蚊取り線香でおなじみの「金鳥」。毎年、夏を迎えると、ユニークなテレビCMでその名を見聞きする方も多いのではないでしょうか。

実は「金鳥」は、社名ではなくブランド名。本当の社名には、鳥ではなく、“ある植物”の名前が冠されています。

本記事では、その正式社名とニワトリのロゴに込められた想いに迫ります。

“ある植物”の名前を冠した本当の社名

金鳥の正式な社名は「大日本だいにほん除虫菊じょちゅうぎく株式会社」。創業者の上山英一郎が設立した「上山商店」から「大日本除虫粉株式会社」を経て、現在の社名に至ります。

この社名を見ればわかるとおり、冠されている“ある植物”とは「除虫菊」のこと。金鳥の蚊取り線香の原料になっている植物です。

  • 除虫菊

セルビア共和国(旧ユーゴスラビア)が主な原産地の除虫菊が注目され始めたのは、14~15世紀頃でした。ある女性が野原から摘んできた除虫菊の花を部屋に飾っていたところ、枯れてしまった花束の周りでたくさんの虫が死んでいたそうです。これがきっかけとなり、除虫菊の殺虫効果に関する研究が進むようになると、花の子房に殺虫成分「ピレトリン」が多く含まれていることが判明。
今でもケニアをはじめ、除虫菊は世界各地で殺虫剤の原料として栽培されています。日本においては、1886年に上山英一郎がアメリカの植物会社社長H・E・アモア氏から種子を送られたことを機に栽培が始まりました。

  • 乾燥した除虫菊

    除虫菊の乾花

正式名よりもむしろ「金鳥」というブランド名のほうが有名になった現在でも、「大日本除虫菊株式会社」を使い続けているのは、同社が除虫菊に対して感謝するとともに敬意を払い続けているからに他なりません。
上山英一郎は除虫菊の普及を目指して、「除虫菊栽培書」を発刊し、全国を飛び回って栽培を奨励しました。この除虫菊栽培書は、1890年に初版を出して以来、1940年まで改良を加えながら版を重ねました。

  • 除虫菊栽培書

    上山英一郎が発刊した「除虫菊栽培書」

「金鳥」のロゴは、なぜニワトリ?

ではどうしてニワトリがロゴになっているのでしょうか。こちらにも深いワケがあります。

  • KINCHOのロゴ

    現在のロゴ

「金鳥」が商標登録されたのは1910年。世界中に蚊取り線香や除虫菊粉の販路拡大を図る貿易会社「日本貿易輸出合資会社」を設立した翌年のことです。1907年、上山英一郎は世界の市場を観察するため、外遊に出かけました。その旅の中で、日本の立場や外国との差を痛感。それがロゴにニワトリを冠した理由の一つと伝わっています。

ニワトリは、中国の故事「鶏口となるも牛後となるなかれ」に由来しています。この言葉は、司馬遷によって編纂された「史記」の「蘇秦伝」に登場するもので、「牛の尻尾のように生きるよりも、小とはいえ、鶏の頭(カシラ)になるべきである」という意味。当時の大国・秦に対抗する策として、韓、魏、趙、燕、楚、斉の王たちに同盟を結ばせる際に用いられた言葉でした。これは上山英一郎の信条であり、当時世界から見た日本と重ね合わせていたことでしょう。

  • KINCHOのロゴの変遷

    これまでのロゴの変遷

なお、金鳥の「金」には「一番」という意味も。また、描かれている鶏は、ただのニワトリではなく、もともとは「闘鶏」です。

  • KINCHOのロゴに使われる鶏

金鳥のロゴには、業界の創始者として品質をはじめ、あらゆる面でトップでありたいという決意と、世界中どこの国にもいる鶏のように人々に親しまれる存在であろうとする想いが込められているのです。

金鳥の蚊取り線香
「金鳥の渦巻」詳細はこちら

社名である「大日本除虫菊株式会社」も、ニワトリのロゴも、その歴史は1世紀以上。時代を超えても変わらず、ナンバーワンであることを追求する姿勢は、商品の品質に表れています。この夏は「金鳥の渦巻」で、快適にお過ごしください。

  • 金鳥の夏、日本の夏。

製品ラインナップはこちら

[PR]提供:KINCHO