きょう8日、春ドラマ『人事の人見』(フジテレビ系、毎週火曜21:00~)の第1話が放送される。同作は、古い体育会系気質の残る大手文房具メーカー「日の出鉛筆」を舞台に、人事部の人見廉が社員のさまざまな問題と向き合っていくオフィスエンタテイメント。放送前の段階で最大のトピックスは「Travis Japan・松田元太の主演抜てき」だった。
松田は、地上波ドラマ単独初主演、ゴールデンタイム初主演、フジテレビ系連ドラ初主演。ゴールデンプライム帯ドラマのレギュラー出演がまだ2作のみしかないことを踏まえると、思い切った起用であることは一目瞭然だ。
なぜ松田はこれほどの抜てきを受けたのか。そして苦境が続くフジテレビにとってどんな意味合いがあるのか。ひいては、おバカキャラの現在地点なども含めて、テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
松田元太の好感度を測るドラマに
まず、松田が演じる人見廉のキャラクター紹介文をあげておこう。
「海外からヘッドハンティングされたといううわさで、鳴り物入りでやってきたが、実際には人事に関する知識は皆無に等しい“おバカでピュア過ぎる男”」
「ビジネスマナーや事務能力がないだけでなく、社会常識に欠ける、忘れ物をするなど、全てにおいて抜けすぎている」
「しかし、素直すぎるほど素直で、とんでもなく情に厚く、なにより人が好き。常識にとらわれないため、突拍子もない解決策を提案するので、社内で波風を立て、人事部の面々からあきれられる」
「なぜか結果的に問題を解決したり、相談者の悩みを解きほぐしたりする」
読めば読むほど「松田そのもの」と感じるのではないか。まさに松田に向けた“当て書き”の脚本であり、その魅力をダイレクトに生かそうというプロデュース方針が見える。つまり、「現在の松田はそのままドラマにしたくなるほどいいキャラクター」と評価されていることにほかならない。
前述したように松田の演技経験はまだ少ないため、ファン層以外は「演じているところを見たことがない」という人が多い。「ほぼバラエティの印象しかない」=おバカキャラということになる。実際、「九九が言えない」のやり取りに始まり、『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』でのターゲット、『ぽかぽか』での天真らん漫なリアクションなど、明るくピュアなおバカキャラはこの1年あまりで急速に浸透した。
その本人が「人見廉は松田元太だな」と語っているほか、脚本家・冨坂友が彼に直接ヒアリングしてキャラクター造形しただけに、多くの視聴者はオーバーラップして見ることになるだろう。これは裏を返せば「『人事の人見』は松田元太の好感度を測るドラマになる」ということであり、実は本人にとって「ハイリスク、ハイリターン」な作品なのかもしれない。