24日夜、新番組『タミ様のお告げ』(TBS系、毎週月曜21:00~)がスタートした。本来、新番組であれば月をまたいで4月にスタートするものだが、前倒しされたところにこの番組の置かれた難しさがうかがえる。

冒頭でMCのヒロミが「新番組ですか?」、東野幸治が「“心機一転”というか新しい感じで楽しくやりたいですよね」と語っていたが、これは2人の偽らざる本音だろう。昨秋にスタートしたばかりの『THE MC3』が中居正広氏の女性トラブルと芸能界引退の影響を受けて事実上の打ち切り。TBSはヒロミと東野に新たなMCを加えた“トリプルMC”ではなく、“ダブルMC”としてリニューアルする形を選んだことになる。

果たして新番組はどんな内容で、どんな変化が見られるのか。ひいては、現在60歳のヒロミや57歳の東野らベテランMCの現在地点についても、テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 『タミ様のお告げ』MCの東野幸治(左)とヒロミ

    『タミ様のお告げ』MCの東野幸治(左)とヒロミ

前番組からほぼ内容は変わらず

『タミ様のお告げ』のコンセプトは「明日の自分のためにタミ様(国民)のホンネを聞く日本一“余計なお世話バラエティ”。

最初に「タミ様1000人に聞いた! 余計なお世話ランキング! これならランクイン」というゲストが自ら考えたアンケートの結果を発表するコーナーが放送された。まず、あのが「声が特徴的な芸能人といえば」、続いて松田元太が「令和最新!天然タレントランキング」で相次いで1位を獲得。旬のタレントを押し出したことで、スタジオが新番組にふさわしい華やかなムードに包まれた。

続いて放送されたのは「タミ様の気持ちがわかるはずランキング!」と題してゲストがランキング1位を当てるクイズパート。「夫にイラっとする瞬間ランキング」にママタレの藤本美貴が挑む様子が放送され、番組は終了した。

あらためて『THE MC3』を振り返ると、当初はMCの3人を全面的にフィーチャーしていたが、わずか放送数回でゲストメインの構成に変更。最後の放送となった昨年12月9日も「1000人に聞いた! 余計なお世話ランキング! これならランクイン」などが放送されたが、アンケート規模も街頭インタビューの多用も『タミ様のお告げ』の初回とほぼ同じだった。

つまり、「番組名やスタジオなどは変わったものの、中身は中居氏の不在以外あまり変わっていない」ということ。これは制作サイドが昨年12月までの放送に一定の手応えを得ていたことの裏付けであり、だからこそ「MCが3人から2人にスケールダウンしてもいけるのではないか」という決断に至ったのかもしれない。

1000人アンケート継続の難しさ

ただ、この手のアンケート番組は昭和時代から平成にかけてしばしば見られたコンセプトであり、令和の現在に合わせて採り入れた試みは見当たらなかった。そもそも『THE MC3』は「シンプルなアンケート企画だけでは厳しいから、大物MCを3人も集めてその個性で独自色をつけようとした」のではないか。

番組スタートにあたってヒロミは「いろんなゲストの方が来てくれるので、タミ様の意見をみんなで一喜一憂しながら、楽しく長く続けられる番組にしていけたらなと思います」などとコメントしていた。これは「アンケートというシンプルな構成のため、ゲストの人選で引きつけていかなければ難しい」ことへの警鐘に見えてしまう。

また、『1億2千万人アンケート』というサブタイトルがつけられているが、これはさすがに大げさと言わざるを得ない。SNSが発達した現在、このようなネーミングは「大風呂敷」とみなされ、批判のきっかけに利用されるリスクがつきまとう。

それどころか1,000人規模のアンケートでも継続していけるのか。街頭インタビューの多用も現場スタッフを疲弊させる構成だけに不安が募る。それでもこれを減らすと「調査人数の不正を疑われかねない」という難しさがあり、スタッフサイドの工夫と挑戦、努力と忍耐が求められることは間違いない。