クラウドソーシングサービスに登録してもすぐに仕事をして報酬を稼げるわけではありません(※)。仕事をするためには、仕事の依頼者である企業や個人(以下、クライアント)から仕事を受注しなくてはなりません。通常のアルバイトやパート、正社員として働くために履歴書の提出や面接を経て採用されるのと同じで、クラウドソーシングも選考を経て仕事を行うことができるようになります。今回のコラムではクライアントから"選ばれるワーカー"になるための3つのポイントをお教えします。
(※)タスク形式のお仕事の場合、選考なしで仕事を行うことができます。
ポイント(1)--まずは登録情報をしっかり記入する
クラウドソーシングで仕事を受注するためにまず行うのが見積りの提出です。見積りの提出を簡単に説明しますと、クライアントがクラウドソーシングサービス上に登録し公開した仕事の依頼に対して「私は◯円でできます」と提案することです。
クライアントは、多くのワーカーから寄せられる見積りを見て発注するワーカーを決定しますが、金額を中心とした見積りの内容もさることながら、どのようなワーカーから提出された見積りなのかを重視します。そのため、クラウドソーシングサービス登録時に入力する自らの情報はなるべく細かく記入し、自らの経歴やスキルがわかりやすいようにすることが重要です。特に取得した資格や、過去にどのような業種でどのような業務を行ってきたかは、ワーカーのスキルを知る上で重要な情報になりますので、必ず記入しましょう。例えばシュフティでは、"ワーカーを探す"から評価が高いワーカーを探してプロフィールを見ることができます。実際に高い評価を得ているワーカーのプロフィールを参考にすると、よりクライアントにウケの良いプロフィールが書けるでしょう。
私はこれまでに30を超えるクライアントにインタビューを行ってきましたが、ワーカーを選ぶ際の最も重要なポイントとして見積りの安さをあげたクライアントは1人もいませんでした。もちろん見積りの金額が予算内であるかどうかは重要なポイントの一つではありますが、それ以上にどんなワーカーなのか、そのワーカーは信頼できるのかを重視しているようです。
ポイント(2)--意外と見られているビジネスマナー
次に重要となるポイントがビジネスマナーです。例えば同じような経歴とスキルを持つワーカーが同じ金額で見積りを提出したとしても、見積り時に「見積りを提出します。ご確認ください。」とメッセージを添えたワーカーと、「初めまして。ワーカーの◯◯と申します。ご登録の案件を拝見し、ぜひ受注させていただきたいと思い見積りを提出いたしました。ご確認いただけますと幸いです。」というメッセージを添えたワーカーでは与える印象に雲泥の差が生まれます。しっかりとした言葉遣いや文章にすることによって、相手に信頼感のある印象を与えることができます。
クラウドソーシングにおける最も重要なビジネスマナーは、先にも記載した言葉遣いです。クラウドソーシングの場合、仕事でのやり取りの大半が文章で行われます。そのため文章の書き方が最も相手に印象をあたえるポイントとなります。下記にいくつかポイントを列挙しましたので、参考にしてみてください。
- 口語体や顔文字などを使わない
「~だと思ったよ」などの口語体の文章や、(笑)や(^^)などの顔文字はふざけた印象を与えることがありますので避けましょう。
- 上から目線の物言いにならないようにする
クライアントに指示を依頼するときなどに「~してください」と書いてしまうと上から目線の印象を与えてしまうことがあります。そのため「お手数ですが」などの一言を添えて、そのような印象を与えないように注意しましょう。
- 改行や空行を使って文章を見やすくする
長文でダラダラと書いてある文章は見難くいものです。トピックごとに段落分けをし、段落ごとを空行で見やすくするなどの工夫をして、文章が読みやすくなるようにしましょう。
- 要約や要点を文章の冒頭に記載する
ビジネスでのやり取りの場合、スピーディに判断を行うために、どのような内容の連絡なのかが即時に分かることが重要です。そのため文章の冒頭で「作業期間延長についてのお願いでご連絡しました」など、どのような内容の連絡かがわかるようにしましょう。
ポイント(3)--とにかく実績を!
最後のポイントは実績です。クラウドソーシングサービスは、サービス内で実績が公開されるため、やはり実績がないワーカーよりも実績があるワーカーのほうが仕事を受注しやすくなります。そのため、とにかく1件受注し実績を作ることが重要になります。
初めての仕事は、自らのやりたい仕事であったり報酬の高い仕事よりも、まずは受注しやすい仕事を選ぶことが重要です。具体的には、見積り数の少ない仕事や、多くの人数に発注を予定している仕事を選んで見積りを提出しましょう。そのような仕事を選んで見積り提出すれば、高確率で受注が可能です。
まずは実績を作りサービス内の評価を高めましょう。それによって後々自らのやりたい仕事を、自らの希望する金額で受注できる環境が整っていきます。
<著者プロフィール>
田中偉嗣(たなか たけつぐ)
株式会社うるる シュフティ事業部 部長。2006年早稲田大学卒業。新卒でベンチャー支援事業を行う企業でファイナンシャルアドバイザー、営業部長などを行う。その後、2009年に新卒で入社した企業より事業譲渡を受け独立。パートナーズ株式会社 代表取締役に就任。2010年株式会社うるる入社。2011年にシュフティ事業部長に就任し、その後主婦向けクラウドソーシング「シュフティ」事業部を牽引。毎月一回在宅ワーカーにインタビューを行うなど、在宅ワーカーの動向に詳しい。