フィアット グループ オートモービルズ ジャパンは、コンパクトスポーツモデル「アルファロメオ ミト 1.4 ターボ スポーツ」と高級オープンスポーツカー「アルファロメオ 8C スパイダー」を国内に導入する。ミトは5月16日より発売され、価格は285万円。8Cスパイダーは既に申し込み受け付けを開始しており2010年4月デリバリーの予定。価格は2650万円。

ミト 1.4 ターボ スポーツ

8C スパイダー

同社は、六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューにて開催されているクラシックカーコンテスト「東京コンクール・デレガンス2009」会場内で発表会を開催。ポンタス・ヘグスロム社長が挨拶を行った。まず、「コンテスト参加車のクラシックカーと調和した2車種を発表できることを喜ばしく思う。2車種を同時に発表することは珍しく、この世界的な不況の中でもアルファロメオの売り上げは堅調で、日本でも3月の売り上げは最高の売り上げを記録、ここ2年間でも最も販売台数が多かった」と、好調なセールスをアピールした。

ポンタスヘグスロム社長

そういった状況の中、他ブランドがサイズアップを図る中、8Cから多くのモチーフを受け継いだコンパクトモデルのミトを投入する。日本では、ATよりMTが好まれるためまずMTを投入、現在開発中のATモデルも日本で最初に投入するという。また、同時に発表された8C スパイダーについては、「希少性の高い車種で、オープントップとすることでオリジナルモデルとなるコンペティツィオーネよりも主張の強い車種となっている」と語った。なお、会場に展示された8C スパイダーは、発表会のためにジュネーブモーターショー2009から直接持ち込まれたものだという。

1.4Lのコンパクトなミト 1.4 ターボ スポーツ

アルファロメオシリーズで最もコンパクトなスポーツモデル。1368cc 直4DOHC16バルブエンジンに6速マニュアルトランスミッションを組み合わせた。最高出力は155ps(114kW)、最大トルクは20.5kgm(201Nm)を発生。タービンインペラーの慣性質量が小さなターボチャージャーとしたことにより、ターボラグを抑えたという。

ミト(MiTo)という名前は、アルファロメオブランドのルーツである「ミラノ」にあるデザインセンターでデザインされ、「トリノ」で生産されることから、これらのふたつの年の頭文字を併せてミトとされたという。また、ミトにはイタリア語で伝説や神話を意味するという。

デザインは8C コンペティツィオーネにインスパイアされているとしている。外観上はフロントバンパーの3つのふくらみ、クロームリングで縁取りされたヘッドライト、LEDテールランプの形状が特徴となっている。また、コンパクトモデルとして初めて「アルファロメオD.N.A.システム」が搭載される。センターコンソールのシフトノブ前にあるスライド式スイッチでノーマル「N」、ダイナミック「D」と、滑りやすい路面用のオールウェザーモード「A」に切り替えられる。ダイナミック「D」モードでは、ターボ過給圧を上げ、最大トルクをノーマルモード時に比べて3kgm(29Nm)アップの23.5kgm(230Nm)に増大し、電動パワーステアリングのアシスト量が減り、よりダイレクトなステアフィーリングでドライビングが可能になるという。また、アルファロメオ D.N.A.システムではVDC(ビークル ダイナミック コントロール)も変化する。VDCはドライバーの操作を妨げたり、むやみに介入することなく、危険な状況になった時だけ自動制御を行うという。なお、アルファロメオD.N.A.システムはオフにはできない。

独特なフロントデザイン

日本では見なくなってきた3ドアハッチバックデザイン

LEDブレーキランプのデザインは8C コンペティツィオーネから継承されている

ブレーキはブレンボ製で、フロントはアルミモノブロック4ポット対抗キャリパーを備える

インストルメントパネル。シフトレバー右前にアルファロメオD.N.A.システムのスイッチが見える

ドア側から。ハンドルは3スポークで、ダッシュボードはカーボン風

インテリアでは、オーディオコントローラも備えた3本スポークのレザーステアリング、8Cコンペティツィオーネのシートをモチーフにした立体クロスが使用され、肩部分にはアルファロメオの刺繍が施される。安全装備は、マルチステージ型フロント デュアル エアバッグなど7つのエアバッグを標準装備するほか、前席にはダブル プリテンショナー付き3点ベルト、ロードリミッター、アクティブヘッドレストなどを備え、Euro NCAP衝突安全(乗員保護)テストで、最高ランクであるファイブスターを獲得した。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームと典型的なレイアウトだが、リアのトーションビームはC型断面構造を採用したことで、高い捻り剛性を持ち、スタビライザーの機能も果たしているという。また、前後輪の全てにリバウンドスプリング内蔵ダンパーを採用することで、固いスプリングを使用せずにロールを抑制している。ブレーキはフロントに305mmの大径ベンチレーテッドディスクと、ブレンボ製アルミモノブロック対向4ポッド式キャリパーを装着している。

ラゲッジスペースはそれほど広くはなさそうだ

搭載されるエンジンは1.4Lターボで155PSを発揮する

オープントップの8C スパイダー

2月にデリバリーが開始されたクーペモデル「アルファロメオ8Cコンペティツィオーネ」のオープントップモデル。左ハンドルのみが用意される。ルーフは二重構造の電動ソフトトップで、外側は多層織りで耐久性を高め、内側は静粛性を高めた素材を採用した。ソフトトップは約20秒で開閉が可能。8C コンペティツィオーネと同じく世界500台の限定生産で、国内分の割り当ては70台。多くは既に注文済みだが、まだ若干数残っているとのこと。ボディはスチール製フレームに、カーボン製ボディパネルを採用して軽量化、車体重心を最適化しているという。ボディカラーは標準のアルファレッドのほか、オプションで2レイヤーマイカフィニッシュカラーのコンペティツィオーネレッド、シェルホワイト、マグネシウムグレー、ライトブルーの5色と、自由に色を変更できるカスタムカラーも用意される。

アルファであることを主張するグリルデザイン

前後のオーバーハングは短い

テールはすっきりした印象で、マフラーは4本出し

エンジンは、コンペティツィオーネと同じ4691cc 90度V型8気筒エンジンをフロントミッドシップで搭載、パドルシフトを備えたATモード付き6速シーケンシャルトランスミッション「Q-セレクト」が組み合わせられる。最高出力は450ps(331kW)、最大トルク48.9kgm(480Nm)を発生する。駆動方式はFRで、ギヤボックスやデフを後方にレイアウトし、前後重量配分を均等化したトランスアクスル方式を採用する。ブレーキには、ブレンボ製カーボンセラミックを標準装備した。フロントには380mm、リアには360mmのブレーキディスクを装着し、フロントには6ポッドのアルミモノブロックキャリパーが装着される。キャリパーの色は標準のブラックのほか、オプションのアルミ調レッド、レッド、イエロー、アルミの5色が選択できる。

インテリアには、ダッシュボードやパネルなどにカーボンコンポジット素材を採用し、調整機構などを備えたカーボンファイバー製シェル構造のパケットシートが装着される。シート表皮は専用開発のフラウ社製レザーで、レッド、チタン、テッラディシェーナ、ブラックの4種類が設定される。ホイールにはコンペティツィオーネスタイリング20インチアロイホイールが標準設定されるほか、2タイプがオプションで用意され、ダークシャイニングシルバーのスペシャルカラーも選択できる。

ブレンボ製のカーボンセラミックディスクと、フロントには6ポッドキャリパーが装着される

センターコンソールはシフトレバーが省かれ、パドルシフトのみ

ボンネットフード下にはV8エンジンがフロントミッドシップにマウントされる