを知っています。だからこそ現場の声を拾い上げることを大切にしているのかもしれません。

飲食店の課題を解決したい!
『レストランボード』の「セルフチェックイン」機能始動の背景

――柴田さんが携わった『セルフチェックイン』も、現場の声から生まれたサービスだと伺いました。

柴田さん さまざまな飲食店の方に悩みを聞いているうちに、来店客の席案内について悩んでいるところが多いことに気づき、店頭に置かれたディスプレイをカスタマーが操作し、発券された席情報をもとに自ら着席いただく『セルフチェックイン』を実現したいと思いました。この仕組みを上手く作ることができれば、店員が直接案内しなくても済むだけでなく、入り口の案内にかかっていた時間や人手の削減になります。このような手間を省くことで、業務効率が向上し 、飲食店の方の負担軽減になると思いました。

――『セルフチェックイン』の開発に向けて、まず着手したことを教えてください。

柴田さん 他に事業優先度の高い解決案件があり、開発優先度は高くない案件だったので、社内の会議や事務作業などを見直し、時間とリソースを生み出しました。日々の業務や達成すべき目標を犠牲にして、新しいプロダクトに取り組むわけにはいきませんから。

――『セルフチェックイン』を立ち上げるときに印象的だった出来事はありますか。

柴田さん 社内でプレゼンをした翌週、自分のアイデアに賛同してくれたエンジニアが自主的に作成したプログラムを見せてくれました。ゼロからプロダクトを立ち上げられるいい機会にエンジニア自ら提案に乗ってもらえたことが、周囲を巻き込むうえで大きな一歩となったと感じています。

――誰かが出したアイデアに積極的に乗る、という流れはリクルートでは多いのでしょうか。

柴田さん 社内新規事業提案制度の「Ring」はまさにその典型ですよね。

岩田さん そうですね。リクルートには、「自分では具体的な案がまだなくても、新しいチャレンジ がしたい」、「社会の課題に対して行動を起こしたい」という想いを持っている人が多い印象です。なので、「いいネタがあったら自分も関わりたい」と思っている社員も多いのではないでしょうか。

――『セルフチェックイン』を立ち上げるとき、リクルートだからこそ進めやすいと感じた部分はありましたか。

柴田さん 挑戦を応援してくれる風土には助けられました。リクルートは常に新しいことへのチャレンジをしてきましたが、全てが成功してきたわけではなく、その分失敗も多く経験しながらその要因を振り返り次につなげていくという営みを繰り返しています。だからこそ、周りの社員もチャレンジに対して、応援こそすれど、批判はしません。周りが追い風になってくれるので、一歩踏み出しさえすれば進める環境が整っていると感じています。

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社内のリソースを活用し、価値を最速で拡大!

――「Ring」は新たなことに踏み出す機会のひとつであると思います。岩田さんはなぜ「Ring」に応募しようと思ったのでしょうか。

岩田さん 自分で起業する選択肢もあったかもしれませんが、さまざまなノウハウや人材などリクルートの資源を活かせる「Ring」に魅力を感じました。「こうありたい」と思い描く姿を最速で最大限広げるためには、社内で新たな事業を始めたほうがいいと思いました。

――岩田さんが考案した『knowbe』はどのようなサービスですか。

岩田さん 『knowbe』は、障がい福祉事業所の記録や請求に関する手続きを自動化し、業務効率化を支援するサービスです。障がい福祉業界では、誰にどのような支援をしたかを点数化して報酬請求をしたり、支援内容をカルテのように記録したりという業務が発生します。しかし、その過程はまだアナログで、記録や集計、ダブルチェックなどはすべて人力で行われていました。そこをデジタル化することができれば、施設運営者の負荷を削減でき、事業所スタッフさんの力を障がい者の方々のサポートに最大限使えるようになると思ったんです。

――『knowbe』の立ち上げや運営で、とくに苦労したことはありますか?

岩田さん 事業として成長させていく過程で苦労しました。『knowbe』は「誰もが生き生きと自分らしく働く」という目的を達成するために、一度サービスの形を切り替えています。 当初は就職希望のある障がい者向けオンライン学習サービスを行っていたものの、事業所あたりの利用者は数名程度に留まっていました。このことから、より多くの方をご支援できるような方法が必要だと思うようになりました。 検証を重ねていくと、多様な利用者さんに向き合っている事業所スタッフの方々が、大量・煩雑な事務業務に時間を取られ、十分なサポートを行えない環境にこそ課題があると分かり、方向転換を決意しました。

――「Ring」で提案した内容を変えることに、問題はなかったのでしょうか。

岩田さん ケースバイケースではありますが、現状の分析と解決策の検証を重ね、方針転換の必要性をきちんと説明することで、承認に至りました。経営陣への説明は一筋縄ではいきませんでしたが、話を聞いたうえでさらに詰めた方がよい部分を指摘いただいたので、自分自身も事業に対する解像度が高まりました。

柴田さん 提案をする僕らの役割は、いわば現場と経営陣の視力を合わせるためのコンタクトレンズを作ることです。案件の解像度を視力に例えた場合、 お客様に対して僕らの視力が2.0、経営陣の視力が0.1という場合もあります。同じ景色を見るためにも、経営陣は「同じ視力で判断できるようになるまで情報を渡してね」というメッセージを込めて質問や指摘をしてくれるのだと思います。

岩田さん  裸眼のままNOとは言わない。積極的にコンタクトをはめ、視力をあわせようとしてくれるのはリクルートのいいところですね。

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マネージャーはボトムアップを促す伴走者

――おふたりはマネージャーでもあると思いますが、チームメンバーがボトムアップとして意見を出しやすいよう意識していることはありますか。

柴田さん 「実際にクライアントがいらっしゃる現場に行きやすい環境を作る」ことを意識しています。プロダクトデザイン室は、毎日お客様と接する機会があるわけではないため 、誰かのフィルターを通した内容が入ってくることが多いです。もちろんそういう情報も大切ですが、自分でクライアント先へ赴きリアルな情報、リアルな現場を感じ取ることも大切だと考えています。そのため、誰でもクラアイント先に行きやすい、行きたくなるようにすることがマネージャーの役割だと考えています。

岩田さん  その一方で、最前線にいる人も視野が狭まってしまうときがあると思います。本当に多くのお客様が同じ意見を持っているのかという数の部分と、解決したときに提供できる価値の大きさという2軸を冷静に見極めるには、一歩引いた立ち位置で物事を見る人も必要です。メンバーが「優先度が高いもの」と「優先度が低いもの」を納得して判断するためのサポートを日々心がけています。

柴田さん 「これをやりたい」とアイデアを言っているだけでは、まだ下から意見を出すボトムアップの初歩段階です。しかしそのアイデアの段階で否定してしまうと 「上司に提案しても無駄」と思われ、次の意見を出す機会をつぶしてしまうかもしれません。だからこそ、まずは判断材料を集めてもらい、そのうえで改めて「今やるべきか否か」を考えてもらうことが重要です。このプロセスをきちんとやり遂げられるよう伴走するのも、マネージャーの役割だと思っています。

――今後取り組みたいことを教えてください。

柴田さん 短期間でもきっちり人材育成をし、世の中をよくする力を持った人を輩出したいです。リクルートで得た経験を社内外で活かしてもらえば、業界全体がよりよくなっていくと思います。

岩田さん  「福祉業界がよくなるような「未来の当たり前」を、最速で作っていきたいです。そのためにも、『knowbe』の提供価値をもっと広げたいと思っています。

「気持ちに共感してくれる人」と働きたい

――これからどんな人と一緒に働いてみたいですか。

柴田さん リクルートでベースになるのは「どうしたい」の意志です。たとえばAとBの2案を提示した場合、リクルートでは「あなたはどっちがいいと思う?」と聞かれます。「Aがいいと思います。なぜなら」のように、自分の意志を提示できるような主体性を持って入ってきていただけると嬉しいです。

岩田さん 今はやりたいことが明確に決まっていなくても、なにか行動を起こしたいという沸々とした気持ちを抱えている人はリクルートがおすすめです。誰かの挑戦に触れることも学びになりますし、ふとしたきっかけで次にやりたいことが見つかると思います。

柴田さん リクルートには「想い」に共感して働いている社員がたくさんいます。飲食業界をよくしたいなど、目指している方向に共感した人に来ていただきたいです。

岩田さん 「生きづらさを抱えている人たちの人生をよくしたい」という、プロダクトの根底にある想いにも共感してくれるといいなあ、と思います。

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現場の声に耳を傾け、提供価値を最大化しようと日々新たなチャレンジをしているリクルート。社員からの意見を拾い上げるボトムアップは、顧客が本当に必要としているプロダクトやサービスの起案に一役買っていました。

そんなリクルートでは、プロダクトデザイン室への中途採用も積極的に行っている様子。「自分のアイデアを形にしたい!」、「業界をよりよくしたい!」と感じた方はぜひチェックしてみてください!

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