「ホント、"ワンパン"で相手を倒すことができたらどんなに楽かって。そういう意味で、『ワンパンマン』の一発で敵の怪物を倒すあの強さはうらやましいですよね」

こう語るのは格闘家の長島☆自演乙☆雄一郎選手だ。通称"侵略のアニヲタ野郎"。キックボクシングをベースとした実力派ながら、選手入場ではアニメキャラのコスプレに扮し会場を盛り上げる、格闘技界きっての異色のファイターである。

WEBコミック界の新星・ONE氏と『アイシールド21』の村田雄介氏による強力タッグで『となりのヤングジャンプ』にて連載中の漫画を原作とし、この秋にTVアニメ化された『ワンパンマン』。先日最終回を迎えた同作の主人公・サイタマの、パンチ一発ですべてを終わらせる強さに長島は関心を寄せている。

左:長島☆自演乙☆雄一郎 右:『ワンパンマン』の主人公サイタマ

「面白いですよね。ギャグっぽい場面とシリアスな場面ではキャラクターの顔が使い分けられてるんですけど、そこが好きです。格闘家にとって"ワンパン"で勝つっていうのは理想だと思うんですよ。もちろん、僕もいつもKO勝ちを狙っています。僕の場合であれば、KOで試合を終わらせるには相手が知らない虚を突く必殺技が必要となるので、その研究はいつもしています」

そんな長島の想いがカタチとなって表れたのが2010年の大晦日に行われた『Dynamate!!~勇気のチカラ2010~』で対戦した日本トップの総合格闘家である青木真也との一戦だろう。

青木選手を沈めた右膝

1ラウンドがキックルール、2ラウンドが総合格闘技ルールで行われた変則マッチだった。長島は自分の土俵である1ラウンドのキックルールで青木を捉えることができず絶体絶命のピンチ。総合格闘技ルールで青木とまともにやりあえば勝ち目はない。

「組まれたら絶対に無理。だから、あの一発にすべてを賭けていた」という長島は、2ラウンド開始4秒、タックルにきた青木に対し、右跳び膝蹴りをきれいに合わせ、鳥肌モノのKO。まさに最高の"ワンパン"勝利だった。

「まさにハイリスク・ハイリターンの戦法ですよね。リスクを背負うことでKOっていうのは生まれるんですよ。僕にとって一番いい試合っていうのは言うまでもなくKO勝ちですが、じつは2番目がKO負けなんです。KOを狙うということはリスクを背負うことだから、倒される可能性も高い。KO勝ちを狙うからこそ、KO負けをすることもある。だって判定勝ちをしてもお客さんはあんまり喜ばないでしょ? だったらどっちに転ぶか分からないリスキーな戦い方でお客さんに喜んでもらいたいんです」

長島☆自演乙☆雄一郎選手が選ぶ3大『ワンパンマン』格闘家

そんなリスクを背負い"ワンパン勝負"している長島に、格闘技をこれまで見てきてシビれた3大『ワンパンマン』格闘家を紹介してもらおう。

"18戦連続1R KO勝ちの怪物"エドウィン・バレロ(ボクシング)

ベネズエラ出身。元世界2階級王者(WBC世界ライト級、WBA世界スーパーフェザー級)。生涯プロ戦績27戦KO勝利の史上唯一のパーフェクトレコード保持者。

またプロデビューから18戦連続1R KO勝ちを収めており、武器は強烈な左ストレート。返しの右フックも鋭く、あらゆるパンチでKOを奪った怪物である。

興奮気味にバレロ選手のパンチを語る長島選手

「バレロこそまさにワンパンマンですよ! 戦績がそれを物語っているし、繰り出すパンチはエグいの一言。プロの僕から見ても、あのパンチは作り上げたというよりも天性のモノだとしか言いようがない。KO率100%なんて神がかっているし、今後、彼のような選手は出てこないと思いますね。

いつだったか、バレロが1ラウンドKO勝ちを逃せば対戦相手に100万円を与える、という異例の賞金マッチを戦ったことがあるんですけど、公約通りバレロは1ラウンドKO勝ちを収めてしまった。徹底的に逃げる相手に対しても、しっかりKO勝ちするバレロの強さはホント驚異的ですよ」

"北の最終兵器"イゴール・ボブチャンチン(総合格闘技)

ウクライナ出身。初期のPRIDEを牽引し、総合格闘技の迫力を世間に知らしめた。持ち味は、オーバーハンドから繰り出される強烈な"ロシアンフック"。それまでのセオリーにはない斬新なパンチのフォームによりKO勝ちのヤマを築いた。

サイタマは、どんな敵も”ワンパン”でKOしてしまう

「やっぱりロシアンフックを初めて見たときは衝撃でしたね。とにかくパンチの打ち方が独特です。立ち技をやっている人間からすれば、ああいったパンチの出し方はまずないので新鮮でしたし、新しい打撃というものを世間に知らしめた選手だと思います。

印象的だった試合は2000年にやったゲーリー・グッドリッチとの一戦。ロシアンフックを一発当ててグッドリッチが倒れて失神しているのに、さらに強烈な鉄槌を顔面に振り落としていったあの冷徹さ。あのシーンは一生忘れられないでしょうね」

"千年に一度のKO劇を演じた男"ジェロム・レ・バンナ(K-1)

フランス出身。K-1で一時代を築いた"ハイパーバトルサイボーグ"。K-1ルールにあってもキックではなくパンチに強いこだわりを持ち、必殺の左ストレートでKO勝ちを量産。K-1のトーナメントではついに優勝することはなかったが、ファンに残したインパクトは強烈だった。

サイタマのパンチは、隕石すら"ワンパン"で粉々に破壊する

「とにかく好戦的なところが好きなんですよね。どんな場面であってもKOを狙っているのがありありと分かったし、実際期待に応えてKO勝ちすることも多かった。今でも脳裏に残っているのは2000年に行われ、”千年に一度のKO劇”と言われたフランシスコ・フィリォとの試合。

当時の僕は空手をやっていたので、極真のフィリォを応援していました。でもバンナは、平気でフィリオの間合いに踏み込んで、左ストレート一発で失神KO。あのシーンにはホント戦慄しました。バンナは誰でも分かりやすいくらい強い選手。駆け引きを使わずグイグイとパワーで前に行ってKOを狙う姿が好きだった。

先に述べたように、KOを狙うというのはリスクを背負うことでもあるので、最終的に長丁場になるグランプリで、バンナが王者になれなかったということもうなずけます。後先考えず目の前の試合でKO勝ちするといった精神性も好きでしたし、見習う部分が多い選手ですね」

『RIZIN 』への意気込みを語る

この年末、長島はバンナも出場選手に名を連ねる格闘技イベント『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015さいたま3DAYS』に参戦する。対戦相手はシュートボクシングの絶対王者と呼ばれ、『K-1 WORLD MAX』を二度制覇しているアンディー・サワーだ。立ち技出身の両者だが、『RIZIN』では総合格闘技ルールで対戦する。

「総合格闘技ルールとはいえ、同じ立ち技出身ですからパンチでは負けたくないですね。サワー選手は初めての総合格闘技ルールだということですが、決して油断はできませんし、純粋な総合格闘技の選手だと思って戦います。現にサワー選手は、元UFCフェザー級王者のジョゼ・アルド選手と練習しているし、本格的にUFC進出を狙っているというので、相当実力があると思うんです。

ただ総合格闘技歴は僕のほうが長いから、ここは絶対に負けられない。先日、サワー選手の練習パートナーのアルド選手がUFCのタイトルマッチでコナー・マクレガーという選手に、わずか13秒で"ワンパン"負けしているので、サワー選手にはそれを上回るタイムで"ワンパン"勝ちしたいですね。面白い試合をするので、ぜひ期待していてください。

それから、入場の際のコスプレにも注目してほしいですね。『あっ、コスプレのヤツが戻ってきたな!』って楽しんでもらえればうれしいです。ただ、当日どんなコスプレにするか悩み中なんですよね……。えっ? 『ワンパンマン』のコスプレですか? そりゃもう、用意していただけるのならば、ぜひやってみたい。頭下げてお願いしますって感じですよ(笑)」

長島選手も注目している"平熱系最強ヒーロー"サイタマ(ヒーロー協会)

3年間の特訓により無敵のパワーを手に入れた男。一発で終わってしまう戦いに物足りなさを感じながらも、趣味でヒーローをしている

サイタマの活躍を描く人気アニメ『ワンパンマン』。12月24日にはTVアニメ1・2話とオリジナルエピソードを収録したBlu-ray・DVDが発売される。ONE氏原案による完全オリジナルエピソードの映像や特製ブックレット、イベント優先申込券など特典も盛りだくさん。
(発売・販売元:バンダイビジュアル)

バンダイビジュアルクラブでは、Blu-ray・DVDに収録話とOVAの絵コンテ集がセットになった『BVC限定セット』を販売中

強過ぎて本気になれない新しいタイプのヒーローの、哀しくもまた圧倒的な強さは、とにかく魅力的。アニメファンのみならず、格闘技ファンの方々もご覧になってはいかがだろうか?

取材協力

長島☆自演乙☆雄一郎

1984年7月2日、兵庫県出身。魁塾所属。K-1 WORLD MAX2010~70kg Japan Tournament~優勝。立ち技をベースとしながら総合格闘技やプロレスにも参戦。実力もさることながら、クオリティーの高いコスプレでの入場が話題を呼び人気を博す。12月31日の『RIZIN』でアンディ・サワーと対戦する




『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015さいたま3DAYS』
年末の格闘技イベントがついに復活する。団体の垣根を超え、世界中から強豪選手が日本に集結。レジェンド選手を始め将来を担う若手選手まで、格闘技が文化となるべく熱い戦いを展開する。12月29日、31日、さいたまスーパーアリーナで開催。試合の模様はフジテレビ系列にて放送される。

(C)ONE・村田雄介/集英社・ヒーロー協会本部

(マイナビニュース広告企画:提供 バンダイビジュアル)

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