日本の労働環境が大きく変化しつつある昨今。しかしながら、妊娠・出産によるキャリアへの影響、育児と仕事の両立など、悩める女性がまだまだ多くいるのが現状ではないでしょうか。

エプソン販売では、この度若手メンバーを中心に「アドバイザリーユニット※」を設立。「社員の声を経営に届け、経営の声を社員に届ける。その一助を担い、多種多様な人が働きやすく、活躍できる会社にする」ことを目的とし、“女性活躍推進”にも力を入れているとのこと。

※アドバイザリーユニットは、社内公募で選ばれた男性3名、女性3名の6名で活動しているユニット。

今回は、そんなアドバイザリーユニットの皆さんと、育児とプロを両立しながらチャレンジし続ける、プロゴルファーの横峯さくらさんとの対談が実現!

双方が目指す、女性がもっと活躍できる環境とは? その想いや取り組みを語っていただきました。

 

 

――まずは自己紹介をお願いします。

横峯: エプソン所属の横峯さくらです。2021年2月に息子を出産しまして、子育てと仕事の両立をこれからどうやっていけばいいかと考えています。またゴルフ面では、若い世代に向けて私がやってきたことをひとつの記録として見てもらい、若手育成にも力を入れていきたいと思っています。今日はよろしくお願いします!

河濵: アドバイザリーユニットの河濵です。私たちアドバイザリーユニットは週1回開かれる経営者会議に同席して、社員の意見を極力経営側に反映させていく取り組みをしています。今回は、育児や女性の活躍といったお話をできればと思っています。

 

「子どもが寝てから練習へ」「プレゼン前に保育園から連絡が……!」
想像以上に大変な子育てと仕事の両立

  • 横峯さくらさん

――横峯さんは以前、結婚したらゴルフは辞めるつもりだったとお話されていました。意識がかわったきっかけはあったのでしょうか。

横峯: 引退のことを考えていたのは20代。まだ若かったのかな、と思います。今36歳になったばかりですが、ゴルフが楽しくて、これからも頑張っていこうと続けている最中です。

20代の頃、ゴルフは仕事、そしてプライベートはプライベートと別に考えていました。そのため、いくらゴルフで成績を上げても流れ作業で、プライベートへの幸せにはつながっていませんでした。結婚したらゴルフをやめよう、とすら考えていました。その価値観が、アメリカに行ったことにより大きく変わりました。

日本だと、結婚して、妊娠して、出産して……というタイミングで、選択をしなきゃいけなくなることがたくさんあると思います。例えば、ゴルフを続けたいけれど、託児所がないので、家族のサポートがないとできない。でもアメリカだと、託児所があるので、試合前に子どもを預けて試合後に迎えに行って……という体制が整っているんです。選手がカムバックできる環境が整っていることがうらやましく思いました。

――実際に復帰されてみていかがでしたか。

横峯: 本当に、正直大変でした。実は、家族の協力があればできるんじゃないかと思っていたところはあったんです。ですが、託児所がなかったり、息子が体調を崩して試合の前日に病院に行かなければならなくなったり……。
練習時間も、子どもの生活によって変わってしまいます。「よし、今寝たから練習に行こう!」みたいな感じですね。

川崎: 私も母として、すごく共感します! 周りのサポートや理解、協力体制というのがすごく大切ですよね。仕事でこれからプレゼンをするぞ、というときに保育園から連絡があって「お熱が出ました、お迎えに来てください」というコールがあったり……。そういうところを母親ひとりで担うのか、夫婦・家族で担うのか、といったところってすごく大きなところですよね。

当社では、今は過去に比べて在宅勤務やフレックス制度などがかなり活用できるようになっているので、協力体制はかなり組みやすくなり、とても働きやすくなってきていると思います。

横峯: 子どもを持つ前は想像もしなかったようなことが起こるので、制度や助けがあるとすごく助かりますよね!

田之口: 子育てをしながら仕事をするというのはとても大変というイメージなんですが、横峯さんはゴルフもプライベートも幸せを実感されているように思います。ご自身として、どういうところで幸せを感じていらっしゃるんでしょうか?

横峯: 私の場合は、周りのサポートがあり、ゴルフに集中できる環境が整っているのが大きいと思います。
試合中は夫の両親が子どもを見てくれるというサポート体制があって、試合に集中できる環境を作ってくれているというのが大前提にあります。

また、プライベートでも役割分担を決めていて、息子の離乳食をあげるのは私、おむつやお風呂は夫と両方で、夜泣きの対応は夫。やっぱり寝ないと次の日に集中できなくて中身のある練習ができなくなったりするんです。ですので、そういう体制が整っていることが、幸せにつながっていると思いますね。

田之口: 子育ての幸せがあっても、寝不足で練習がうまくいかないとなるとゴルフの幸せにはつながらないですし、ご主人と一緒に頑張っていくという今の体制が、横峯さんにとって、すごくバランスが取れているなと感じました。

横峯: 夫と同じ目標に向かって一緒に頑張っているからこそ出来ることなのかな、と感じています。

 

若手中心で結成された“アドバイザリーユニット”が会社にもたらす変化とは

――アドバイザリーユニットを立ち上げたきっかけは?

河濵: もともと経営会議に出席するのは経営層の方だけで、ほとんどが50代の男性でした。そのため、意見が同質化していたことが課題としてありました。多様な意見や観点を取り込むためにも、若手を中心に立ち上げました。

――発足後、会社にどんな変化がありましたか?

田之口: 以前から会議に出席しているメンバーの声を聞くと、私たちが参加したことで経営層からの議題の説明がすごく丁寧になって、それによって活発な質問や意見交換ができるようになったと聞いています。
今は、ただ会議に参加するだけではなく、もっと能動的にできることはないか考え始めているところです。もともとの目的が、経営に多様性をもたせることなので、そのために何ができるのか常に考えています。

――みなさんがアドバイザリーユニットに応募したきっかけは?

大澤: 子どもが生まれたことがきっかけです。一昨年に子供が誕生しまして、2ヶ月間の男性育休を取らせていただきました。そのおかげで、今でも公私ともに充実していると感じていますが、まだまだ男性の育休取得率は高くありません。

また、育児に限らず長期休暇という目線で見ると、今後は介護休暇というものも考えていかなければなりません。そういった休暇があっても、自分が思い描いているキャリアを目指せるような環境を作っていきたいという想いで、応募させていただきました。

河濵: 私は、新型コロナウイルスの影響で、オンラインで入社した世代です。若手の活性化という点で手を上げさせていただきました。この年代で経営検討会議に出席できるというのは、なかなか得られないこと。私たちの世代が会社を変えていくというのは、まだまだ難しいことではありますが、会社を変えるチャンスがあるという希望を与えられる存在になりたいと思っています。

横峯: 大澤さんは、育児休暇をどの期間で取られたんですか?

大澤: 出産直後から2ヶ月間です。産後の産褥期は、子どもも夜中に1~2時間で起きてしまうので、夜中のフォローを含めて育児休暇を取得しました。

横峯: おお~! すばらしいですね!

大澤: 私自身、育休を取得する前は不安がありました。会社の先輩や上司からの理解を得られるのか、給与面でのやりくりができるのか、仕事の引継ぎがうまくできるか……。ですが、周りのサポートがあって育児休暇が取得できて、それがあって公私ともに充実できているという想いでいます。
もし、男性で育児休暇を取るチャンスがあるのであれば、強くオススメしたいですね!

 

男性の育児休暇は女性の活躍推進につながる

――育休取得の際、周りからどのようなサポートがありましたか?

大澤: まず、育児休暇を取得したいと上司に相談したところ、快く「いいよ」と言ってくださり、気持ちの面でもとても助かりました。業務の引継ぎの際も、チームメンバーは嫌な顔せず引き受けてくれました。復帰した際も、快く「おかえり」と言ってくれて、とても感謝しています。

――育児休暇を取ってみて、良かったことは何ですか?

大澤: 良かったことは、育児や家事を妻と同等レベルにできるようになったことで、職場に復帰したあとも継続できています。そういう家事育児を分担することで、今後妻が育休から職場復帰した後も、妻が仕事に力を入れられるのではないかと思っています。男性が育休を取得することは、女性の活躍にもつながっていくと思います。

横峯: 大澤さんが育休を取ろうと思ったきっかけは何だったんですか? 男性が取得するというのは、勇気も必要だったんじゃないかと思うんです。

大澤: 妊娠がわかった時に、今後どんなふうになっていくのかを教えてくれるパパ用のアプリがありまして、産後はかなり体調変化があるといったことを事前情報で入手していたんです。 私の場合は、どちらの両親も近くにおらず頼ることができない状態だったので、自分が育休を取ってサポートする、という事情がありました。

田之口: 大澤さんの奥さんは私たちと同じ会社で働いていまして、両親も頼れないし、初めての妊娠だし、まだ若手だし……とすごく不安がっていたんです。だから大澤さんが育休を取得すると聞いたときは、良かった、とすごく安心したのを覚えています。

――横峯プロは今までのお話を聞いていかがですか?

横峯: 貴社では男性の育休取得だけでなく、子育てのサポートも充実されてるとお伺いしました。その中でもベビーシッターの補助はすごくうらやましいと思いました! 税理士の方にも相談したんですけど、ベビーシッター代は経費に計上されないんですよね。

川崎: 当社ではベビーシッター制度 (在宅ケアサービス制度)※ があり、多くの社員が活用しています。保育園が終わってから、仕事が終わって帰宅までの間をシッターさんに安心して見てもらえるということで、社員が活躍していくためのひとつの選択肢として、すごくありがたい制度だと思っています。

※従業員が育児と仕事を両立するために、在宅ケアサービスを利用した際の費用の一部を会社が補助する制度。

 

自分がモデルになることで、後輩の選択肢が広がっていけば嬉しい

――最後に、横峯プロは今後の目標など、アドバイザリーユニットの皆さんは対談の感想をお聞かせください。

横峯: 目指すところは、永久シード。それがまず目標ですね。あとはアメリカツアーで1勝することですね。やっぱりゴルフでしか発信できないと思うので、現役でプレイし続けて、しっかり活躍していくことで「さくらさんはこうしてたな」など、後輩の選択肢が広がっていけばいい。今は子どもを連れてツアーを回る姿を見てもらうことで、ほかの女子プロゴルファーが「私にもできるかも」と選択肢を広げるお手伝いができればと思います。

今ないものは、周りとコミュニケーションをとって作っていけばいい。女性の活躍を進めていくには、あきらめないことが大事なんじゃないかと感じました。

川崎: トライ&エラーで頑張られている姿をお聞きして、すごくパワーをいただきました! 私も、今後の子どもの未来や後輩女性の活躍に向けて、自分のできることを考え、もっともっとアドバイザリーユニットの仲間たちといろいろなことを変えていけるよう活動していきたいと思います。

田之口: 横峯さんのように「ゴルフとプライベートが幸せにつながっている」と言えるように、男性、女性関わらず、子供がいるいないに関わらず、働いている人たちが仕事もプライベートもどちらもいいように作用しているね、と言えるような会社を今後は目指したいと思います!

 


 

出産や子育てをしながらも、キャリアを充実させていくためには、制度や理解を広め、あきらめないことだと力強く語ってくださいました。アドバイザリーユニットのみなさんも、その一助となれるように邁進していくと笑顔で話し合いました。

女性が活躍できる働きやすい環境を目指して、第一線でチャレンジし続ける横峯さくらプロと、アドバイザリーユニットに今後も注目です。

 

[PR]提供:エプソン販売株式会社