日本人選手の活躍が連日報じられているミラノ・コルティナ五輪。冬季五輪のメダル獲得数が過去最多を更新するなど、盛り上がりを増した感がある。
そんな日本人選手の活躍という追い風を、放送・配信はどのように生かしているのか。逆にメダル獲得が続いていることで、どんな課題が見えたのか。
今年は3月に野球のWBC、6月にサッカーW杯、9月に愛知県でアジア大会が行われるスポーツイヤーだけに、その先陣を切った冬季五輪の功罪をテレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
メダル獲得数の推移と気になる時差
開催前はイタリアと8時間の時差があり、さらに冬季五輪は学校の部活動にない競技が大半を占めることなどから、業界内では「日本人選手が活躍しなければ盛り上がらないだろう」「中継を見る人も、番組での扱いも減るのではいか」などの声もあがっていた。
しかし、冷静に考えれば「多少の不安がある」というレベルであり、メダル獲得ラッシュは必然だったように見える。
その主な理由は、まず今大会は新競技の山岳スキーが加わった8競技116種目が行われること。しかも種目数は84、86、98、102、109、116と増え続けていた。
次にメダル獲得数は1個に終わった2006年トリノ五輪以降、2010年バンクーバー五輪5個、2014年ソチ五輪8個、2018年平昌五輪13個、2022年北京五輪18個と右肩上がりで増え続けている。
「冬季五輪のメダル獲得はせいぜい1~2個」と言われたのは20年も前のことであり、実は獲得数の増加とともに盛り上がりはジワジワと増していた。特に時差の少ない韓国と中国での開催だった直近2大会は、「朝から夕方まで情報番組で期待感を高め、夜に競技中継で盛り上がり、翌朝から夕方までメダル獲得の祝福ムードであふれる」という好循環。
しかし、イタリア開催の今大会はメダル獲得マッチの大半が深夜2~5時台に行われるため、リアルタイムで見ている人と見ていない人の温度差は大きいように見える。ネット上の声を見る限り、興奮や感動で一色というより、情報として受け止め冷静に祝福するような声も目立つ。
ただ、この時差がある国での開催はテレビの情報番組にとっては大きなチャンス。速報や感動ドキュメントとしての価値は高く、朝の『サン!シャイン』(フジテレビ系)や『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)、午後の『ゴゴスマ』(CBC・TBS系)や『情報ライブ!ミヤネ屋』(読売テレビ・日本テレビ系)などで多くの時間を割いて特集が組まれている。
これらは中高年層がメイン視聴者の番組だけに、深夜から早朝にリアルタイムで五輪中継を見る人は限定的。その意味で「時差のある開催地の恩恵を最も受けている」と言っていいかもしれない。
