株式会社Agooraが運営する「遺産相続弁護士相談広場」編集部は7月12日、「持ち家の相続」をテーマとしたアンケート調査の結果を公表しました。

相続対策について考える時、一番悩みの種となりやすいのが、持ち家など不動産の扱いです。

預貯金や有価証券などと異なり、相続人間で簡単に分け合うことが難しい不動産。 一軒家やマンションを持っている人は、相続についてどのように考えて、どんな対策を行っているのでしょうか?

今回のアンケート調査では、一軒家やマンションなど持ち家を所有している40歳以上の男女300人を対象に、相続についての考え方と、現時点において実施している具体的な対策の内容について伺いました。

生命保険への加入や生前贈与など具体的な相続対策を行う人が一定数いる一方で、将来の相続争いを懸念しつつもどう対策すればいいかわからないという人が、少なからず存在していることが浮き彫りになりました。

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持ち家の相続、5人に1人は「家を残したい」

Q1:自分が亡くなった後、持ち家をどうしてほしいですか? あなたの考えに近いものをお選びください。

最多となったのは「どうするかは遺す家族に任せたい」300人中131人(43.67%)。

「家を残して誰かに住んでほしい」と考える人は300人中64人(21.33%)。家を残す形での相続を希望している人は全体の2割強となりました。

以後は「売却して家族で分けてほしい」54人(18%)、「亡くなる前に自分で対策する(贈与や売却など)」48人(16%)と続きます。 「家族に任せる」以外を選んだ方は、「家を残したい」も含め、2~3ポイント程度の僅差で3つに分かれました。

この結果からは、相続に対してなにかしら明確な自分の希望を持っている人の中でも、実際の考え方はそれぞれで、人によって対応の仕方は分かれる傾向があることが読み取れます。

子への家の相続では、3分の2が男子への相続を予定

Q2:家には誰に住んでほしいですか?

Q1で「家を残して誰かに住んでほしい」と回答した64名の方に、誰に住んでほしいかを聞いたところ、配偶者(夫または妻)、子でほぼ2分されました。

Q3:前の質問で回答した「家に住んでほしい方」の性別を教えてください。

前の質問の「住んでほしい人」の性別について確認したところ男性が53.1%、女性が46.9%と、男性への相続を検討している方が多い結果となりました。

これを子に住んでほしいと回答した方に限定すると、男性が6割以上となり、子への相続を検討する家主の3分の2が、男子への相続を想定していることがわかりました。

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家持ちの方の場合8割近くが「現金・預貯金」の相続も発生

Q4:家以外に相続する財産はありますか? 以下のうち、あてはまるものをすべて選択してください。

家以外の相続財産として最多なのは「現金・預貯金」。
家持ちの方の約8割近くは、家とともに現金・預貯金の相続を想定しているようです。

以後は有価証券26.33%、自動車21.33% の方が保有していると回答しました。
家以外の財産がないという方は300人中50人。
相続財産が持ち家だけというケースは、6人に1人となりました。

家持ちの人の相続対策、最多は「生命保険の活用」

Q5:なにか相続対策を行っていますか? 下記の表を参考に、以下よりあてはまるものをすべてお選びください。

家持ちの家主として、相続する財産を持っていても、全体の6割以上にあたる 62.67%の方は、相続対策を行っていないことがわかりました。

一方で、行っている相続対策として最も多くの方が上げたのが「生命保険の活用」90人(30%)でした。 続く2番めが生前贈与 28人(9.33%)であり、「生命保険の活用」は2位に大きく差をつけてトップとなり、家主の方にとって最もポピュラーな相続対策となっていることがわかりました。

6割以上は20代・30代で生命保険に加入

Q6:あなたがその生命保険に加入したのは、何歳くらいの頃ですか?

前の質問で「生命保険の活用」を選択した方90人に、生命保険に加入した時期をうかがったところトップは20~29歳 33人(36.67%)、続いて30~39歳 24人(26.67%)。

生命保険を活用している家主の方の6割以上は、20代・30代までに、生命保険へ加入していることがわかりました。

40代以降で見ると、50~59歳が13名(14.44%)と、全体で三番目のピークとなっており、それまで生命保険に加入していなかったとしても、50代で生命保険の契約をはじめる方も少なくないものと考えられます。

生命保険の相続における評価方法 >>

相続対策を必要と感じない……調査結果からのぞく家主の心理

Q7:相続対策をしていない理由を教えてください。

Q5で相続対策を「何もしていない」と回答した方に、なぜ相続対策をしていないのか、理由を確認しました。

「対策するほど資産が無いから」が最多の46.28%。 次に「まだ早いと思うから」27.66%「相続対策に関心がない」12.23%と続きました。

これら上位3つの理由からは、家という確実に相続対象とみなされる財産を保有している当事者であっても、相続対策の必要性を感じていない方が多くいる現状が読み取れます。

相続対策の開始時期「40代前半」「50代後半」2つのピーク

Q8:相続対策をはじめたのは何歳頃からですか?

Q5で「何もしていない」以外を選択した方(なにかしら相続対策をしている方)に、いずれかの相続対策を最初にはじめた時期を訪ねたところ、家主の方の相続対策開始時期には、

  • 40~44歳(13.39%)
  • 55~59歳(13.39%)

と、2つの大きなピークがあることがわかりました。

これらのピーク時期に、それぞれどのような相続対策を行っているのか、40代前半と50代後半が行っている相続対策について、さらに詳しく掘り下げてみたのが以下の表です。

40代前半の相続対策
生命保険 25.0%
不動産運用・投資 13.9%
生前贈与 11.1%
保有財産の売却 5.6%
養子縁組 2.8%
子や孫への資金提供 2.8%
税理士・弁護士等への相談 2.8%
その他 0.0%
50代後半の相続対策
生命保険 31.6%
税理士・弁護士等への相談 5.3%
生前贈与 2.6%
子や孫への資金提供 2.6%
養子縁組 0.0%
保有財産の売却 0.0%
不動産運用・投資 0.0%
その他 0.0%

40~44歳の方は生命保険、不動産運用・投資、生前贈与をはじめた方が多くいました。

また、55~59歳の方は生命保険が大半で、次いで税理士・弁護士等への相談、生前贈与・子や孫への資金提供がごく少数となりました。

不動産運用・投資で将来を見据える40代前半

特に40代前半で「不動産運用・投資」を選択した方の多さは特徴的です。

40代に入っての仕事や生活のステージの変化もあり、将来に渡る収益面・相続など長い目で考慮した結果、不動産運用・投資に着手する方が多いものと考えられます。

まとめ

家主から集まった生の声もふまえると、持ち家や財産の相続に対する考え方は大きく3つに分けることができます。

  • 家などの財産を手放すことなく大事に守ってほしい
  • 遺族の自由意志を尊重する
  • 平等で相続争いなく分けてほしい

どの考え方で進めるかによって、持ち家を維持するのか、売却して分配するのか、最適な対応は変わってきます。

家という財産がある以上、家主自身が想像しない形で、遺す家族に負担をかけるリスクもあり、相続対策は、家主自身がまだまだ健在な時期から長期的に取り組むことが重要です。

調査結果から、家主の方に人気の相続対策としては

  • 生命保険の活用
  • 生前贈与
  • 不動産運用・投資

などが上げられますが、より有効な形で対策を進めていくには、相続に関する専門的な知識が不可欠となります。

最新の法律・納税のルールに準じて最適な対応を行うには、弁護士や税理士など相続の専門家への相談するのが有効と言えるでしょう。

遺産相続弁護士相談広場のWEBサイトでは、上記以外のデータやグラフ、相続に対する家主の方の生の声など、より詳細な内容をレポートにして公開しています。

「持ち家の相続」アンケート調査レポート >>

<アンケート出典元>
調査日時:2021年10月29日~11月2日
調査対象・回答者数:
[予備調査]全国の40歳~99歳までの持ち家(一戸建てまたはマンション)に居住する男女計1,000人
[本調査]持ち家の所有権を持つ40歳~85歳の男女300人(男性 149人 女性 151人)
※男女・世代ごとの回収数を2020年の日本人口構成にあわせて調査を実施。

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