夏コミはいろんな意味で、熱い

いよいよ8月13日(金)~15日(日)の3日間、お台場・東京ビッグサイトにて「コミックマーケット78」(通称コミケ)が開催される。

だいたいコミケって何? という読者が本稿を読むとは想像しにくいのだが、かいつまんで説明すると、コミックマーケットとは東京ビッグサイトで夏・冬それぞれ3日間ずつ開催される同人誌即売会である(夏は『夏コミ』、冬は『冬コミ』と呼ばれる)。1975年より開催され、順調に規模を拡大してきた。2007年に開催された「コミックマーケット72」の入場者数はのべ55万人に上る(※コミックマーケット準備委員会公式サイト参照)。

言い方に語弊があるかもしれないが"名物"として、新聞やテレビでたびたび取り上げられるのが、入場待ちの行列風景。例年、午前10時の開場前から同人誌を買い求める来場者が殺到する。数万人規模の一般参加者が東京ビッグサイト周辺を取り囲むように行列をなす様子は報道を通して見た人も多いことだろう。

夏コミは毎年、お盆時期に開催されるため、列に並んでいる途中、熱中症で倒れる人も少なくない。行列の途中に仮設の救護室が設置されており、そこに運ばれていく人の姿もよく見かける。気象庁天気相談所によると、「コミックマーケット78」開催期間中における東京の最高気温 / 天気(12日現在)は、13日が33度 / 晴れ夕方から曇り、14日が33度 / 曇り時々晴れ、15日が34度 / 晴れ時々曇りで「平年より高い」とのこと。入場待ちの行列だけではなく、入場後も壁サークルと呼ばれる人気の高いサークルの同人誌を購入したり、企業ブースで物販を購入したりする際にも炎天下の行列待ちは避けられない。

毎年、私もその行列に参加しているが平均して1時間~2時間弱は並んでいる。精神は既に腐っているとはいえ、今夏の猛暑を乗り切れるか今から心配である。そんな私が自己防衛のためにも、コミケでの熱中症予防対策について触れてみたい。

ペットボトルは最低2本は持っていきたいところ

炎天下で数時間の行列待ちは過酷を極める。だが、熱中症対策として荷物がかさばってしまうと同人誌購入という本来の目的を達成できなくなる。そのため今回の執筆にあたり、荷物は最小限にとどめることを基本に熱中症対策を考えてみた。

私のコミケ当日の持ち物を再現してみた。ペットボトルは、1本は持参、1本はコンビニ調達の予定。当日は凍らせて持っていく

熱中症対策として、絶対にかかせないのが飲料水。『4日から再びあの"猛暑"がやってくる!? 今こそ確認したい熱中症予防法とは』でも紹介したが、厚生労働省の「熱中症環境保健マニュアル」では、のどが渇いたと感じる前に水分を補給したほうがよいそうだ。私の場合は毎年、水分補給として350mlのペットボトルを最低2本は持っていくようにしている。1本は凍らせて、もう1本はりんかい線の国際展示場駅近くのコンビニエンスストアで調達する。というのも、行列待ちをしているうちに、ペットボトル内の水がお湯(のように)になってしまったことがあったからだ(体験談)。

最初にコンビニで買った水を飲み、溶けた頃に2本目で水分補給をしている。あまり凍らせてしまうと、飲みたいのになかなか溶けないということもあるが、大手サークルや企業ブースでの行列待ちも予定しているなら、タイムラグを考慮して完全に凍らせていった方がよいだろう。水筒も保冷力に優れているが、ペットボトルなら会場入り後に容器を捨てられるので、同人誌を買い漁った後でカバンの中で邪魔になることがない。

日傘はNG、帽子などで対策を

続いて、服装。黒系の服装をすると熱がこもるので(理科の実験を思い出すほど……)、白系の涼しげな服装で統一した方がいい。熱気で息苦しく感じることもあると思うので、首回りなどゆったりしたものを選ぶといいだろう。日傘が例年以上に売れているという報道を聞くが、コミケの行列待ちでの日傘は避けた方がいい。なぜなら、行列に並ぶ他の来場者にご迷惑がかかるからだ。ということで、必須なのが帽子。私は白いUVカットも兼ねたつば広帽子を愛用している。また、タオルを1枚持っていくだけでかなりの汎用性があるのでお勧めだ。日焼け防止を兼ねて首に巻いたり、汗を拭くために使用したり。男性ならタオルを頭に巻いて、帽子の代用にすることもできる。

服装はこんな感じで臨みます(左)。タオルはいろいろ使えて便利。日差しも強いため日焼け止めも準備。ハンカチなどにスプレーするとミストが氷状に変化する『どこでもアイスノンEX』は、行列待ちの仲間でシェアしても喜ばれるかも

コミケでは行列待ちをしている際、おでこに冷却シートを貼っている男性をよく見かけた年があった。腐っても女子なのでその境地にまで至れなかったのだが、「これはいい!!」と思ったのが冷却スプレーの類。今回私が選んだ『どこでもアイスノンEX』は、ハンカチなどにスプレーするとミストが氷状に変化し、肌にあてるだけで瞬間冷却。タオルにスプレーして首に巻いても気持ちいい。

命あってのコミケだから……

コミックマーケット78のカタログ。このまま持っていくと猛暑の行列待ちでは過酷なので行きたいサークルだけメモ

病気や体調の悪さが原因で、熱中症にかかる可能性もある。そのため今年は特に、前日からの準備を怠らないようにしたい。忙しさのあまり、コミケのカタログを列待ち途中で読むツワモノがいる(私もよくやる……)が、できるだけ荷物を軽くして臨みたい。事前にサークルチェックをして持ち物は最小限にとどめよう。サークルチェックのための夜更かしはもってのほか。しっかり睡眠をとって、明日に備えて。

当日やっぱり具合が悪い……そういう場合は、「コミケはまたやってくる」と思って諦めるのも肝心。それでも行きたい……気持ちは分かる。だいたい12時を過ぎると入場の制限が解除されるため、その頃に行けばさほど並ばずに入れるはずだ。16時まで開場しているが、お目当ての同人誌は売り切れているかもしれない。また時間を少々ずらしても、ビックサイト内は人の熱気が充満しているので、無理のない計画をお勧めする。

それでも……それでも倒れてしまったら……その際は迷わず近くにいるスタッフに声をかけ、仮設の救護室に連れて行ってもらおう。ここまで並んだのに……!!! 気持ちは痛いほど分かるが、コミケより命が大事だと肝に銘じよう。

年に1度しかない夏コミだからこそ、心ゆくまで楽しみたいもの。最後に、コミケでの熱中症対策のポイントをまとめておく。同士諸君、健闘を祈る。

夏コミでの熱中症対策 私の五箇条

  • 水は最低2本、タイムラグを考慮して(喉が渇いたら水分補給、保冷対策をしっかりと)
  • 荷物は最低限の必需品のみに(カタログは重過ぎるので要注意)
  • 恥はかきすて。でもマナー遵守!!(格好は気にしない。日傘はささない)
  • コミケより命が大事(体調管理はしっかりと。無理のない計画で臨もう)
  • 衛生兵を呼べ!!(行列待ち途中で具合が悪くなったら、救護室にいくべし)