2017年のスタートから9回目を迎えた『女芸人No1.決定戦 THE W 2025』の決勝(日本テレビ系)が13日夜に生放送され、ニッチェが9代目女王の座に輝いた。
しかし、放送中から放送後の現在まで話題の大半は、審査員・粗品のコメントと言っていいだろう。
出場芸人たちに対する「まったく漫才になってない」「1秒も面白くなかった」「(難しいネタに)ちょっと手出すの早かった」「『漫才コントにこんなん入れておけば評価されるやろ』みたいな思惑が客に透けてしまうレベルの稚拙さ」「うっすら蔓延してる『女性芸人のツッコミって下手くそだよね』っていう理由の1つ」。
さらに観客や視聴者に対する「ふだん質の悪い客の前でしかネタ試せてないから全国の賞レースの決勝戦であんなことやってしまう」「今日はウケたらあかんやつがウケてたり、ずっと間違ったお笑いの常識がテレビで放送されているのが本当に歯がゆい」「テレビ見てる素人って、もう笑い声あるかどうかでしかおもろいおもろないの判断ができない」。
そして番組の最後にも「賞金1000万円にしてはレベルの低い大会やったと思う」とピシャリ。これを受けてネット上には「粗品の審査によって“レベルの低さ”“女性限定”という問題点が明らかになった」という論調が目立つが、『THE W』をめぐる本質は別のところにある。それはいったい何なのか……テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
粗品のコメントは制作サイドの仕掛け
真っ先に言及しておかなければならないのは大会のレベルについて。
今大会は過去最多1,044組のエントリーから予選を突破した8組がファイナリストとして全国放送の土曜ゴールデンタイムでネタを披露した。これまでファイナリストの数は17年~21年が10組、22~24年が12組だっただけに今年は約33%減。エントリーが増えているのにファイナリストを4組も減らしたのは制作サイドがレベルを考慮したとみるのが自然だろう。
しかも8組の中には結成1年の電気ジュース、パンツ万博、ヤメピが含まれていた。これは他の賞レースではほぼあり得ない現象であり、レベルの問題を指摘されても仕方ない感がある。
もう1つレベルの問題を指摘される要因となっていたのが審査員のコメント。「どちらも面白かった」などの礼賛はネット上の声と乖離し、歯切れの悪いコメントは視聴者に疑問視されていた。そんな長年にわたる背景があったからこそ粗品のコメントがフィーチャーされたのは間違いない。
ただ、視聴者やメディアが粗品のコメントをフィーチャーしたというより、制作サイドが狙ってその状況を作ったというニュアンスがある。
実際、MCの後藤輝基が審査員にコメントを振った回数は、リンゴが2回、川島明が4回、田中卓志が3回、哲夫が2回、友近が3回、森田哲矢が3回、粗品6回。これだけ回数の差がある上に各コメントの長さを踏まえると、制作サイドが粗品のコメントを意図的にフィーチャーしていたのは確かだ。
制作サイドが「レベルを疑問視されかねない」というリスク覚悟で、「視聴者の興味を引き、視聴率に直結するものは粗品のコメント」と判断した様子がうかがえる。つまり日本テレビは“名(賞の権威)”より“実(視聴率)”を取ろうとしたのだろう。
