音楽ストリーミングサービス・Spotifyが、2019年に大きな飛躍が期待される国内アーティスト「Early Noise 2019」を発表した。選ばれたのは、新しい地図の新曲を作詞・作曲したことでも話題になった15歳のSASUKEをはじめ、エマ・ウォーリン、Ghost like girlfriend、Mega Shinnosuke、中村佳穂、Yo-Sea、ずっと真夜中でいいのに。、King Gnu、秋山黄色、kitriの計10組。新進気鋭、個性豊かな新たな才能たちが名を連ねた。その中の3組(Ghost like girlfriend・Mega Shinnosuke・SASUKE)は、6月5日に東京・代官山 SPACE ODDにて開催されるライブイベント「Spotify Early Noise Night #10」に出演することも決まっている。

こうして一押しのアーティストを発表するのは今年で3年目。過去にはビッケブランカ、RIRI、DYGL、NOT WONK、あいみょん、CHAI、SIRUP、CHICO CARLITO、BANANALEMON、yahyel、向井太一、STUTS、カネコアヤノ、SPiCYSOL、羊文学、ドミコ、TENDOUJI、SUSHIBOYS、Attractionsらが選ばれている。そもそも、これらのアーティストは、どのような選考過程を経ているのか。

あいみょんが紅白歌合戦に大抜てきされるなど、明確な実績ができたことでレーベル側からの注目度も増しているはず。中立性はどのように保たれているのか、Spotifyのスタッフを取材した。

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「Early Noise 2019」に選出された「ずっと真夜中でいいのに。」

デビュー後の年数で区切らない「新人」の定義

――今年で3年目になる「Early Noise」。候補者はどのように選出されるのでしょうか。

エントリーには2パターンあります。1つは、レーベルからのエントリーで、メジャーレーベルのみならず、チューンコアさんやスペースシャワーさんといったインディーズ・アーティストを担当しているところにも呼びかけ、複数アーティストのエントリーも受け付けています。

「Early Noise」は、Spotifyが推す新人アーティストをサポートするプロジェクトです。その年にブレイクする、またはブレイクするする兆しがある新人アーティストを対象とし、選ばれたアーティストには、年内に複数の展開を実施することを約束しています。具体的には、「Early Noise」のプレイリストでの紹介やソーシャルメディアでの拡散、Spotifyの広告といったマーケティングサポートも含まれます。

「新人」の定義は、メジャーでのフルアルバムをリリースしていないこと。デビュー後の年数では区切っていません。細かい条件としては、「音源の発売日にSpotify上でもリリース可能なアーティスト」「ソーシャル上で、共同プロモーションに積極的に協力可能であること」などがあります。

――レーベル推薦枠以外では?

レーベルからのエントリーとは別に、Spotifyの担当チームの推薦枠も別に設けています。レーベルからのラインナップを見つつ、必要であれば追加しています。

――Spotify側が推薦する基準はあるのでしょうか。

過去にリリースされた作品の動きをはじめ、Spotify上でのリスニングデータは参考にしています。他のアーティスト作品でのフィーチャリングも対象にデータを見ていきます。例えば今年選出した「ずっと真夜中でいいのに。」は動画投稿サイトから話題になりましたが、Spotifyで配信を開始した時のユーザーの瞬発的な反応は参考になります。その後、取り上げるプレイリストの幅を増やしていますが、それぞれの反応や聴かれ方も見ています。ただ、データはあくまで参照であり、こうした分析を前提にしつつもSpotifyがその目利き力で「良い」と思えるアーティストを選出しています。

また、推薦アーティストのバランスには気をつけていますし、Spotifyとしての強みを活かして応援できるアーティストも選出しています。例えば、エマ・ウォーリンは、Spotifyが持つグローバルな音楽コミュニティとしての特徴を活用して応援できるアーティストです。

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    SASUKE

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    EMMA WAHLIN

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    秋山黄色

米津玄師に続く、“動画発”のアーティストたち

――あいみょんがブレイクしたことによって、「Early Noise」に対するレーベルの反応に変化はありましたか?

あいみょんの国民的ブレイクを筆頭に、ビッケブランカ、SIRUP、Official髭男dismなど、この数年間に再生回数やリスナー数を急増させたアーティストが「Early Noise」から続々生まれています。ライブイベントの「Early Noise Night」は、おかげさまで音楽ファンのみならず業界関係者にとっても次のブレイクアーティストをいち早くチェックする場としても認識されはじめています。

――アーティストがブレイクする流れも時代と共に変化しています。

「ずっと真夜中でいいのに。」は、米津玄師さんと同じように動画発。明るいことを歌っているわけではなくて、どちらかというと陰がある。その感じが今の空気感にマッチしているように思います。

それから、「Early Noise 2019」で選出した10組中、3組のアーティスト写真がイラストというのも時代を象徴しているように感じます。エマ・ウォーリンと秋山黄色は、今のところミステリアスな存在です。これも米津玄師さんのように、基盤となるファンベースができあがった後にどこかのタイミングでマスメディアにも登場し、人気と認知度を飛躍的に高めるのではないでしょうか? このようにメディア戦略を段階的に設計していくことも、今後はとても重要なのではないでしょうか。

かつては情報源が限られていたので、テレビで紹介されることが最も重要でした。もちろん今もテレビの影響力は大きいですが、インターネットやソーシャルメディアの普及によって、リスナーが良いと思ったアーティストを自ら能動的にシェアし、コミュニティを作り、これを広げていくことができるようになった。一過性テレビで大きく火をつける前に、核となる支持基盤を作っておくことで、その前段階が確立されつつあります。

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    Ghost like girlfriend

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    King Gnu

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    kitri

アーティストが届けたいのはCDではなく音楽

――そういう意味では、新人アーティストの活動拠点がライブハウス、ストリートライブ以外にも広がっているとも言えます。

組み合わせの妙だと思います。ストリーミングは、簡単に気軽に音楽に触れることができる。それだけだと生身のアーティストに触れることができませんが、そこからライブに行ったり、グッズ購入につながることもあり、個人によって音楽との接点が細分化されて広がっています。そして、ライブイベントの「Early Noise Night」に来ると、別のアーティストにも触れることができる。「聴きたいと思った瞬間」に聴きたいものを聴かせてあげて、そこから気になったアーティストを深掘りしていく機会や新たな音楽との出会いのきっかけを提供できるのがSpotifyの特徴です。

――「CDが売れない」と悲観的になる必要もないと。

基本に立ち返ると、アーティストにとって届けたいのはCDではなくて、音楽です。CDは単なるメディア。音楽が届けられ、これがリスナーに喜んで聞いてもらえることが大事なのではないかと思います。

今の音楽の聴き方と向き合った時に、どういった形であれば一人でも多くのリスナーに届けられるのか。CDはたとえ一枚売れたとしても、実際にそれで何回聴かれているのかは分かりません。そういう観点で考えれば、アーティストにとって自分の音楽がどれだけ、どのような人たちに、どのような時に聴かれるのかが分かるストリーミングは、真の意味でアーティストをつなぐ橋渡しになっているように思います。

――あいみょんが紅白に初出場するまでの流れが、それを象徴していますね。

あいみょんが多くの人に知られたのは、とても大きなことです。ストリーミングでリスナーが広がり、基盤となるファンベースができあがった上で『関ジャム』などの音楽番組に取り上げられ、さらにはテレビドラマの主題歌に採用されたことで一過性の人気に終わらず、紅白出演を経て国民的なアーティストに成長していきました。彼女が瞬間風速で終わらなかったのは、土台がしっかり作られていたからです。

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    Mega Shinnosuke

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    中村佳穂

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    Yo-Sea

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