元日に届けるためにはもう出さないと! と気ばかり焦ってなかなか書き始められない年賀状。今夜こそ! と思いつつも忙しい年の瀬、あっという間に時間が過ぎていく。今年もコンビニに売れ残っているありきたりのデザインで出すのか、もらった人はどう思うんだろう、たまには自分だけのオリジナルデザインで驚かせてみたい…。

そんな需要をおさえて、日本郵便が公式で出しているアプリが「はがきデザインキット2015」だ。1,000種類以上の年賀状素材、直感的な操作で簡単に年賀状デザインができ、自宅のプリンターで印刷したり、その先の印刷配送サービスへとつなげることもできる。そしてこのアプリは無料でダウンロードできるのだ(PC版は郵便年賀.jpのサイトから、スマホ版はApp StoreやGoogle playから)。今回はこの利用状況についてた日本郵便に話を伺った。

はがきデザインキット(スマートフォン版)

スマホで広がる年賀状の可能性

このサービスのWEB上での窓口となる郵便年賀.jpは、2007年の郵政事業民営化後、バラバラだった年賀状のデザイン、印刷、販売などの組織を横断的にまとめることを目的とした、年賀戦略室が立ち上げた。当時メンバーだった日本郵便・西村哲課長は「年賀はがきを売るだけではなくて、手軽につくって楽しんでもらう」という狙いがあったと言う。年賀はがきを売った後のアフターケアに乗り出したというわけだ。最初はテンプレートや画像パーツをダウンロードできるといった簡単なサービスだったが、今は市販の年賀状作成ソフトに負けないものにまで進化し、昨年はPC版のみだけで400万ダウンロードを記録した。

更に、2012年からはスマホ版の提供も始め、同年のダウンロード数は15万件だったものが翌年は30万件、昨年は40万件、現在ダウンロードできる2015年版はそれをはるかに超える勢いで伸びている。PC版での利用者は男性、やはりお父さん世代が多いようだが、スマホ版では女性の利用が大幅に伸びているとみられる。スマートフォンで日常の写真を撮ることが多くなり画質も向上しているため、そのまま年賀状印刷に使えるという手軽さが受けているようだ。

利用者の声を聞いて年々改良を重ねている「はがきデザインキット」。「みなさまいろいろご意見をくださって、参考にさせてもらっています。ただ、プリンターの設定の仕方まで問い合わせでいただいたときは驚きましたね(笑)」と西村さん。

おせち料理を食べなくなるなど、お正月気分を感じられる行事も減り続けている今の世の中。年賀はがきの発行枚数は年々減り続けていて、若い世代の年賀状離れは深刻だ。しかし、減っている時代だからこそ、元日にポストに届く年賀状は逆に目立つことになるし、オリジナリティあふれるデザインなら、「おっ!やるね!」ともらった人は好感を持つに違いない。