カワサキの「ニンジャ250R (Ninja 250R)」は話題のバイク。コンパクトな250cc、それも久しぶりにスポーツ性を重視したモデルということもあり、当スタッフの女性は昨年のモーターショーで目にしていて以来、「乗りたい! 乗りたい!」を連発していた。そのニンジャ250Rを借りることができたので、インプレッションをお届けしたいと思う。

スタッフ3人による同時並行インプレッション

ニンジャ250Rは本格的なスポーツモデルだが、同時に比較的若いライダーをターゲットにしたモデルだという。そういうことであればインプレッションも一様なものでなく、若いライダーの意見も必要だろう。そこで今回は、3人のテスターによる同時並行インプレッションを行なうことにした。試験問題風の質問を20問用意し、それぞれが答えるというスタイルを取っている。乗り手によって意見が食い違うこともあるが、そのまま掲載しようと思う。さて、どうなるだろうか。テスターは以下の3人である。

【テスターA】 20代女性。身長153cm。バイク歴3年。ツーリングは大好きだが、スポーツ的な走行はほとんどしたことがない。合宿で大型二輪免許を取得。

【テスターB】 30代男性。身長175cm。リターンライダー。一度免許を失効し、大型に乗るため教習所で免許を再取得してからバイク歴5年。メインは4輪で、バイクはたまに乗るぐらい。

【テスターC】 40代男性。身長178cm。バイク歴20年以上。いちおうバイク雑誌の編集もやっていた。その昔、限定解除で大型二輪免許を取得 (……遠い目)。

Q.1 初めてニンジャ250Rを目にしたときの印象を述べよ

【A】カッコイイ。これが噂のニンジャだぁぁぁ! 「Ninja」と名のつくモデルではGPZ900R、ZX-9R、ZX-10Rに跨ったことはあるけど、どれもぜんぜん足が着かなかった。ZZ-R400ではギリギリつま先の頂点。でもコイツなら私にも乗れるかもしれない(笑)。もちろん不安はあったけど、足つき性は良さそうに見える。

【B】「Ninja」というとGPZ系のイメージが強いが、ニンジャ250Rはカウルの形状などZX-10RやZX-6R風のスーパースポーツ風の印象。もっとも、スーパースポーツにしてはやや細身のボディのため、80年代のレーサーレプリカに対する50ccのフルサイズレプリカのような印象を受けた。

【C】素直にカッコイイ。ビッグ・カワサキのイメージをうまくこのクラスに表現した。逆にデザインだけ大型クラスを真似したのなら寂しいとも思った。しかし後に、いい意味で裏切られることになる。

Q.2 跨がってみて、足付きやポジションはどうだったか?

【A】両足が着く!! (つま先だけど……)。思った以上に低い、そして軽い。タンクがものすごく足にフィットしてニーグリップしやすかった。

【B】ボディは軽く、足つきも素晴らしくいい。また、パラレルツインのためボディが細く、ハンドル位置が高いため、妙な気負いを感じるようなこともない。ライダーに優しい印象だ。

【C】ポジションはもちろん前斜だが、外観イメージよりもキツくない。しかし足の収まりなど少々窮屈。ステップはもっと後ろが好み。アイドリングで細かく左右に車体が振れ、パラレルツインであることを再確認した。個人的にはシートの後ろ側に乗りたいが、前下がりのシートのため、走っていると前にずり下がってくる。

Q.3 エンジンは扱いやすかったか?

【A】シュルシュルシュル~と機械っぽい。これが水冷の特長なのか?(水冷エンジンは初経験)。ただ、ホーネットのような無機質の機械っぽさはなくて、嫌いな部類ではない。私はホーネットの「マシーン」って感じの音は苦手。朝一のエンジンの掛かりも一発だった。私のジェベルは最初の10分はかなり不安定なアイドリングだが、これは初めから順調なのに驚いた。冬場でもチョークを引かなくて済みそう。(※注:ニンジャ250Rにチョークはありません)

【B】出足はややトルク感に欠ける。ただしインジェクション車のせいか、アクセル全閉からアクセルを開け始めたときにもたつきがあり、2速や3速でのシフトチェンジ時にも丁寧なアクセルワークをこころがけないとギクシャクしやすい。

【C】エンジンはとてもフレキブル。3,000rpmでも普通に走ってしまう。しかし5,000rpmあたりにトルクの谷でもあるのか、回転の上がりが緩慢に感じる。しかし、7,000rpm以上では力強く、気持ちいい。この回転域をキープして走れば相当に速い。難点は、デッドからのアクセルのツキがいまひとつなところか。

Q.4 ブレーキやシフトチェンジはどうだったか?

【A】クラッチは思った以上に軽かった。エンジンブレーキも「ガクン」と落ちるのではなく、滑らかにスピードが制御される感じでいい。

【B】ブレーキングやシフトチェンジにはまったく不安感はない。しかし、街中の走行で3速からの中間加速などはアクセルを開けても加速がついてこない。加速時にはシフトダウンしなければいけないという250ccクラスの乗り方を思い出した。

【C】ブレーキは少々がさつな印象。良く効くのだが、デリケートな操作はいまひとつ。クラッチレバーはネジ式で調整できるが、ブレーキ側には調整機構がないのが残念。

Q.5 メーターやバックミラーは見やすいか?

【A】ハンドルを切ってもメーターやミラーの位置が変わらなくて気持ち悪い(フルカウル車初体験です)。慣れるまで不安だった。鏡の位置がぜんぜん合わなかった。直す→ポジションを取る→違う→直す→ポジション→違う……の繰り返し。自分の真後ろが見にくかった。ハンドルがとても軽く切れる。スイッチ類もとても軽く、「ガチッ」っていう感じがしない。新しいバイクだなあと思った。今まで乗ったのが設計の古いバイクばかりのせいかもしれないが、このバイクにはハイテクって言葉が似合う(笑)。でもウインカースイッチの位置が遠い。親指が届きにくいので右折方向が出しづらかった。

【B】メーターは自照式ではないため、若干見づらい。また、スピードメーターの文字が太く若干ごちゃついた印象があるが、すぐに慣れた。コストダウンの対象で省かれたしまったのだろうが、ガソリン残量計は欲しかったところ。また、ニュートラルランプとウインカーインジケーターが共ににグリーンのランプなので最初は戸惑った。ウインカーインジケーターはひとつしかないが、実際のフロントウインカーが直視できるので、どちらのウインカーがついているかわからないことはない。ただ、現代のバイクでハザードがないのはちょっと残念。

【C】バックミラーが尖がりすぎている(笑)。ミラーのサイズはそこそこあるが、かなり前方に位置するため、腕がけっこう写り込む。ハンドルミラーに交換したほうがいいかもしれない(それ用の穴を装備している)。走行中、ブレてみづらいようなことはなかった。タコメーターが小さくて脇に追いやられているため、見やすさはいまひとつ。スピードメーターも目盛線が多すぎ、瞬間的な読み取りは苦手。200km/hまで刻む必要はないだろう。

2気筒だが、2イン1のためマフラーは右に1本出しとなる。シートカウルは非常に薄い

フルカウルだが、V型の切り欠きやタンク下を黒くすることなどで、視覚的に重く見えない工夫がされている

2灯式ヘッドライトだが、ロービーム時は左側(向かって右側)のみ点灯する

ボディに対し、リヤタイヤはとても細い(130/70-17)。銘柄はIRCタイヤの「RC-01」が使われていた

ライディングポジションを見る。ライダーの身長は178cm。ステップにつま先を乗せているが、土踏まずを乗せるとヒザがタンクのエラに引っかかる

ライディングポジションその2。身長は153cm。シートの前端に座っているが、ハンドルはかなり遠そう

足付きを見る。両足べったり、左右に足を開いてまだ余る

両足が着いた。シート幅は広めだが、やはり低いシート高775mmが効いている