――イラストの内容については何かリクエストなどはありましたか?

第5弾のイラストは得能正太郎氏が担当

得能氏「イラストについては、一度お会いして打ち合わせをさせていただいたのですが、『60日のシンデレラ』という作品は、たったの10秒しかない。その短い時間の中で、どうすれば視聴者の方に共感していただける絵が描けるかということを考えたところ、できるだけシンデレラが本当にいるかのように描ければいいなと。でも、10秒しかないので、細かな設定を説明できないわけですよ」

――そこが難しいところですよね

得能氏「なので、観ただけでわかるように、シチュエーションをできるだけリアルに近づけたかったんですけど、毎晩深夜0時に女の子と話すことなんてなかなかないじゃないですか。それでいろいろと考えているうちに、この番組はテレビなので、それも利用しよう。テレビ越しで話すシチュエーション……だったら、ビデオチャットがいいなって」

――それならあまりムリはないですよね

得能氏「しかも、ビデオチャットにするのなら、舞台が日本である必要もないわけですよ。じゃあ、外国にしよう。外国ならどこがいいか。ちょうど去年フィレンツェに行ったので、フィレンツェにしよう。フィレンツェなら写真もいっぱい撮っているので資料に困らないですし、何より自分が行って、どういう所かがわかっているので、描くときも安心なんですよ。こんな感じで、ビデオチャットとフィレンツェというキーワードが決まったので、そこから海外留学しているシンデレラとビデオチャットで会話をしているという設定が出来上がりました」

稲垣P「ちなみに、日本の深夜0時は、イタリアだと夕方ぐらいなので、ちょうど学校から帰ってきて、その日の出来事を話すみたいな感じになっています」

――その場合、シンデレラをイタリア人にするという選択肢もあったかと思いますが、イラストの女の子は日本人ですよね

得能氏「そこが共感を持っていただけるポイントだと思っています。外国人とビデオチャットをするというのも面白いのですが、やはりちょっと違和感がありますよね」

――ちなみにイラストはどれくらいで描いたのですか?

得能氏「いつもなら2日ぐらいで描いてしまうんですけど、今回は4日ほどかかっています。そういう意味では、かなり本気です(笑)。基本的に出版物が主な仕事なので、横長の絵というのは見開きになるんですよ。だから構図的に、真ん中に物が置けないのですが、今回はテレビなので真ん中にドンと物が置ける。そのあたりはやりやすかったところでもありますし、いろいろと工夫ができて楽しかったです」

今回のイラストは表情以外にもさまざまな変化がある

――今回のシンデレラにはかなり細かい設定が用意されているということですが

稲垣P「打ち合わせをしている中で、得能さんからいろいろなアイデアを出していただいた結果ですね。『60日のシンデレラ』という作品は、女の子に喋ってもらうということは決まっていますが、それ以外の部分は特に決まりを設けていない。得能さんから、それ以外の部分に関してたくさんの魅力的なアイデアをいただけたので、まとめているうちに設定がドンドンと膨らんでいった感じです」

――今回の脚本はすべて稲垣さんがお書きになっているのですか?

稲垣P「基本的には私が書いていますが、得能さんにも4~5日分書いていただいています」

(次ページへ続く)