父親と一緒に楽しんだ『ガンバ!Fly high』

『ガンバ!Fly high』(C)原作 森末慎二/作画 菊田洋之/小学館

『ガンバ!Fly high』
●作品紹介
「一年B組っ 藤巻駿!! ボク、オリンピックの金メダルを取りたいんです!!」。小学生のときに跳び箱で怪我をして以来、運動から遠ざかっていた藤巻は、オリンピックの金メダルを取りたいという理由で弱小男子体操部に入部する。入部当初は倒立や逆上がりなど基本の技すら出来なかった藤巻だが、周囲を巻き込み技術を磨き、自らの体操競技の才能を開花させていく

――お次は『ガンバ!Fly high』ですね。『ガンバリスト! 駿』という名前でTVアニメ化もされた器械体操を題材とした漫画です。

まさにアニメがきっかけで読み始めたんですよ。父親が高校時代に体操をやっていたので、一緒にアニメを楽しんでいたんです。そこから原作も読むようになりました。『ガンバ!Fly high』は"体操とは鉄棒があって、つり輪があって、体操にはこういう種目がある"ということからていねいに描いていく。主人公の藤巻駿は最初はなにも技ができなかったけど、どんどん成長していくというスポ根的な面白さがありました。


――最初は逆立ちもできないくらいでしたね。

体操って、ともすれば危険と隣り合わせな競技じゃないですか。でも、そういう危険も含めて、スポーツの楽しさや厳しさ、喜びも作品のなかに描いているんです。


『ガンバ!Fly high』(C)原作 森末慎二/作画 菊田洋之/小学館

――実際に技を真似してみたことも?

やりたかったですねー。父親がバク転とかバク宙とかができるので教えてもらったんですけど、恐怖感を克服できませんでした。できるのはハンドスプリングまででしたね。


――羽多野さんが漫画やアニメに触れるようになったのは、お父さんの影響というのも大きいのでしょうか。

それはありますね。僕は喘息持ちなので、小さいころは体が強くなかったんです。なので、父親から「体を鍛えなさい」と柔道を習わせられました。そのころ、父親と一緒に観ていたアニメが『YAWARA!』だったんです。


――あぁ~。

僕は3月生まれなので、体の成長的な意味で学校生活では少し不利な部分もあったんです。背も小さかったし、スポーツでは同級生とは並べなかった部分もありました。それがずっとコンプレックスだったんですけど、『YAWARA!』の世界では、小さな主人公が外国人の大きな選手を一本背負いで倒していく。格好良かったですね。柔よく剛を制す、好きなことばです。


『ガンバ!Fly high』(C)原作 森末慎二/作画 菊田洋之/小学館

いつかは涼ちゃんを演じてみたい『あなたのことはそれほど』

『あなたのことはそれほど』
●作品紹介
美都(みつ)は、眼科で受付をしていた際に出会った渡辺涼太(わたなべりょうた)と結婚に至る。ある日、美都は昔好きだった有島光軌(ありしまこうき)と偶然再会し、男女の仲に。お互い既婚であることを知りつつ、W不倫のマリッジライフが展開してゆく。美都にとって有島はずっと昔から好きだった人、夫の涼太は2番目に好きな人。美都と有島、それぞれの夫婦関係は徐々に変化していき……。

――次の作品は『あなたのことはそれほど』。

少し前にやっていたドラマからハマッて原作を読んだんです。最初はごくありふれたふつうの夫婦の話かと思いきや、ですよね。それぞれのキャラクターが闇を抱えていて、一歩間違ったらその闇が出てきてしまうようなストーリーなんですけど、そのほうがよりリアルなんですよね。「まるで漫画だな」って展開の方が、実は人間関係においてはリアルなこともある。聖人のような人の闇部分が出てくるときにゾッとする。そんな作品でしたね。


――結構、感情移入して読まれた?

どのキャラクターにも感情移入できてしまう"かけら"がありますね。特にみっちゃん(渡辺美都)とか「こんな人いる?」って感じじゃないですか。でも、誰しも必ず「やってはいけないことをやりたくなってしまう」という一面はあると思います。ふつうの人は、その一歩は踏み出さないんでしょうけど。


――漫画だからこそですね。好きなキャラクターは?

主人公の旦那、涼ちゃん(渡辺涼太)が好きですねー。ドラマを観て思ったのが、TVアニメ化したときにはぜひ演じてみたいなってことでした。ドラマで涼ちゃん役だった東出昌大さんのセリフを反芻していましたからね。


――やっぱり好きなキャラクターは演じてみたいものなんですね。

ですね。好きになればなるほどそのキャラクターの理想像で演じてしまうので、オーディションで結果が出ないと落ち込んでしまうんです。ドライな考えの方がスムーズにいくんでしょうけどね。漫画が好きなばっかりに、結果を聞いて、「携わりたかった……」と落ち込んでしまうこともあります。


バナーで気になった『終末のハーレム』

『終末のハーレム』(C)原作 LINK/作画 宵野コタロー/集英社

『終末のハーレム』
●作品紹介
致死性の病気、細胞硬化症を発症してしまった医学生・水原怜人(みずはられいと)。特効薬の開発を待つため、コールドスリープで5年間の眠りに入ることになる。無事特効薬を投与されコールドスリープから目覚めるも、世界では新種のMKウイルスが猛威を振るっていた。ウイルスによって男性の99.9%は死滅。ウイルスのワクチンを持っているのは細胞硬化症を治療した怜人ほか5人の「ナンバーズ」だけ。怜人は人類を救うため、残された女性たちとの子作りを要請される。

――最後は『終末のハーレム』ですね。

この作品はジャケ買い、正確にはバナー買いですね。


――ネットをしていたらバナーが出ていて。

そうそう、キャラクターの造形が美しくて買っちゃいました。女性の描き方、曲線がたまらない。僕が好きな絵柄なんだと思います。あと、内容が好きなんですよ。主人公・水原怜人が難病治療のためのコールドスリープから目覚めたら、自分以外の男がほとんどいない。男が貴重な存在になっているっていう。こういうSF的なお話は大好きなんですよ。


――ありそうでありえないみたいなワクワク感がありますね。

子どものころからこういうSFが好きなんです。最近はリアルの方がSFチックになっているところもありますよね。現代の治療では治せない病気の治療法を未来に託すため、コールドスリープをする。クライオニクスというらしいんですけど、そういうのを聞くと、『終末のハーレム』の話はあってもおかしくない。ワクワクしますねー!