『エヴァンゲリオン』シリーズの監督/総監督を務める庵野秀明と、『HITOSHI MATSUMOTO Presentsドキュメンタル』『HITOSHI MATSUMOTO Presents FREEZE』の企画・プロデューサー松本人志が、創作活動への考え方や姿勢、それぞれが影響を受けた作品、自身の作品の世界展開、今後の展望などについて語り合う特別な対談映像『庵野秀明+松本人志 対談』がAmazon Prime Videoで独占配信中。

今回はその動画のなかから、対談の様子の一部を抜粋し、特別に記事化したものをマイナビニュースからご紹介します。

緊張の初対面

庵野さん「どうも初めまして」
松本さん「初めまして。どうも松本です」

松本さん「いや、これは参りましたよ、参りました。いや、あまりそもそも会ったことない人と会うのがめちゃくちゃ苦手で。一般の普通の人と会うのも僕ちょっとだめなので……ましてやそれが庵野さんですから……相当まずいですよね。この状況は……で、庵野さんが全くつかめないので。どう……どうなるんでしょうね」
庵野さん「ええ。すぐに滞ると伝えてあります」
庵野さん・松本さん「(笑)」

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2人が語るお互いの印象

庵野さん「僕はテレビで色々見させていただいているので、松本さんすごいまじめな人だなっていう印象です」
松本さん「あ、そうですか」
庵野さん「ものすごいまじめな人だと思いますね」
松本さん「ばれちゃってる感じですね。僕、庵野さんはNHKの『プロフェッショナル』を見て、まぁ、ちょっと色々思うところがありましたね」
庵野さん「ははは、すみません」
松本さん「自分の時間というか、特別な自分の時間をもってらっしゃる人ですよね。なんか自分の時間で動いているというか、焦りがないというか。あの辺りがすごくこう自分と違うなと」
庵野さん「いや、そんなことないですよ。カメラが回ってないときは相当だめですよ」

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松本さん「なんか、何て言うんやろ。我々は所詮時間に追われていて、納得していなくてもGOしないといけないことがあるんですけど。なんかそこが羨ましいなーと思ってみてたんですけど」
庵野さん「いやいや、まったく一緒ですよ。監督の仕事は基本的には諦めることです。どこで諦めるかというとこだけです。どこまで粘って、どこで諦めるか。まぁ、ここで良いという風に思うのが、それが監督の仕事だと思います。それは時間だったり、内容的なものだったりということはありますけど。そこは同じだと思います」

松本さん「あー、そうですか! (感嘆)。その辺り(時間に追われていないと思っていたこと)がすごいなぁと思っていたんですが」
庵野さん「アニメーションの方が実写に比べると時間にある程度余裕があるだけです。実写だとその場、というか、数秒後に決めないといけないことが、アニメーションだと明日でも大丈夫な時がある。来週でもいい。来週までにこれを決めておいてくださいというのが可能なのがアニメーション。ただ、アニメーションもその場で決めないといけない時は来ますけど。今この場で決めないといけないという時はあります。切羽詰まるとそうなります。(それでも)実写よりはまだ余裕がありますね」

(中略)
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松本さん「いやこの方はすごいな、本当に最後の一滴になるまで搾り取るくらいにやり切ってほしいなぁってすごく感じます」
庵野さん「ありがとうございます」
松本さん「だから、もっとハイペースで! とかってちょっと思っちゃうんですよね。作品を」
庵野さん「これからしばらく実写なのでハイペースにはなります」

***

お互いの印象を話す中で徐々に打ち解けあう2人。ここからはお互いの仕事へのスタンス、監督・プロデューサー業の話まで広がり、日本最高峰の2人の本音に迫っていきます。

『庵野秀明+松本人志 対談』をみる

監督・プロデューサーとして楽なのは独裁か委譲か

松本さん「庵野さんはご自分でストイックだと思われますか?」
庵野さん「ストイックな方だとは思います。平均よりは多分ストイックだと思いますね」
松本さん「ストイックの考え方が難しくて……僕も結構ストイックって思われるし、自分でもストイックな部分はあるな、とは思うんですけど。でも実際は、なんかすごく“ここ”にこだわってそういうストイックじゃなくて、やることはやるんですけど、あとは半分任せているよ、というところが多くて。ストイックってそういうところありますよね?」
庵野さん「ありますね」
松本さん「常にすごい綿密にたててやってるって思われがちですけど。たぶんストイックってそういうことじゃないような気がするんですよ」
庵野さん「僕も大きく見れば行き当たりばったりだと思います」
松本さん「僕も絶対そうです。じゃないと自分のポイントになってない様な気がするというか。全部自分の計算通りに行ったら、つまらないし、ちょっとスタッフとか周りの人に対して恥ずいんですね。“あ、この人考えてきて、やってるな”と思われたくないし。というのはありますね」

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庵野さん「(逆に)考えてないけど考えたふりはしないといけない時はありますね」
松本さん「それは大いにありますね」
庵野さん「そうしないとスタッフが安心してくれないので。“あー、こいつ何にも考えてない”と思われないようにするのも大変です」
松本さん「あります、あります。僕なんか、企画会議やっていると、本当はもう答えが出てるんですけど、ちょっとスタッフの手前わざと20~30分、“うーん”って言うっていう」
庵野さん「あります」
松本さん「あれ何なんでしょうね!」
庵野さん「最初から言っちゃうと申し訳ないんですよね」
松本さん「(笑)。不思議ですね。なんでこっちが気を使うのかわかんないですけど」
庵野さん「監督が一番気使ってると思いますよ。スタッフに仕事してもらわないといけないですから」

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松本さん「でも黒澤明監督とか、そうじゃなかったんじゃないですかね」
庵野さん「そうだと思いますけど。映画監督で一番楽なのは独裁だと思っています。合法的に独裁ができるのが僕は映画監督だと思っています。(でも)僕はそういうタイプじゃない。独裁苦手なんです」
松本さん「っぽいですよね。『プロフェッショナル』を見てちょっと庵野さんに会うのが怖くなってしまいましたけど」
庵野さん「あれはカメラが回ってますから。今もですけど……カメラが回ってる(つまりは)芝居をしてます」
松本さん「誰しもそれはありますよね(笑)」
庵野さん「『プロフェッショナル』の時はカメラを意識して、使いやすいように(芝居を)やってます。カメラ回ってない時は全然違います」
松本さん「ドキュメントなんてありえないって仰ってましたもんね」
庵野さん「そうですね、切り取りと編集が入った途端にドキュメントではない。(正しくは)現実ではないということですね。現実の一部を切り取って編集して、自分のいいように作り直すのがドキュメントだと思います」

***

時代を引っ張ってきた2人の話は本当に興味深く、本編ではこの後まだまだ多くのテーマが出てきます。
「幼少期に衝撃を受けた作品・その作品の中での印象的なシーンや設定」「自身の作品への評価」「作り手としての孤独感」などへと話が及んでいき、自分の考えやイメージを形作ってきたものについて語り合います。さらに後編では「自身の作品の海外展開に対する考え方」「今後の創作活動・展望」についての対談が展開され、日本を代表するクリエイターの未来に迫っていきます。

最初は緊張感のあった2人も最後は「シンパシーを感じる」、「似てるな」というほど打ち解けあい、言葉を重ねるごとに、話の内容も深みを増していきます。日本を代表するこの2人がこれだけじっくり話す機会はもうないかもしれないので、この貴重な対談をぜひ見てください。

プライム会員なら月額500円(税込)で、『庵野秀明+松本人志 対談』含む多くの作品が見放題。 対談の続きはAmazon Prime Videoで。

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庵野秀明、1960年 生まれ、山口県宇部市出身、株式会社カラー代表取締役。
自身が総監督を務める『シン・エヴァンゲリオン劇場版』がAmazon Prime Videoで独占配信中。『エヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ4作品がそろうのはAmazon Prime Videoだけ。

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松本人志、1963年生まれ、兵庫県尼崎市出身、吉本興業所属お笑い芸人。
企画・プロデュースを行う『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』はシーズン9、『HITOSHI MATSUMOTO Presents FREEZE』はシーズン2までAmazon Prime Videoで独占配信中。

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『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』シーズン9をみる

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『HITOSHI MATSUMOTO Presents FREEZE』シーズン2をみる

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