浜名監督&メインキャスト陣が語るTVアニメ『もしドラ』

今回の取材では、浜名孝行監督ほか、川島みなみ役の日笠陽子、宮田夕紀役の花澤香菜、浅野慶一郎役の柿原徹也、柏木次郎役の陶山章央、加地誠役の津田健次郎、二階正義役の浅沼晋太郎、北条文乃役の仲谷明香、星出純役の細谷佳正、桜井祐之助役の中西英樹、朽木文明役の赤澤涼太、新見大輔役の内匠靖明といった総勢12名が、作品の魅力などを語ってくれている。


――まずは浜名監督、作品に向けての意気込みをお願いします

浜名孝行監督「監督の浜名です。ものすごく話題の作品なので、緊張もものすごくあるのですが、すごくいいスタッフがそろっていて、ものすごくいい感じで作れていると思います。ぜひ楽しみにしてほしいと思っていますので、よろしくお願いします」

――それではキャスト方々、ご自身の演じるキャラクターについて一言お願いします

日笠陽子「川島みなみ役の日笠陽子です。みなみはとにかく天真爛漫で、明るく、『マネジメント』という本を読んで、夕紀のために、野球部を甲子園に連れて行こうと頑張っている一途な女の子です」

花澤香菜「宮田夕紀役の花澤香菜です。夕紀はみなみちゃんの親友の、けっこうおしとやかで、みんなを見守りつつという、ちょっと病弱な女の子ですね。みなみの相談にいつも乗っている頼もしい女の子です」

柿原徹也「浅野慶一郎役の柿原徹也です。浅野君はこのチームで、エースという役割を担っています。ピッチャーとしてはすごく才能があり、しかも負けん気が強く、正義感が強い男の子がゆえに、ちょっと自分の気に食わないことがあったり、疑問に思うことがあったりすると、すぐに『それは違う』という感じで、自分の考え方を意固地に曲げることができないところがあります。物語の中では、ヒーロー的で、主人公的な感じの、熱血的な男の子なのですが、すごく友達とは仲良くできたりする社交性も持っています。ただ、クラスメイトやチームメイトたちと比べると、まだ子どもの部分があるんじゃないかなって思える男の子です」

津田健次郎「加地先生役の津田健次郎です。野球に対する知識も豊富で、愛情もすごくあるのですが、部員とのコミュニケーションがうまくいかず、野球部自体もあまりうまく機能していません。それが後半になると、みなみとのやり取りを通して、自分の力を発揮していく、そんな感じの先生です」

陶山章央「柏木次郎役の陶山章央です。キャッチャーで、みなみの幼馴染で、僕自身はすごく演じやすいキャラクターだと思っています。性格は明るくて楽しいやつですね」

浅沼晋太郎「二階正義役の浅沼晋太郎です。二階君は、野球の技術はそれほどないのですが、練習熱心で、誰よりも先にグラウンドに来るという努力家です。ただ、野球をやり始めたきっかけが、経営者になりたくて野球をやってみようと思ったという、ちょっと変わり者のインテリです」

仲谷明香「北条文乃役の仲谷明香です。文乃ちゃんは野球部の一年生の女子マネージャーで、普段はすごく挙動不審というか、おどおどしていて、静かな感じなのですが、実は一番何か熱いものを持っている女の子なのではないかなって思います」

細谷佳正「星出純役の細谷佳正です。星出君は野球部の部長という立場なのですが、自分から進んで部長になりたかったわけではなく、本当は自分の実力を試したくて野球部に入り、自分のスキルを上げることに集中はしたいんですけど、仕方なく部長をやっている、みたいな感じです。前半は流されている印象もあるのですが、一番人間っぽいなと思う男の子です」

赤澤涼太「朽木文明役の赤澤涼太です。朽木君は足が速くてレギュラーなのですが、それ以外はからっきしダメで、それゆえレギュラーであることに悩んでいるという、非常に贅沢な悩みを持っている役なんですけど、真面目であるがゆえの悩みという感じで、僕とは正反対だと思いながらやらさせていただいています。見た目は一番高校球児っぽいです」

中西英樹「桜井祐之助役の中西英樹です。祐之助君はそこそこ上手いのですが、チャンスに弱い男の子です。しかも、チャンスに弱いのに、チャンスに出番が回ってくるという、運のない、クセっ毛のそばかす顔の男の子です」

内匠靖明「新見大輔役の内匠靖明です。新見君は浅野君の控えの一年生の投手です。ほかのキャラクターと比べると、原作ではそれほどフィーチャーされることもないのですが、準々決勝で活躍するシーンがあるところをみると、『マネジメント』によって成長する真面目な選手なんだろうなって思っています。選手たちの中でも真面目な、真面目が取り柄の選手だと思います」

――本作品に参加することが決まったときの感想はいかがですか?

浜名監督「絵がすごく萌え系というか、今までに自分のやったことのない感じのキャラクターだったのですが、原作を読んだらものすごくギャップがあるいい話でしたね。あと、僕は子どもの頃に少年野球をやっていたので、野球アニメをずっとやりたかったんですよ。なので、すごく楽しみでしたし、やっていてすごく楽しいです」

日笠「オーディションが2回あったのですが、最終のオーディションでは、『舞台をやる感覚で、ナチュラルにやってください』と言われまして、あらかじめ自分で作ってきたものとは全然違うものでのオーディションになったので、私はもうダメだって思っていたんですよ。なので、受かりましたよって連絡をいただいたときは、ものすごくビックリしましたし、それと同時に、200万部近くも売れていて、いろいろな方が見ている作品に出させていただくんだと思うと本当にうれしかったです。『もしドラ』って、普通にありそうな話じゃないですか。なので、普通に人間が生きている作品にしたいなと思ったので、みんなのお芝居を聞きながら、自分のお芝居も変わっていくような、そんな人と人とが関わるようなみなみにしたいと思いながら、演じさせていただいています」

花澤「夕紀に決まったときは本当にうれしかったです。夕紀のような包容力のある、ちょっとお姉さん的なポジションという役は自分としても挑戦してみたかったキャラクターでした。オーディションで役が決まった後、原作を読んだのですが、飛行機の中で全部読み終わってしまうぐらい、本当に読み始めたら止まらず、すんなりと読めてしまい、収録が本当に楽しみになりました。私の父が野球が大好きで、小さい頃によく球場に連れて行ってもらって応援していたので、そのときのワクワク感などが夕紀と一緒に出せたらいいなと思いながら、収録をしています」

柿原「僕もオーディションで選んでいただいたのですが、やはりナチュラルさを大事にという指示がありました。ただ、役柄的に熱血で明るく、そして感情が豊かで、喜怒哀楽がバンバン出てくるようなキャラクターなので、それをナチュラルなお芝居で演じるというのは大変なのですが、浅野君という役をやらせていただけるということがすごくうれしかったですし、『もしドラ』という作品は、アニメ化される前から誰もが名前を知っているような作品なので、その作品に携われるということがとても光栄でした。僕自身も野球が大好きで、そのリアルなお芝居を、高校生の感覚に戻ってできるというのが、お芝居をやっている身としてはとても楽しく、原作の魅力に負けないような作品にしたいなと思っています」

津田「『もしドラ』のお話をいただいたとき、もちろんタイトルは知っていましたし、何か社会現象になっているということだったので、すごくテンションが上がりました。そして、アニメになれば、普段アニメを観られない方もきっと観てくれるんだろうなっていうのもすごく楽しみなことの一つですね。役に関していえば、原作を読んだときはもっとおどおどした、もさっとした先生を想像していたのですが、アニメでは思っていた以上に男前でびっくりしました(笑)。これはちょっと意外でしたね。これからまだまだアフレコが進んでいくのですが、楽しんでやっていけたらいいな思っています」

陶山「実は第一話の台本をいただくまでは、二階正義役だと思っていたんですよ。オーディションは1次も2次も二階正義で受けていて、2次の最後に、ちょっとこっちもって言われたのが柏木次郎役だったんです。それからしばらく経って、決まったと聞いたときは、最初に受けた役だと言われていまして、役作りのために原作を読んで、今まであまりやったことのない難しい役だと思いながら、台詞の練習までしていたんですよ。それで台本を見たら、あれ? って……。でも、もともと柏木のほうがやりやすい役だっだので、今までどおりで行こう、明るく元気で行くぞ、みたいな、そんな感じです(笑)」

浅沼「そんなことを言われた後に僕は何を言えばいいんですか(笑)。僕もいくつか受けた中で、二階に決まったのですが、僕は高校時代に甲子園に何度か、野球部ではないんですけど、応援する側で行ったことがあったので、けっこう懐かしい感じもしました。僕の実家のほうでは僕の出演するアニメがなかなか放送されないのですが、この作品はまちがいなく放送されるので、そこはちょっとうれしいなって思いながら、爽やかに演じていこうと思っています」

仲谷「私もオーディションで文乃役に決まったのですが、最初は受からないと思っていました。というのも、オーディションのとき、雑誌とかで見たことのあるような声優さんがいらっしゃったので、『あ、私受からないんだ』って思って(笑)。実はオーディオブックとして、『もしドラ』を読ませていただいているのですが、それを録ったとき、『一番文乃役が合っている』といわれまして、実際やりやすかったので、文乃の役に決まって良かったと思っています。とにかくこういったレギュラーのアニメは初挑戦なので、声優として、現場ではいつも皆さんの技術を学ぼうと思っています」

細谷「僕もいくつかオーディションを受けて、星出に決まりました。僕けっこうHow to本が好きで、ビジネス書などもよく読むのですが、出演が決まったときは、どのように、ドラッカーの『マネジメント』の目から鱗的なすごさをアニメとして伝えていくのかというところに、単純に興味があり、今後どのように展開していくのか、どのように『マネジメント』を視聴者にわかりやすく伝えていくのかといったところを、興味深く、楽しみながら演じさせていただいています。星出君については、原作全体を読み終わったとき、正直な話、『だれっ?』て思ったんですよ。本当に印象がなかったので、原作を読み直したのですが、読んでみるとすごく人間っぽい役なので、板挟みを楽しみながらやっていこうと思っています」

中西「僕は家でぼーっとしていたら、突然電話がかかってきまして、オーディションを受けてもいないのに『桜井祐之助役で決まりました』っていきなり言われて何のことかと思いました(笑)。原作自体はブームに乗ってかなり最初のころに読んでいたので、単純にうれしかったです。数あるキャラクターの中から、僕が桜井祐之助君役というのは、『ああ、チャンスに弱いからこの役が回ってきたのか』と思いまして(笑)、間違いなくお茶の間には、祐之助君のチャンスの弱さは伝えられると思いますので、よろしくお願いします」

赤澤「僕も同じようにオーディションを受けていないのですが、この作品に関われてうれしいです。ただ最初は、関わるということしか聞いておらず、どの役になるんだろうと思いながら原作を読んでいたのですが、高校生ばっかりで、俺の役ないなあって(笑)。商店街の花屋のおじさんとか、そういう人の役で応援でもするのかと思っていたら、まさかの名前のついた役をいただきまして、今ここにいるということが本当に信じられず、感無量です。本当に監督ありがとうございました」

内匠「この豪華キャストの中に、そしてこれだけ話題がある作品に選んでいただいて、本当に光栄です。誠心誠意がんばりますので、よろしくお願いします」

――それでは最後に作品を楽しみにしている視聴者の方へのメッセージをお願いします

浜名監督「今、本当に作っている最中で、昨日は音楽の収録があったのですが、ものすごくいい感じでできています。音楽は僕の好きな佐藤準さんという方に今回お願いしてやっていただくことになったのですが、そちらはもちろん、絵のほうもものすごくいいスタッフが揃っていますので、ぜひ楽しみに、期待して観てください。よろしくお願いします」

日笠「みなみはとても演じやすくて、あまりキャラクターを作るといったこともなく、アニメなんですけど、本当にみなみとして、人間として喋っているという感覚があります。それをアニメファンの皆様だけではなく、普段アニメを観ない方々にも観ていただいて、アニメも面白いんだなって思っていただき、もっともっと『もしドラ』の存在が、広く広く伝わったらいいなと思っております。皆様ぜひアニメを観てください。よろしくお願いします」

花澤「私自身、原作本を読ませていただいて、真摯さって大事だなって、普通に思ってしまいました。そういった部分など学ぶことも多く、放送時間帯も夜10時55分からということで、いろいろな人に向けているんだなって思ったので、ぜひ普段アニメを観ない方にも観ていただきたいと思います」

柿原「『もしどら』のアニメは作業自体もまだ始まったばかりですが、僕たちはもちろん、たくさんの人間が力を合わせて作品を作っています。いろいろな人のアイデアが積み重なって、アニメならではのシナリオや展開があったり、アニメならではの表現があったりと、本当にいろいろなことを考えながら作っています。一ファンとして、そして一役者として、僕は浅野君に出会えたことがすごくうれしく思っていますし、浅野君を全10本の中で、どれだけ高校球児として、その『マネジメント』のうえでの目標や真摯さといったものが伝えられるか、そういったことを目標にして、全10本を駆け抜けていきたいと思います。たくさんの方に観ていただきたいですし、原作ファンの皆さんの期待を裏切るようなことは絶対にしたくないと思っていますので、最後までお楽しみください」

津田「この原作本自体が、ドラッカーの『マネジメント』という本を、より身近に、そして気軽に理解できるように、ドラマの中に組み込んでいくという手法をとっていて、この僕でも趣旨をすごく理解できたので、アニメになったものも、まずは気軽に観ていただいて、たくさんの方に感じていただけたらなと思っています。専門家としての役割を頑張ってはたしたいと思っています」

陶山「原作もとっつきやすく、普段本を読まない僕ですら2日で読んでしまったのですが、さらにアニメになればもっと入りやすいと思いますので、大人から子どもまで幅広い方に観てもらいたいですね。原作に描かれていないアニメならではの部分もあり、僕自身、毎回台本をもらうのが楽しみになるぐらい、いろいろなシーンが盛り込まれていますので、僕たちも楽しいですし、原作を読んだ方も絶対に楽しめると思います」

浅沼「原作本は、本を読むのがすごく遅い僕ですらすぐに読めてしまったぐらい、すごく難しそうなタイトルのわりに、すっと入ってくる本でした。だからこれだけ売れているのだと思うのですが、アニメになれば、またさらに違った視点から、ちがったお客さんを引き込むことができるのではないかと期待しております。アニメから入って原作に戻るもよし、原作を読まれてからアニメを観るもよし、もしかしたらこの先にある実写映画に行くのもよし。すごくいろいろな展開がありますので、それを全部楽しんでいただけたらいいなと思いますし、その足がかりになれたらいいなと思っています。高校野球部よろしくチームワークと感動で戦っていきたいと思いますので、よろしくお願いします」

仲谷「文乃ちゃんは静かなんですけど、原作にもあったのですが、一瞬感情をあらわにするシーンがありまして、そこをすごくいっぱい録りました。いっぱい録って、いっぱいうまく聴こえるように頑張ったので、そこを注目していただきたいですね。普段はAKB48として、劇場で公演を行っていて、そこでは踊ったり歌ったりMCをしたりと、顔を見せてのお仕事をしているのですが、声だけのお仕事をレギュラーとしていただくのは今回が初めてなので、AKB48の仲谷明香としてではなく、声優の仲谷明香として、皆さんにこれから知っていただけたらいいなと思っています。頑張りますので、よろしくお願いします」

細谷「マネージャーに必要な資質というのは、技術的なことでも、管理することでもなく、技術云々より、元から備わっている真摯さという資質が、一番必要なことであるという一文を読んで、みなみちゃんは涙を流すのですが、それは何でも一緒だと僕は思います。やる前に考えちゃってやめてしまうことって、自分も身に覚えがあるのですが、みなみちゃんは考えるよりも先に行動します。私もやってみよう、僕もやってみようって思える、その背中を押すような作品に影響を及ぼせればというのが、作品に関わるものとしての希望ですし、役者個人としては、僕は原作を全部読んだときに『星出君って誰?』ってなってしまったのですが、アニメでは『ああ、星出君ね』って言われるよう、ちゃんと個性が出せるように頑張っていきたいと思います」

中西「チャンスに弱い中西です(笑)。浅沼さんもおっしゃっていたのですが、地方では本当にアニメが入らないので、この作品は本当にいい作品だと思います。地方に届けといわんばかりに頑張りたいと思います。田舎のお婆ちゃんに届くように頑張ります。よろしくお願いします」

赤澤「朽木君という役をいただいたのですが、原作を読まれた方が僕の声を聴いてどのように思われるのかがちょっと不安で、一人だけ違うんじゃないかみたいなことを言われないように頑張ってやっていきたいと思います。本当にうちの家族も楽しみにしているので、よろしくお願いします」

内匠「『もしドラ』ファンの皆さん、そして『もしドラ』を買ってくださった顧客の皆さんにですね、感動を与えられるように役者一同頑張っておりますので、どうぞご期待ください」

――ありがとうございました



TVアニメ『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』は、NHK総合にて、平成23年3月14日(月)~19日(金)、そして21日(月)~25日(金)の夜10時55分より、全10話の予定で放送される。なお、オープニングテーマアーティストはazusa、エンディングテーマアーティストはmomoに決定しているので、こちらも期待しておきたい。

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