新学期の季節。入学や進級などのタイミングで、子どもにスマホを持たせたいと考えているパパママも多いのではないでしょうか。日々の生活に欠かせないスマホですが、生まれたときからインターネットが身近にあった“デジタルネイティブ世代”である今の子どもには、もしかすると大人よりも身近なものかもしれません。また同様に、近年様々な製品が販売されているゲーム機も子どもにとっては親しみ深いアイテムです。

しかし、だからこそ我が子のスマホ・ゲームデビューに大きな不安を抱えているパパママが多いのも事実。そこで、今回はそんな悩める子どものスマホ・ゲームデビューについて、NPO法人イーランチ理事長松田直子さんに話を伺いしました。

NPO法人イーランチって?

静岡県焼津市を拠点に子育て経験のある母親たちが集まり、2003年に設立されたNPO法人。パソコンやインターネットによる情報化支援に関する事業を行うことを目的に、母親目線で教育・保育現場でのネット利用安全教育を実施しています。ITを活用してコミュニティの輪を広げ、子ども向けにネット安全安心講座を開催。また、乳幼児のスマホへの関わらせ方を考える「スマホのある子育てを考えよう」などのセミナーも行っている。

小学生の4割がスマホを持つ時代 -
しかしスマホデビューは、年齢にかかわらず各家庭で見極めを

---昔に比べ、スマホが子どもたちにとってかなり身近なものになってきています。近年では、どれくらいの年齢からスマホを持つお子さんが多いのでしょうか。

内閣府の調査(※1)によると、自分専用のスマホの専用率は小学生が40.1%、中学生が81.8%でした。よく『何年生になったらスマホを持たせていいか?』と相談を受けることがあるのですが、私は周りと比べて早いか遅いかを気にするのではなく、ご家庭によって主体的に判断してほしいと思っています。我が子にスマホを持たせても大丈夫か、安全設定をどこまですればいいのかを、それぞれ見極めることが大切です。

というのも、イーランチ独自の調査(※2)によると、0歳児にして9.1%がスマホをほぼ毎日利用しています。その利用率は年齢とともにどんどん上がり、小学入学前の未就学児の年齢である6歳になると、約6割が週2回以上スマホを利用していることがわかりました。

小学校に上がる前からスマホを習慣的に利用させているご家庭が多いので、早い段階から心構えをしっかりと持ち、安全設定の方法を調べ、スマホデビューの際はどんなルールを設けたらいいのか、準備を進めておくことが大事だと思います。

親のスマホ利用時間が長いと、子どもの利用時間も長くなる!? 
スマホあるある問題

---スマホデビューの時期は見極めが必要とのことですが、子どもにスマホを使わせすぎてしまうことを気にするご家庭も多いようです。

その相談もよく受けます。確かに、使わせすぎてしまうのはよくないと悩まれる方が多くいますが、子どもがスマホで遊んでいる間に、家事ができたり、ちょっと休憩出来たりと、親も助けられている部分が大きくあるので、スマホを使わせること自体を一概によくないとは言い切れません。ただ、電車内やレストランで騒がせないためにと、スマホの力を借りてばかりいると、スマホがないとおとなしくできない子どもに育ってしまいます。だからこそ、なぜこの場では静かにしないといけないのかという理由をちゃんと伝えて学ばせることが必要です。スマホを使わせるのは最終手段にするのをおすすめします。

また、親のスマホ利用時間と子どものスマホ利用時間は比例し、親の生活習慣や家庭環境が子どものスマホ利用に大きく影響していることがわかりました。

子どもには『ゲームは〇分まで』と決めておきながら、パパはずっとゲームし続けている“ゲームパパ問題“もよく耳にします。パパにとってみれば『1日働いたあとの癒やしの時間なんだ』という思いでしょうが、ゲームをしている姿だけを見せていたら、子どもにもけじめがつきません。

あとはおじいちゃんおばあちゃんの家にいる間、ずっとゲームをさせている問題も頻発しています。しかし、預かってもらっている手前、なかなか注意しにくいですよね。だからこそ、そういうときはぜひ子どものスマホ・ゲーム機の利用ルールを決める際に、家族全員を巻き込むことが大切です。

子どもの前での親の使い方もルールに盛り込んで、ぜひ見直すきっかけにしてほしい。全員で決めれば、ひとりひとりがしっかり守るようになると思います。

ルール作りは最初が肝心。
また成長に合わせて、ルールの見直しも

---子どものスマホ・ゲーム機デビューの際に、親子間で前もって決めておくべきことやパパママが注意すべき点をお教えください。

スマホやゲーム機を使い始めて、生活習慣が乱れてからルールを作ってもなかなか言うことを聞いてくれません。そのため、デビューの時はまさにベストなタイミング。この機会を逃さず、親子で真剣に話し合ってルールを決めましょう。

最低限決めておきたいことは、①1日のゲーム利用時間②絶対に使ってはいけない場所やシチュエーション③守れなかったときにどうするかの3つ。もし親と子どもで意見にズレが生じたら、その答えに至った根拠や理由を説明し合い、お互い納得するまでとことん話し合いましょう。その際できるだけ細かく、具体的に決めておくと、後々もめずに済みます。ただ決めごとは3つくらいが守りやすいでしょう。そうしないと親子双方がルールに縛られて、しんどくなります。

また1度ルールを決めたらずっとそのままではなく、その子の成長に合わせて見直していくことも大切です。決めたルールは親もしっかりと守り、また、子どもがルールを守れたら、うんと褒めてあげると、自主性が身につくでしょう。

忘れずに行いたいスマホ・ゲーム機の安全設定 -
そしてレーティングも必ず確認を

---スマホやゲーム機のデビュー時に、ルール決めと合わせて必ず行ってほしいのが安全設定だそう。

スマホでもゲーム機でも、子どもが安全に使うための設定が必ずあります。近年、インターネット上でトラブルにあう子どもが増えていることから、そのトラブルから守り、安心して使うように設定できるのが『フィルタリング』サービスです。

さらにどのアプリにどれくらいの時間を使っているかを確認できるのが、iPhoneの『スクリーンタイム』や、Androidの『デジタルウェルビーイング』と『ファミリーリンク』。またゲーム機のなかには、使用を制限できる『ペアレンタルコントロール』という機能もあります。

これらの認知度はまだまだ低いのですが、どんな安全設定があるのかを知ることも、親としての責務です。安全設定の方法がわからない場合は、YouTubeなどに説明動画がアップされているので、それを利用するのも手です。

また、子どもが何のゲームをやっているのか興味を持たないパパママも多くいます。しかし子どもが今遊んでいるゲームの世界観を知っておかないと、善し悪しの判断ができませんよね。

なので、せめて子どもがプレイしているゲーム名をネットなどで調べて、内容を確認しておくことをおすすめします。加えてゲームやアプリには、対象年齢の区分である『レーティング』が必ずあるので、子どもを守る意味でもそれを把握して、年齢にあったもので遊ばせるのも親の大事な務めです。

さいごに

昔も今も子どもの発達に“遊び”は欠かせません。ゲームは創造性が育まれたり、達成感が味わえたり、周りから賞賛されたりと、子どもの成長に大きく関わっています。なかなか大人数で遊べないコロナ禍においては、友達とのコミュニケーションツールにもなります。 ルールを守り、適切に付き合えばゲームは子どもにとって有益な遊びです。

子どもにスマホやゲーム機を使い始めさせることに対して、ためらいがあるパパママもいるかもしれませんが、ルールをしっかりと決め、便利な安全設定を利用してスマホやゲームと上手な付き合い方を身につけさせていくのが、これからの時代の子育てに必要不可欠だと思います。

Z世代とは、1996年(現24歳)から2015年(現5歳)の間に生まれた世代と定義されています。
デジタルが当たり前の時代に生まれてきたことから「デジタルネイティブ」とも呼ばれます。
***

※1:
・調査名 令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査
・集計期間 令和2年1月10日~2月14 日
・集計人数 
ア 青少年調査
令和 2 年 1 月 1 日現在で、満 10 歳から満 17 歳の青少年 5,000 人
イ 青少年の保護者調査
上記アの青少年の同居の保護者 5,000 人
ウ 低年齢層の子供の保護者調査
令和 2 年 1 月 1 日現在で、0 歳から満 9 歳の子供の保護者 3,000 人
・集計方法
ア 青少年調査
原則として、調査員による個別面接聴取法で調査を実施。但し、調査協力を得られたものの訪問時間等が合わない場合には、WEB調査法を併用。
イ 青少年の保護者調査 および ウ 低年齢層の子供の保護者調査
原則として、調査員による訪問配布訪問回収法で調査を実施。但し、調査協力を得られたものの訪問時間等が合わない場合には、WEB調査法 及び 郵送回収法を併用。

※2:
・調査名:幼児のスマートフォン・タブレット利用調査
・集計期間:2019年1月17日~12月17日
・集計人数:937件
・集計方法:未就学児保護者向けセミナー参加者による紙によるアンケート記入

[PR]提供:消費者庁・一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会