2025年までに経営者が70歳以上の約127万社で後継者不在となる、いわゆる「2025年問題」をはじめ、事業承継が急務となっている中小企業。

後継者問題のソリューションのひとつとして、注目を集めているのが「M&A」です。一昔前は、ネガティブなイメージが先行していたM&Aですが、近年では事業の存続・発展のため、規模の大小を問わず、積極的にM&Aを検討する経営者も増えてきました。

日本におけるM&A仲介業のリーディングカンパニーである、日本M&Aセンター 常務執行役員 営業本部長 鈴木康之氏に、M&Aが持つ可能性やM&Aを通じた地方創生についてうかがいました。

  • 日本M&Aセンター 常務執行役員 営業本部長 鈴木康之氏

中小・中堅企業の「仲人」として日本一*

――まずは、日本M&Aセンターの事業内容についてお聞かせください。

当社は企業と企業のM&Aを仲介する会社です。1991年の創業以降、「M&A業務を通じて企業の存続と発展に貢献する」ことを企業理念に掲げ事業を展開してきました。

日本全国には、後継者不在で黒字廃業を余儀なくされる可能性のある中小企業が60万社あります。M&Aによって後継者を見つけることで、こうした企業を支援しています。結婚に例えると「仲人」のような役割ですね。

これまでに7000件超のM&Aを支援してまいりました。M&A成約件数No.1*を達成しており、世界で見てもトップクラスです。手前味噌ですが、お客様に最高のM&Aを提供するノウハウがあるからこそ、実現できた件数だと思っています。

*日本マーケティングリサーチ機構2021年3月期実績調査より(2020年の間に終了している期の1年間のM&A成約件数[M&A 成約組数])。

――鈴木様ご自身の経歴について教えてください。

大学卒業後、保険会社での勤務を経て、親族の家業を手伝ったことがありました。その際に事業承継の難しさを痛感したことから、縁あって2008年に日本M&Aセンターに入社しました。

入社後は、札幌営業所や福岡支店、広島支店、沖縄営業所などの立ち上げを通じて、地方創生に取り組んできました。

――ビジネスパーソンとして、大切にしていることはありますか?

個人的なパーパスとして「人を幸せにする」というのを掲げていて、それが仕事をする上での根幹になっています。

M&Aで支援できる企業を救うことによって、日本全国の経営者はもちろん、従業員の方や関係者の方、みんなが幸せになるようなM&Aを実現していきたいと考えています。

「成約」ではなく「成功」ありきのM&Aを重視

――10月に日本M&Aセンターの営業本部長に就任されたそうですね。今後取り組んでいきたいことをお聞かせください。

▲新・営業本部長 鈴木康之氏の紹介動画はコチラ

より多くの人にM&Aについての理解を深めていただくために、セミナー登壇をはじめ、啓発活動の先頭に立っていきたいと思っています。

現在、「M&Aブティック」と呼ばれるM&Aのアドバイスやサポートを行う会社は全国に600あるといわれています。それだけ数があると、「どのブティックと組むか」ということが非常に重要になってきます。

事業承継のM&Aは一生に1度しかできないので、やり直しがききません。しかし現実には、結婚と同じで「いざ一緒になってみたらうまくいかない」ということも決してない訳ではありません。いくらいい条件で譲渡されたとしても、売り手さんと買い手さんの企業文化が違うと、売り手側の社員の退職を招くなどして、思った通りの事業承継につながらないのです。

だからこそ、M&Aにおいては、売り手さんと買い手さんのあいだに入る仲介業者が重要になってきます。フィー重視の「成約」ありきではなく「成功」ありき、M&A後の企業の発展まで考えてくれる仲介業者であるかどうかが焦点です。

M&Aは適切な相手としっかりとした流れに沿って行うことが大切なので、そういったことを積極的に発信していくのが私の役目だと思っています。

――M&Aを成功させるには、条件面だけでなく、企業風土のような感覚的な要素も非常に重要になってくるんですね。

はい。目に見えない「想い」がとても重要なんです。どんなにロジカルに財務を見て適正なのれん代を見極めたとしても、それだけで計り知れないものがあります。

売り手さんと買い手さんが「想い」をつないでいかないことには、正しいM&Aはできません。そこで私たちがM&Aを仲介する際は、トップ同士がお見合いをする際に「想い」を伝え合って、理解し合えるようにするため、M&A成約式というセレモニーも開催しています。

結婚に例えると「相手を見つける」ことだけでなく、「いかに結婚生活がうまくいくように持っていくか」を重視しています。

127万社で後継者不在となる「2025年問題」解決に向けて

――2025年までに、70歳を超える中小企業の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万社が後継者不在といわれています。この「2025年問題」について、考えをお聞かせください。

率直に、1社でも多く救いたいという気持ちがあります。ただ、後継者問題を抱える黒字企業の数に対して、当社が単独で救える数には限界があるのが現実です。だからこそ、M&A業界全体で取り組んでいくことが非常に重要だと考えています。

私どもが業界全体を引っ張っていきたいですし、必要なリソースがあれば提供していきたいと思っています。目下、個人の飲食店のような企業も含めて、後継者不在の企業を救えるような仕組みや体制をどんどん作っていっているところです。

――鈴木様が尽力してこられた、地域に根ざした後継者不在問題の取り組みについて教えてください。

地方は「人口減少のスピードが速い」「廃業率が高い」など、大都市以上に後継者問題が顕著です。そこで、2010年に札幌営業所、2016年に福岡支店、2018年に広島支店、沖縄営業所を立ち上げました。札幌時代は、お菓子業界や土木業界の再編や、伝統ある大企業の分割も手がけました。

地域によって課題はそれぞれで、たとえば九州では福岡に人が集まる一方、それ以外の県では人口減少が進んでいます。上場企業の数と学生のUターン率は密接にリンクしているので、特に上場企業の本社がない長崎県は人口減少率が顕著に表れています。

「M&A」と聞いて「良かった」と思う人が増える世界を目指す

――M&Aを通じて地方の後継者問題に取り組むうえで、特に苦労されたことはありますか?

やはり一番は「理解」の部分です。当初は、M&Aに対して「怖い」などネガティブなイメージを持つ人が多かったからです。そういった状況を変えるため、地方でのセミナー開催などを通じて、M&Aについての地道な啓発活動を続けてきました。

M&Aを取り巻く環境をより良いものにするためには、経営者はもちろん、従業員、従業員の家族、学生など、あらゆる層でM&Aを正しく理解している人を増やすことが大切だと考えています。M&Aに対する正しい理解が広がれば、「M&Aをする」「M&Aをした」と聞いたときに「良かったね」と思う人が増えるはずです。

M&A業界で有名な言葉に「秘密に始まり秘密に終わる」というのがあります。M&Aはなるべく秘密裏に進めなければならないため、従業員に対してもある日突然「M&Aします」と発表します。発表を聞いた従業員の方に、「大きな会社と一緒になって住宅ローンが組める」と思ってもらえるようにしたいと思っています。

――地方創生につなげるためのM&Aのあり方について、鈴木様の考えをお聞かせください。

一番のポイントは、地域の企業全体を活性化させることです。

中小企業だけに限らず、商店街のお店や飲食店などの企業から、中堅企業、大企業にいたるまで地域にある全ての企業が活性化していかないと、地方創生は成り立ちません。地域の企業全体が元気にならなければ雇用と地域経済を守ることにはつながらないからです。

事業承継問題のM&Aの次は、業界再編のM&Aが活発になるでしょう。これからの日本は労働人口がどんどん減っていきますから、多くの業種で業界再編が起こります。労働人口の減少に対応するには、中小の再編も重要になってきます。

「最高のM&A」の推進で地方創生へ

――地方創生につなげるためのM&Aについて、今後の展望をお聞かせください。

これまではM&Aについて営業活動等を通して情報発信をしてきましたが、M&Aが浸透してフェーズが変わったので、これからは「最高のM&A」を届け、地方創生につなげていくことが大切だと考えています。

M&Aの仲介業者が600社まで増えたことで救える企業も増えましたが、M&Aの件数だけが増えても、「最高のM&A」が行われなければ本来の目的は達成できません。

地方創生においても、M&Aで救われる会社を増やすために、私たちが「最高のM&A」の推進に向けて、先頭を切って取り組んでいかなければならないと考えています。

――「最高のM&A」を推進していく上で、何が大事だとお考えですか?

「最高の」が何を意味するかというと、売り手さんと買い手さんの想い、従業員さんの想いをつないで、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション:M&A後の統合プロセス)を通じて具現化していくことです。我々はコンプライアンス、顧客満足、業務品質で最高のM&Aを届けてまいります。

M&Aを仲介する立場としては、報酬ありきの世界を作ってはいけないと思っています。報酬ありきになってしまうと、お金になる案件にみんなが群がってしまいますが、本来は、救うべき企業を救うことがM&Aの仲介業者の仕事です。その意味で、仲介業者のモラルや志が問われていますね。

全国7都市にて「最高のM&A」を発信するセミナーを開催

――11月24日から、全国7都市で鈴木様登壇のセミナーが開催されます。セミナーの概要や、背景にある想いをお聞かせください。

「アフターコロナ時代の日本創生を語る! ~M&AとTPMで勝ち組になるために~」と銘打って、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の7都市にて、リアルセミナーを開催します。

本セミナーでは、「最高のM&Aとは何なのか」「仲介業者がたくさんある中でM&Aを成功させるには何を考え、どうすればいいのか」を発信します。時代が変わってきているので、最新のM&A事情に加えて、事業承継だけでなくTOKYO PRO Market上場や海外とのM&Aも含めた、事業を成長させるための手法についてもお伝えします。

参加していただければ、国内市場が縮小するなかで、どう生き残って成長していくかについてのヒントを得ていただけるかと思います。M&Aに興味がある経営者の方はもちろん、事業成長につながるヒントをお探しの経営者の方、M&A業界に興味のある学生の方など、どなたでも参加歓迎です。

  • 11月24日から7都市にてセミナー開催。詳しくは画像をクリック!

アフターコロナ時代の日本創生を語る! ~M&AとTPMで勝ち組になるために~

【日程および会場】
■福岡
2022年11月24日(木) 15:00~17:00(受付14:30~)
ホテル日航福岡 「都久志の間」

■札幌
2022年11月30日(水) 15:00~17:00(受付14:30~)
ANAクラウンプラザホテル札幌 「鳳」

■広島
2022年12月1日(木) 15:00~17:00(受付14:30~)
ホテルグランヴィア広島 「天平B」

■仙台
2022年12月6日(火) 15:00~17:00(受付14:30~)
TKPガーデンシティ仙台 「ホール21」

■名古屋
2022年12月7日(水) 15:00~17:00(受付14:30~)
TKPガーデンシティPREMIUM名古屋駅前 「ホール3G」

■大阪
2022年12月14日(水) 15:00~17:00(受付14:30~)
ホテルモントレ大阪 「アマリエ」

■東京
2022年12月15日(木) 15:00~17:00(受付14:30~)
ベルサール東京日本橋 「RoomC+D+E」

【参加費】
参加無料
※競合他社様のご参加はお断りする場合がございますので予めご了承ください。

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