民放各局の現状を見ると、「若手アナウンサーの育成が急務になっている」という背景も見逃せない。

前述した制作費削減の問題に加えて、働き方改革の影響でこれまで以上に人気アナウンサーの数を増やしていかなければならない状況になった。例えば平日の帯番組では、「1人が5日間を担当する」のではなく、「メインのアナウンサーが3~4日、サブのアナウンサーが1~2日」などと分散させる傾向が強くなっている。

さらに、このところ各局に「エース」と言われる若手アナウンサーが誕生していないことも大きい。実際、年末恒例の「好きなアナウンサーランキング」(オリコン調べ)でトップ10に入った20代は、4位の日テレ・岩田絵里奈アナと8位のTBS・田村真子アナだけ。人数や出演数を踏まえると明らかにバランスの悪い状況が続いている上に、近年は入社数年で退職するアナウンサーもいるなど、エースを育てることの難しさが増している。

  • 日テレ岩田絵里奈アナ(左)とTBS田村真子アナ

その点、「超即戦力」となりうるのが、すでにテレビ業界を経験しているタレントたち。知名度に加えて、カメラ慣れやカメラ映りの良さ、撮影現場の理解などが期待できるタレントへの期待値は高い。しかし、その一方でタレントのアナウンサー採用は否定的な声もあがりやすい“ハイリスク、ハイリターン”の戦略であり、なかでも“アンチ”を集めやすいアイドルの採用は人選が重要となる。

採用側が慎重に見極めようとしているのは、AKB48グループのアイドルを見ても一目瞭然。先日、選抜総選挙で“神7”入りしたこともある元AKB48・武藤十夢が「新卒でアナウンサー試験に受けて在京キー局はすべて落ちた」ことを明かし、いくらかの驚きを持って報じられた。その他のAKB48グループメンバーも、「地方局のアナウンサーにはなれた人はいるが、在京キー局は落ちてしまう」というケースが続いていたことから、その難しさが分かるだろう。

一方、坂道グループのメンバーは、まず2018年に日テレの市來アナが入社半年後に看板バラエティ『行列のできる法律相談所』(現『行列のできる相談所』)の秘書(アシスタント)と『news zero』の週3日レギュラーに抜てきされ、翌2019年にはテレ朝の斎藤アナが入社式前に『羽鳥慎一モーニングショー』でデビューを飾り、そのままアシスタントとなった。そんな彼女たちの成功も原田アナの採用につながったのではないか。

■「アナウンサー」はセカンドキャリアの1つ

坂道グループに限らずグループアイドルたちにとっては、「アイドルとして思い描いたような成功ができなければ、セカンドキャリアを考え始める」のが当然のようになってひさしい。それどころか、「アナウンサーの道を視野に入れてアイドルになった」という人もいるという。

これはグループアイドルの活動続行と進路が難しくなっていることの証しであり、実際に「アイドルは芸能界で最もつぶしが利かない」という声をよく耳にする。女優、アーティスト、バラエティタレント、グラビアアイドルなど、いずれも競争が激しく、スキルとメンタルの強さが求められる世界。それが分かっているからこそ、早めにグループを卒業して資格取得や就職活動に励んだり、インフルエンサーや実業家に転身したりする人も目立つ。

その中でアナウンサーという進路は、グループアイドルのメンバーが芸能界に留まるひとつの方法なのだが、その難易度は極めて高い。さらに、もし努力が実って在京キー局のアナウンサーになれても、「元アイドル」のアナウンサーを見る視聴者の目は厳しく、アナウンス力や人間性をチェックされてしまう。

「努力家」と言われる原田アナが、この高いハードルを乗り越えることができるのか。やはり注目度の高い入社1年目になるだろう。